中国特許法第三次改正における主な改正ポイント
特許業務法人 原謙三国際特許事務所
孫 欧
2008年12月27日、中国の最高立法機関である全国人民代表大会(全人代)は現行特許(*1)法に変更を加えた改正特許法を可決した。
改正特許法の施行日は2009年10月1日となっている。
これまでの改正がTRIPS協定等の国際条約の要請による受動的な改正であったのに対し、今回の改正は中国の国情を十分に踏まえた上で経済の発展に伴い知的財産の重要性が認識された結果として「革新型国家建設」を目指す能動的な改正とも言える。
今回の改正は主に特許付与要件の厳格化、特許権保護の強化、手続の完備等の側面から現行法に対してより完備を図って行ったものである。主な改正ポイントは以下の通りである。
1 中国第一国出願制度を削除(第20条)(*2)
現行法上規定されている「中国でなされた発明の第1次出願国を中国とする」制限が削除された。
もっとも、中国でなされた発明及び実用新案について外国への出願前に中国当局による安全保障上の事前審査を受けることが義務付けられている。この事前審査の義務に違反した場合には「中国で特許権を与えない」という不利益が規定された。
パブリックコメントの受付終了後、現在審議されている「特許法実施細則」では、「国務院行政部門が事前審査の申請を受け付けた後、中国で完成された発明若しくは実用新案が国防安全に係るものであると認められる場合、その旨を出願人に通知する。受理日から二ヶ月以内に通知が送達されない場合には、その発明若しくは実用新案を外国へ出願し、または国際出願をすることができる」という方向で検討されている。
2 遺伝資源の取得とその利用による発明の権利取得に対する制限(第5条、第26条)(*3)
法律、行政法規に違反して取得された遺伝資源を利用して完成された発明創造に対しては特許権が付与されない。
また、生物多様性条約に対応するため、遺伝資源に依存して完成された発明創造について、出願人が直接的な由来及び原始的由来を申告しなければならない。申告できない場合はその理由を説明しなければならない旨が定められている。
3 特許付与要件の厳格化(第22条、第23条)(*4)
① 文献公知・公開・公用技術を相対的基準(国内基準)から絶対的基準(世界基準)へ変更された。
ー現行制度ー
中国国外で公開・使用された技術については新規性を喪失しない。
・文献公知ー絶対的新規性(世界基準)
・公知公用技術ー相対的新規性(国内基準)
ー改正後ー
中国国外で公開・使用された技術についても、新規性を喪失する。
・文献公知ー絶対的新規性(世界基準)
・公知公用技術ー絶対的新規性(世界基準)
② 抵触出願に関する規定は同一出願人に対しても適用される (第22条、第23条)
発明特許と実用新案においては、現行法に抵触出願の規定があるが、同一出願人の場合には抵触出願は適用されない。今回の法改正によって、同一出願人の場合にも抵触出願に関する規定が適用される。
日本の特許法第29条の2は発明者又は出願人が同一の場合には適用されないが、中国の改正法の下ではこのような例外規定がないので注意が必要である。
4 実用新案・発明特許を併願する場合 (第9条) (*5)
現行法では、先の出願が公開されていない場合には、同一出願人である場合に同内容の発明もしくは実用新案を出願することができる。即ち、実用新案が実体審査を経ずに先に登録された後、特許出願が審査され、特許査定が下される際に、実用新案権と特許出願のいずれかを選択することができる。
しかし、改正法では、このような、同内容の発明に関する特実併願は、同一の出願人によって同日に出願された特許及び実用新案のみに適用され、出願日が異なる場合には適用されない。抵触出願が同一出願人も含むこととなるため、同一の発明について異なる日に出願された発明特許及び実用新案に関し、後の出願は新規性の欠如により拒絶されるからである。
5 渉外事務所の緩和(第19条)(*6)
中国に常駐の住所又は営業所を持たない外国人、外国企業又は外国のその他の組織が中国で特許申請をする場合、「国務院特許行政部門が指定した特許事務所を通じて手続をすること」を、「法律によって設立された特許代理機関に手続を委託しなければならない」と変更した。
従って、在外者は、渉外特許事務所以外の特許事務所を通じて手続を行うことが可能となった。
6 意匠制度の改正
① 意匠定義の明文化(第2条第4項)(*7)
② 登録要件の厳格化
Ⅰ公知・公用の地域基準が国内基準から世界基準へ(第23条第4項)
中国国外で公知・公用となった意匠についても、新規性を喪失する。
Ⅱ抵触出願概念の追加
