「センサースイッチ事件」(権利濫用の抗弁に関する事例)
【判示事項】
訂正審判による訂正に明らかな無効理由があるとして権利濫用を認めた事例
【判決要旨】
① 本件発明の構成要件Aの「絶縁基台に接点ばね片を上下に略平行して埋設し」における「上下に」との記載は不明りょう不適切であるとして,その記載の削除を認めた本件審決は,「上下に」との要件が,出願経緯において追加された要件であることを無視し,また,本件明細書の記載からも,「上下に」との意味が接点ばね片が反曲動作し,また,元に戻る方向であることが容易に理解できることを看過したものであり,絶縁基台に埋設される設定ばね片の構成を「上下に略平行して」と規定されていたものを,単に「略平行して」にするとの訂正を認めたことにより,本件先願考案の実施例のように反曲動作方向から見て左右に略平行して絶縁基台に埋設されている接点ばね片の構成をも包含する結果となったものである。本件審決による訂正が本件発明の特許請求の範囲を拡張するものであったことは明らかである。
② 以上のとおり,本件審決による訂正が,実質上特許請求の範囲を拡張するものであることは明らかであるから,本件明細書の訂正が平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項の規定に違反してなされたものであり,本件特許権が同特許法123条1項7号により無効とされるべきものであることも明らかである。
【判決日】平成13年10月25日
【裁判所】東京高等裁判所
【事件番号】平成12年(ネ)第3411号
【判決要約担当者】弁理士 須賀 孝
【判決全文URL】
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01