意匠法とは?
「意匠法」 とは、一言で説明すれば、
『物品の外観に施されたデザイン(意匠)を適切に保護するための制度を定めている法律』です。
具体的には、今までにない新しい意匠に対して、特許権と同じように独占性および排他性のある「意匠権」が、最長15年間(2007年4月1日以降に出願されたものは20年間)与えられます。そして、意匠権の認められた意匠と同じ意匠のみならず、これに似ている意匠についても、権利者の許可なくその意匠を用いることが禁止されます。
では、どのようなデザインに対して意匠権が与えられるのでしょうか。
まず、デザインは物品に施されたものでなければなりません。そして物品は、形のあるものでなければなりません。したがって、光などのエネルギー自体は物品に該当しません。たとえば、イルミネーションなどのネオンサインや打ち上げられた花火などは物品に該当しません。ただし、ネオンサインを形作る一つ一つのネオン管や打ち上げられる前の花火玉は物品に該当します。また、物品には土地や建物といった不動産は含まれません。ですから、ガウディのサグラダ・ファミリアであっても意匠権は与えられません。
さらに、物品の一部分にだけデザインの特徴がある場合、原則として意匠権は与えられません。ただし、このような場合であっても、「部分意匠」として出願すれば意匠権が与えられます。
また、原則として、一つの出願には一つの物品しか記載することができません。ただし、コーヒーセットなどのような一定のセットものは、「組物の意匠」として出願すれば、セットが一つの物品として取り扱われ意匠権が与えられる場合があります。
続いて、デザインは上記物品の外観に施されたものでなければなりません。したがって、腕時計の内部構造のデザインには意匠権は与えられません。ただし、腕時計用歯車という物品としてであれば意匠権は与えられます。
さらに、デザインは新しいものでなければなりません。具体的には、ある物品について、世界中どこにも同じまたは似ているデザインが公表されていないことが必要です。この、世界中どこにも公表されていないことを「新規性がある」といいます。
ただし、新規性の要件を厳密に適用すると、かえって都合の悪いときもあります。デザインは流行に左右される要素が大きいため、試験的な販売を行った場合でも新規性を認めるべきとの要請が強いからです。そのため、発表後6ヶ月以内に限り、新規性を喪失したデザインであっても新規性を喪失していないとみなすことにしました。ただし、新規性を喪失した事情等についての証明書を出願日から14日以内(2007年4月1日以降に出願されたものについては30日以内)に提出する必要があります。
また、現在のデザインの分野では、似たようなデザインが同時に創作される場合があります。さらに、他人による権利侵害を未然に防止するため、類似する意匠を登録できるようにしておくことが望ましいと考えられています。
そこで、出願人自らが選んだ本意匠と同日に出願することを条件として(2007年4月1日以降に出願されたものについては本意匠についての意匠公報が発行されまでに出願することを条件として)、本意匠と類似する意匠を関連意匠として登録することが認められます。
ちなみに、このようなデザインを出願するに当たっては、デザインを図面や写真などに表すことが必要です。この図面や写真の表し方は厳格に定められており、原則として7種類の図面や写真を提出する必要があります(正面図・背面図・平面図・底面図・右側面図・左側面図・斜視図)。
なお、日本では、出願された意匠が意匠権を与えるのにふさわしいか否かを、特許庁の審査官が審査を行います。これを「審査主義」といいます。日本のほかに米国や韓国(一部)が審査主義を採用しています。これに対し、ヨーロッパや中国などでは審査官による審査は行われません。これを「無審査主義」といいます。無審査主義の国では、意匠権に関する紛争は原則としてすべて裁判所で判断されることになります。