現行法では、意匠に関する抵触出願の規定は存在しない。これに対し、改正法では、特許・実用新案の規定に加え、意匠についても抵触出願に関する規定が設けられた。さらに、同一出願人による出願は抵触出願を構成するものとされた。
Ⅲ 明確区別性が登録要件になる(第23条第3項)(*8)
創作した意匠もしくはデザインが有する特徴と従来意匠もしくは従来デザインの特徴との区別が明確でなければ登録要件を満たさない旨が規定された。これは日本の創作非容易性に相当するものである。
なお、「従来意匠」とは、「出願日以前に国内外で公衆に知られている意匠」、即ち公知意匠をいう。
Ⅳ一意匠一出願の原則の例外
一意匠につき出願は一件であることが原則であるが、例外として、同一製品に係る二以上の類似意匠の場合は、一の出願で出願をすることが可能となった。
同一の製品であるか否かは、意匠の国際分類を制定するロカルノ協定によって制定された国際意匠分類に基づいて判断される予定です。
また、一出願に含まれる意匠の数は、現時点では最大10個にする方向で検討されている。
Ⅴ 図案、標識的なデザインを登録対象から除外(第25条)(*9)
平面印刷物の図案、色又はその組合せによって形成された、主に標識的な機能を有するデザインが登録対象から除外される。
Ⅵ 願書の記載事項(第27条)(*10)
「意匠の簡単な説明」が出願書類の必須記載事項になり、保護範囲を確定する際の解釈として参考とされる。
また、記載事項として、製品の名称、用途、特徴及び特徴を最もよく現している図面を指定することが検討されている。
Ⅶ「販売の申出」は意匠権の「実施行為」となる(第11条)(*11) 。
Ⅷ「意匠権評価報告」制度の導入(第61条)(*12) 。
意匠侵害事件において、裁判所又は特許業務管理部門(主として地方)は、権利者及び利害関係人に対して、国家知的財産局が作成した「権利評価報告」を証拠として提出することを要求できるようになる。権利評価報告を請求できる者は、権利者及び利害関係者に限られる。
「利害関係者」は、現時点では実施権者であるという検討がなされている。
7 特許権の保護を強化
① 特許詐称した場合の行政処理
Ⅰ 他人の特許を盗用する行為及び、非特許製品を特許製品と偽る行為を「特許詐称」という概念に統一する(第63条)(*13) 。
Ⅱ 特許詐称行為に対して、違法所得の没収とともに科せられる罰金が、現行の違法所得の3倍から4倍に引き上げられる。また違法所得のない場合の罰金の最高額は、現行の5万元から20万元に引き上げられる。(第63条)
Ⅲ 特許詐称に対して、行政機関による取締り権限の強化(第64条)(*14)
② 侵害時の賠償額について
Ⅰ 賠償金額の算出順序が定められた(第65条)(*15) 。
<ⅰ権利者の損害額>
↓
<ⅱ侵害者の利益額>
↓
<ⅲ特許許諾使用料の倍数>
↓
<ⅳ法定損害賠償額>
Ⅱ 特許権者が権利侵害行為を停止させるために支払った額のうち、合理的な支出額を賠償額に含めるものとする。
Ⅲ 参照できる特許許諾使用料がなく又は特許許諾使用料が明らかに不合理である場合は、人民法院が特許権の類型、侵害行為の性質及び事情等の要素に基づいて、人民元1万元以上、100万元以下の法定賠償額を確定することができる。
8 侵害訴訟時に関する法整備
① 権利評価報告書の提出について (法第61条)(*16)
実用新案権・意匠権侵害紛争において、裁判所は、権利者及び利害関係人に、国家知的財産局が作成した実用新案権、意匠権の「権利評価報告」を証拠として提出することを要求できるようになる。
② 公知技術による抗弁(第62条)(*17)
現行法では、特許権侵害の成否を判断する際に先行技術の抗弁に関する明確な規定がなかった。改正法では、特許権・実用新案権侵害の成否を判断するに当たり、攻撃防御方法のひとつとして先行技術による抗弁の主張方法が認められた。つまり、被告が証拠により、自己が実施していた技術が公知技術であることを証明した場合には、当該実施行為は特許権の侵害行為として認められない。当該抗弁の主張を認めることにより、裁判所は特許審判委員会の審決を待たずに審理を中止する必要がなくなるため、迅速な審判が図られる。
③ 仮処分の手続の明確化(第66条)(*18)
仮処分の手続は、改正法にて明文化された。
④ 証拠保全(第67条)(*19)
訴えの提起前の証拠保全に関する規定が改正法にて明文化された。
9 共有特許に関する規定の追加(第15条)(*20)
改正法では、共有特許について契約が優先するということが明確に規定されている。
即ち、共有に係る特許を受ける権利又は共有特許権について、当事者間に合意がある場合にはその合意に従う。合意がない場合には、共有者の何れも特許を単独で実施し、或いは特許を実施する非独占的通常実施権を許諾することができる。
