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米国特許法101条を巡る判例とAlice事件の影響について(2)

2015年4月20日
特許業務法人
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
文責:岡部

本コラムでは、「米国特許法101条を巡る判例とAlice事件の影響について」の後半、「Alice事件の影響について」を説明する。


1. Alice事件後の動向

1-1. 現行の暫定的な審査手引において留意すべき事項

現行の暫定的な審査手引のフローチャート* は以下のとおりであり、フローチャート(後掲)に示すように、天然産物、自然法則、及び抽象的概念に適用されるようになっている。


クレーム発明が特許適格性に関する司法上の例外(自然法則、自然現象、または抽象的概念)に係るものであるか否かが判断され(Step 2A参照)、上記クレーム発明が特許適格性に関する司法上の例外に係ると判断された場合、当該クレーム発明が追加の構成要素を規定しているか否かが判断され、この追加の構成要素が、司法上の例外よりも"significantly more"をもたらすものであるか否かが更に判断される。この際、構成的な特徴機能的な特徴との両方を考慮して判断される(Step 2B参照)。

上記の判断の結果、上記追加の構成要素が、司法上の例外よりも"significantly more"をもたらすものであると判断されると、当該クレームは、特許可能な発明主題を規定していると認定される。(Step 2B参照)。



1-2. 審査官手引のフロー

フローチャートにしたがって、クレーム発明が米国特許法第101条に規定の特許可能な発明主題を規定しているか否かが、以下のようにして、審査官によって判断される。

  • 【Step 1】
     Step 1において、審査官は、クレーム発明が、(i) プロセス(process)、(ii) 機械(machine)、(iii) 生産物(manufacture)、又は、(iv) 組成物(composition of matter)の範疇に属するか否かを判断する。
     クレーム発明が上記(i)~(iv)のいずれにも属さないと判断された場合、審査官は、当該クレーム発明が特許可能な発明主題を規定していないと認定する。これに対し、クレーム発明が上記(i)~(iv)の何れかに属すと判断された場合、審査官は、当該クレーム発明が特許可能な発明主題を規定しているか否かについて、更なる判断をするためにStep 2A(2段階のうちの先のステップ)へ進む。
  • 【Step 2A】
     審査官は、上記クレーム発明が、司法上の例外(自然法則、自然現象、または抽象的概念)に係るものであるか否かを判断する。この際、クレーム発明が司法上の例外に対して「際立った差」を有しているか否かが解析される。なお、クレーム発明が司法上の例外に係るものではないと判断された場合、当該クレーム発明が特許可能な発明主題を規定していると認定する。
  • 【Step 2B】
     Step 2Aにおいて、上記クレーム発明が、司法上の例外(自然法則、自然現象、または抽象的概念)に係るものである場合、当該クレーム発明が追加の構成要素を規定しているか否かを判断し、この追加の構成要素が、司法上の例外よりも"significantly more"をもたらすものであるか否かが更に判断される。この際、構成的な特徴と機能的な特徴との両方を考慮して判断される。(Step 2B(2段階のうちの後のステップ)参照)。  上記の判断の結果、上 記追加の構成要素が、司法上の例外よりも"significantly more"をもたらすものであると判断された場合、当該クレームは、特許可能な発明主題を規定していると認定される。そうでない場合、当該クレームは、特許可能な発明主題を規定していないと認定される。
  • 【2014 Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibilityのフローチャート】


1-3.Alice事件後の判決(保護適格性を否定)
  • A) Digitech (Fed. Cir) (No.2013-1600. Decided July, 2014)
  • B) buySAFE (Fed. Cir) (No.2013-1575. Decided Sept.3, 2014)
  • C) Planet Bingo (Fed. Cir) (No.2013-1663. Decided August 26, 2014)
  • D) I/P Engine (Fed. Cir) (No.2013-1307. Decided August 15, 2014)
  • E) University of Utah (Fed. Cir) (No.2014-1361. Oral arguments heard October 6, 2014) など

≪備考≫
 2014年5月10日のCAFCオンバンク判決では、10人の判事の意見が5対5に分裂した。10人の判事の意見が真っ二つに分かれ、統一的見解を出すこともできなかった事実に鑑みると、保護適格性を巡る今後の特許侵害訴訟では、ニューマン判事が「判決結果が日和見訴訟の餌食になる」と述べたように、3人のパネルの構成によって特許/不特許の判断が判断される余地が大きい。
 ビジネス関連発明を方法クレームで表現することの有効性を指摘する米国弁護士がいる一方で、コンピュータによって実施される記載で表現された方法クレームであっても、Alice判決を適用し、101条違反が指摘された判決も存在する(上記A), B), C)など)。



1-4.特許侵害訴訟とIPR

下表は、2013年および2014年(1-9月)における米国での特許侵害訴訟件数の推移を示す。

2014年4月(パテントトロール対策法の可決前)までの提訴数は、前年と比べて顕著な差異が認められなかったが、2014年5月以降は対前年比マイナスとなり、2014年9月は、対前年比40%減となった。

Alice判決により、IT系企業が保有するソフトウェア特許の多くが潜在的に不特許事由を有するとみられており、侵害訴訟を提起する側である特許権者も提訴に対して慎重にならざるをえない。このことが、近時の訴訟件数の低下に大きく影響していると言われている

これに対して、IPRは、485件/年(1年目)から1,773件/年(2年目)へ急増しており、特許紛争の争点が、侵害性から有効性へと変化しつつあるとの指摘もある。




2.最後に

近年の米国の知的財産制度、および米国の知的財産を巡る動向は著しく変化している。先発明主義から先願主義への移行を図ったAIA法の導入、パテントトロール法の導入、Alice判決とその影響など、米国プラクティスに精通した米国弁護士であっても、その変化にキャッチアップするのは困難であると言う。また、米国がすでにアンチパテントにあることは複数の米国弁護士が口を揃えて語るところであり、しかも、無効理由なく、かつ、適切にIDS等の対応を行った“傷”のない米国特許権を取得することは困難になっている。それゆえに、米国の現状を注視し、米国弁護士等から最新の情報と見解を求め、そのようにして得た最新の情報を実務に反映していく姿勢が、出願人の求める技術的範囲で特許権を取得するうえで今まで以上に必要になってくると言える。



以 上

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