1.専利出願書類の記載事項
特許・実用新案・意匠との三種類の専利の出願書類への記載事項について、下記のように統一している(専利法実施細則第16条)。
(1)発明、実用新案又は意匠の名称;
(2)出願人が中国の単位又は個人である場合には、その名称又は氏名、住所、郵便番号、組織機構コード又は公民身分証番号;出願人が外国人、外国企業又は外国のその他の組織である場合には、その氏名又は名称、国籍又は登記がなされている国又は地区;
(3)発明者又は創作者の氏名;
(4)出願人が特許代理機構に委任している場合には、受託機構の名称、機構コード及び当該機構が指定する特許代理人の氏名、登録番号、連絡先の電話番号;
(5)優先権を主張する場合には、出願人が最初に提出した特許出願(以下、先の出願という)の出願日、出願番号及び原受理機構の名称;
(6)出願人又は特許代理機構の署名又は捺印;
(7)出願書類の目録;
(8)添付書類の目録;
(9)その他明記が必要な関連事項。
2.実用新案についての改正
(1)図面の提出が必須とされている(専利法実施細則第17条)
実用新案の明細書には保護を求める製品の形状、構造又はその結合を表示する図面があるべきとされている。
(2)国際出願の自発補正の期間は2ヶ月に延長(専利法実施細則第112条)
PCTルートで国際出願している実用新案の自発補正の期間は、国内出願と統一して移行日から2ヶ月以内とされている。
3.意匠についての改正
(1) 意匠願書への簡単な説明の記載(専利法実施細則第28条)
改正専利法第27条によると、意匠の簡単な説明が出願書類の必須記載事項になり、保護範囲を確定する際の解釈として参考とされる。細則は更に下記の規定がある。
① 意匠の簡単な説明には、意匠物品の名称、用途、意匠のデザイン要点を明記しなければならず、デザイン要点を最もよく表明している一枚の図面又は写真を指定しなければならない。透視図を省略する又は色彩の保護を請求する場合には、簡単な説明中に明記しなければならない。
② 同一物品に対する複数の類似意匠を一件の意匠特許出願にて提出する場合、簡単な説明において、その中の一つを基本デザインとして指定しなければならない。
③ 簡単な説明には、商業性の宣伝用語を使用してはならず、更に物品の性能の説明に用いることができない。
(2)関連意匠制度(専利法実施細則第35条)
一意匠につき出願は一件であることが原則であるが、例外として、同一製品に係る二以上の類似意匠の場合は、一の出願で出願をすることが可能となった。
① 同一製品の複数類似意匠を1つの出願として提出する場合、その他の設計は指定した基本設計に類似していなければならない。
② 類似設計が10項目を超えてはならない。
(3)意匠の優先権について (専利法実施細則第31条)
意匠の出願人が外国の優先権を主張する際、優先権の基礎出願は、意匠についての簡単説明が含まれていない場合、出願人が細則第28条の規定に従って提出した簡単な説明は、基礎出願の図面又は写真に表わされた範囲を超えていないならば、優先権を享有することに影響を与えない。
4.実用新案・意匠権評価報告書
専利権の侵害紛争が実用新案または意匠に関係する場合、裁判所又は専利事務を管理する部門は専利権者又は利害関係人に対し、国務院の専利行政部門によって作成された専利権評価報告の提出を求めることができる。専利権の侵害紛争を審理又は処理するための証拠とする(専利法第61条)。
① 請求人適格(専利法実施細則第56条第1項)
専利権者又は利害関係人は、国務院特許行政部門に特許権評価報告の作成を請求することができる。
② 請求回数(専利法実施細則第57条)
同一案件の実用新案または意匠に対して、複数の請求人から専利権評価報告の作成の請求があった場合、国務院特許行政部門は、評価報告書を1件のみ作成する。
③ 請求時期(専利法実施細則第56条第1項)
実用新案権・意匠権が付与の決定の公告後
④ 公開(専利法実施細則第57条)