また、上記以外の権利行使には、共有者全員の同意が必要である。
10 強制実施権について (第48条、第50条、第52条、第53条、第54条、第57条)(*21)
強制実施権の通常実施条件は改正法にてより詳しく規定されている。また、「独占行為による不利な影響を取り除くためのまたは軽減させるための強制実施許可」及び「公衆の健康を守るための強制実施許可」等の規定も追加された。
11ボーラー条項が追加 (第69条)(*22)
行政許可に必要な情報を提供するため、薬品又は医療器械を製造・使用・輸入する行為は、特許権侵害とは見なされない。
「*」の説明
*1 中国の特許法では、日本における特許のみならず、実用新案及び意匠についても規定されている。以下、特に断らない限り、「特許」の語には、実用新案及び意匠をも含むものとする。
*2 第20条 いかなる単位或いは個人も中国で完成させた発明又は実用新案を外国へ特許出願する場合、事前に国務院特許行政部門に申請し、秘密審査を受けなければならない。秘密審査の手続、期限等は国務院の規定に従う。
中国の単位又は個人は、中華人民共和国が加盟している関係国際条約に基づき、特許の国際出願をすることができる。出願人が特許の国際出願を行う場合、前項の規定を遵守しなければならない。
国務院特許行政部門は、中華人民共和国が加盟している関係国際条約、本法及び国務院の関係規定に基づき特許の国際出願を処理する。
第一項の規定に違反して外国へ特許出願した発明又は実用新案について中国で特許出願する場合、特許権を付与しない。
*3 第5条 法律、社会公衆道徳に違反する、又は公共の利益を妨げる発明創造に対しては、特許権を付与しない。
法律、行政法規の規定に違反して遺伝資源を取得し又は利用し、かつ当該遺伝資源に依存して完成された発明創造に対しては特許権を付与しない。
第26条 発明又は実用新案の特許を出願するに当たって、願書、明細書及びその要約、特許請求の範囲等の文書を提出しなければならない。
願書には、発明又は実用新案の名称、発明者の氏名、出願人の氏名又は名称、住所及びその他の事項を明記しなければならない。
明細書では、発明又は実用新案に対し、その所属技術分野の技術者が実現できることを基準とする、明確で完全な説明を行い、必要な場合、図面を付けなければならない。要約は、発明又は実用指南の儀ずつ要点を簡単に説明しなければならない。
特許請求の範囲は明細書を依拠とし、明瞭且つ簡潔に特許に保護を求める範囲を限定しなければならない。
遺伝資源により完成された発明創造について、出願人は特許出願書類においてその遺伝資源の直接的由来と原始的由来を説明しなければならない。出願人が原始的由来について説明できない場合はその理由を説明しなければならない。
*4 第22条 特許権が付与される発明及び実用新案は、新規性、進歩性及び実用性を具備しなければならない。
新規性とは、当該発明或いは実用新案が従来技術に属しておらず、同様の発明或いは実用新案が出願日以前に如何なる個人又は単位により国務院特許行政部門に出願提出されたことがなく、かつ出願日以降に公布された特許出願書類又は公告された特許書類に記載されていないものを指す。
創造性とは、従来技術と比べて、発明が突出した実質的特性と著しい進歩を示しており、実用新案が実質的特性と進歩を示しているものを指す。
実用性とは、当該発明又は実用新案が製造又は使用に堪え、かつ積極的な効果を生むことができることを指す。
本法における従来技術とは、出願日以前に国内外で公衆に知られている技術を指す。
第23条 特許権を付与する意匠は、従来意匠に属さないものでなければならず、また同様の意匠が出願日以前に如何なる個人又は単位により国務院特許行政部門に出願されたことなく、かつ出願日以降に公告された特許書類に記載されていないものでなければならない。
特許権を付与する意匠は、従来意匠或いは従来デザインの特徴を組み合わせたものとは明らかな区別が付くものでなければならない。
特許権を付与する意匠は、権利付与以前に他人が既に取得している合法的権利と抵触す
るものであってはならない。
本法における従来意匠とは、出願日以前に国内外で公衆に知られている意匠を指す。
*5 第9条 同一の発明創造に対しては、1つの特許権のみが付与される。ただし、同一の出願人が同日に同一の発明創造について、実用新案特許と発明特許とを出願し、先に取得した実用新案特許と発明特許とを出願し、先に取得した実用新案特許権がまだ終止しておらず、かつ出願人が当該実用新案特許権の放棄を表明する場合には、発明特許権を付与することができる。