いかなる単位又は個人も当該意匠権評価報告を閲覧又は複製することができる。
5.中国で完成した発明・実用新案について外国出願する際の機密審査のプロセス
専利第20条及び実施細則第8条によると、いかなる単位又は個人も、中国で完成させた発明又は実用新案を外国に特許出願する場合には、外国出願のルートに応じ、機密保持審査の手続を行わなければならない。また、中国で完成させた発明又は実用新案とは、技術構想の実質的内容が中国の領域内で完成された発明又は実用新案とされる(専利法実施細則第8条)。
(1)審査請求のルート(専利法実施細則第8条)
① 直接外国へ出願する場合又は国外機構に国際出願をする場合
事前に国務院特許行政部門に機密保持審査請求を提出し、且つその技術構想を詳細に説明しなければならならない。
②中国で出願をした後、外国に出願し又は国外機構に国際出願を提出しようとする場合
外国に特許出願する前、又は関連する国外機構に特許国際出願を提出前に国務院特許行
政部門に機密保持審査請求を提出しなければならない。
③国務院特許行政部門に国際出願を提出した場合
機密保持審査の請求を同時に提出したものとみなされる。
(2)機密保持審査通知を受領しなかった場合(専利法実施細則第9条)
細則の第9条によると、出願人がその請求を提出した日から4ヶ月以内に機密保持審査通知を受領しなかった場合、出願人は、当該発明又は実用新案を外国に特許出願する又は関連する国外機構に特許国際出願を提出することができる。
国務院特許行政部門は、通知をした上、機密保持審査を行う場合、直ちに、機密保持を必要とするか否かの決定をし、出願人に通知しなければならない。出願人がその機密保持審査請求を提出した日から6ヶ月以内に機密保持を必要とする決定を受領しなかった場合、出願人は、当該発明又は実用新案を外国に特許出願する又は関連する国外機構に特許国際出願を提出することができる。
6.遺伝資源の定義、及びそれを利用して出願する際の願書への記載義務)
(1)遺伝資源の定義(専利法実施細則第26条第1項)
専利法でいう遺伝資源とは、人体、動物、植物又は微生物などから採取した、遺伝機能単位を含み、且つ実際価値又は潜在価値を有する材料とされている。専利法でいう遺伝資源に依存して完成された発明創造とは、発明創造の完成が遺伝資源の遺伝機能を利用して完成された発明創造とされている。
(2)願書への記載義務(専利法実施細則第26条第2項)
遺伝資源に依存して完成された発明創造を特許出願する場合、出願人は、願書中で説明をし、また国務院特許行政部門の様式フォームに記入しなければならない。
7.優先権主張について
(1)優先権書類の証明について(専利法実施細則第31条第1項)
出願人が、特許法第30条の規定に従って外国の優先権を主張する場合、基礎出願の副本は原受理機構の証明を受けなければならない。協定等によって、国務院特許行政部門が電子ルートにて基礎出願の副本を取得した場合、当該受理機構の証明を受けた基礎出願の副本を提出したとみなされる。国内優先権を主張する場合、出願人が願書中に基礎出願の出願日及び出願番号を明記している場合には、基礎出願の副本を提出したものとみなされる。
(2)優先権の記入漏れ等の場合(専利法実施細則第31条第2項)
優先権を主張する際に、願書に、基礎出願の出願日、出願番号及び原受理機構名称の1又は2項目を書き漏らし又は誤記していた場合、国務院特許行政部門から出願人に指定期間内に補正を行うよう通知が発行される。期間が満了しても補正がなされなかった場合、優先権の主張がなかったものとみなされる。
(3)優先権書類に記載の出願人等が願書と不一致の場合(専利法実施細則第31条第3項)
優先権を主張する出願人の氏名又は名称が、基礎出願の副本中に記載した出願人の氏名又は名称と一致していない場合、優先権譲渡証明材料を提出しなければならず、当該証明材料が提出されなかった場合には、優先権の主張がなかったものとみなされる。
8.実用新案・発明特許を併願する場合
専利法第9条によると、同一の出願人が同日に同一の発明創造について実用新案専利と発明専利出願をし、先に取得した実用新案専利権の存続期間がまだ満了していないうち、出願人がその実用新案専利権の放棄を声明する場合、発明専利権を付与することができる。
実施細則第41条においては、更に以下の詳細を定めている。
(1)併願する際に表明が必要(専利法実施細則第41条第2項)
同一出願人が同日(出願日を指す)に同一の発明創造に対して、既に実用新案を出願又は発明を出願している場合、出願時にそれぞれ当該同一の発明創造について他の特許を出願していることを説明していなければならなりません。説明がなされていなかった場合、同一の発明創造に対して、一つの特許権だけが授与されることになる(実施細則第41条)。
(2) 実用新案の放棄(専利法実施細則第41条第4項)
特許出願に特許権を付与しようとする場合、審査官は、所定の期限内に、実用新案の放棄を表明するよう、出願人に通知する。
出願人が放棄を表明した場合、特許査定とし、出願人が放棄しない場合、拒絶査定とする。
(3)実用新案権の消滅(専利法実施細則第41条第5項)
出願人が実用新案を放棄した場合、実用新案権は、特許権が付与された日から放棄されたものと見なされる。
9.無効審判の職権による続行
特許復審委員会が無効宣告の請求に対して決定を作成する前には、無効宣告の請求人はその請求を取り下げることができる。また、特許復審委員会が決定を作成する前に、無効宣告の請求人がその請求を取り下げた又はその無効宣告の請求が取り下げられたものとみなされた場合、無効宣告請求の審査手続は終了する。
但し、特許復審委員会が、既に行った審査業務に基づいて特許権無効又は部分無効を宣告する決定を作成し得ると認める場合、審査手続は終了しない(専利法実施細則第72条)。
10.職務発明の発明者・設計者に対する報酬等の規定
(1)奨励金の決め方に約定が優先される(専利法実施細則第77条第1項)
特許権を授与された単位が、特許法第16条に規定された報奨の支給方式及び額を、発明者又は創作者と約定していない場合、且つ法に従って制定した規則の中に規定していない場合、特許権公告の日から3ヶ月以内に、発明者又は創作者へ奨励金を支給しなければならない。
(2)法的奨励金の最低限を上げた(専利法実施細則第77条第1項)
一件の発明特許の最低奨励金は、少なくとも3,000元、一件の実用新案特許又は意匠特許の最低奨励金は少なくとも1,000元とする。
発明者又は創作者の提案をその所属単位が採用して完成させた発明創造について、特許権を授与された単位は、発明者又は創作者にできるだけよく奨励金を支給しなければならない。
11.専利の詐称と見なされる行為の追加
特許権が消滅した後で、物品若しくはその包装上に特許標識を引き続き表示する行為は特許法第63条に規定された特許を詐称する行為に属するとしている(専利法実施細則第84条第1項)。
ただし、特許権の消滅前に、法に従い、特許物品、特許方法にて直接得られた物品又はその包装上に特許標識を表示し、特許権の消滅後に、当該物品の販売の申し出をし、又は当該物品を販売する場合には、それは特許の詐称行為に属さない。
特許を詐称している物品であるとは知らずに販売し、且つ当該物品の合法的出所を証明できた場合、特許業務管理部門は、責任を持って販売を停止させる。但し、罰金を科す処罰を免除する。
12.費用等について
(1)一部費用が廃止(専利法実施細則第93条)
出願維持費用、手続中止請求費用、強制許可請求費用、強制許可使用料採決の請求費用が廃止された。
(2)PCT出願の優先権請求費用納付期限が延長(専利法実施細則第110条第2項)
PCT出願の優先権請求費用は、移行する際に納付しなくてもよくなり、移行日から2か月以内に支払えばいい。
以 上
*1. 専利は「発明特許・実用新案・意匠」を含めている。