二人以上の出願人が同一の発明創造について、それぞれ特許を出願した場合、特許権はもっとも先に出願した人に付与される。
*6 第19条 中国に常駐の住所又は営業所を持たない外国人、外国企業又は外国のその他の組織が中国で特許を出願する場合及びその他の特許実務手続を行う場合、法律によって設立された特許代理機関に手続を委託しなければならない。
中国の単位又は個人が国内で特許を出願する場合及びその他の特許事務手続を行う場合は、法律によって設立された特許代理組織に委託して処理することができる。
特許代理組織は、法律、行政法規を遵守し、被代理人の委託により特許出願又はその他の特許事務を処理しなければならず、被代理人の発明創造の内容に対し、特許出願が既に
公開又は公告されている場合を除き、秘密を保持する責任を負う。特許代理組織の具体的管理方法は国務院が規定する。
*7 第2条 本法でいう発明創造とは、発明、実用新案、意匠のことを指す。
発明とは、製品、方法又はその改良について提起した新しい技術考案を言う。
実用新案とは、製品の形状、構造又はその組合わせについて提起した、実用に適した新しい技術考案を言う。
意匠とは、製品の形状、図形又はその組合わせ、及び色彩と形状、図形の組み合わせについて提起した、美観に富み、工業的応用に適した新しいデザインを言う。
*8 前掲注4
*9 第25条 以下に掲げる各号には特許権を付与しないものとする。
(1) 科学上の発見
(2) 知的活動の規則及び方法
(3) 疾病の診断及び治療方法
(4) 動物と植物の品種
(5) 原子核変換方法を用いて取得した物質
(6) 平面印刷物の図形、色彩或いは両者の結合によって形成された、主に標識的な機能を有するデザイン。
前項第(4)号で掲げた製品の生産方法に対しては、本法の規定に基づき特許権を付与することができる。
第23条 特許権を付与する意匠は、従来意匠に属さないものでなければならず、また同様の意匠が出願日以前に如何なる個人又は単位により国務院特許行政部門に出願されたことなく、かつ出願日以降に公告された特許書類に記載されていないものでなければならない。
特許権を付与する意匠は、従来意匠或いは従来デザインの特徴を組み合わせたものとは明らかな区別が付くものでなければならない。
特許権を付与する意匠は、権利付与以前に他人が既に取得している合法的権利と抵触するものであってはならない。
本法における従来意匠とは、出願日以前に国内外で公衆に知られている意匠を指す。
*10 第27条 意匠特許の出願に当たって、願書、当該意匠の図面又は写真、及び当該意匠の簡単な説明等の文書を提出しなければならない。
出願人が提出した上記図面又は写真は、特許による保護を求める製品の意匠を明確に示さなければならない。
*11 第11条 発明及び実用新案の特許権が付与された後、本法に別途規定がある場合を除き、如何なる単位又は個人も特許権者の許諾を受けずに、その特許を実施すること、即ち、生産経営の目的で、その特許製品を製造し、使用し、販売の申出を行い、販売し、輸入すること、その特許方法を使用すること、及び当該特許方法により直接得られた製品を使用し、販売の申出を行い、販売し、輸入することを行ってはならない。
意匠権が付与された後は、如何なる単位又は個人も、特許権者の許諾を受けずに、その特許を実施すること、即ち生産経営の目的で、その意匠製品を製造し、販売の申出を行い、販売し、輸入してはならない。
*12 第61条 特許権紛争が新製品の製造方法の発明特許に係る場合、同様の製品を製造する単位又は個人は、その製品の製造方法が特許の方法と異なることの証明を提供しなければならない。
特許権の侵害紛争が実用新案特許或いは意匠特許に係る場合、人民法院或いは特許業務管理部門は、特許権者或いは利害関係者に対して、国務院特許行政部門が係る実用新案又は意匠について検索、分析、評価を行った後に作成した特許権評価報告を提出するよう要求し、特許侵害紛争を審理、処理する証拠として用いることができる。
*13 第63条 特許を詐称した場合、法によって民事責任を負う他に、特許管理業務部門は改善命令を出し、これを公告し、違法所得を没収する。また、違法所得の4倍以下の罰金を併科することができ、違法所得がない場合には、20万以下の罰金を科すことができる。犯罪と見なされる場合、法によって刑事責任を追及する。
*14 第64条 特許管理業務部門が特許の詐称行為を取り締まる際に、関係当事者に尋問し、違法の疑いがある行為にかかわる情況を調査し、当事者の違法の疑いがある行為にかかわる場所を現場調査し、違法の疑いがある行為にかかわる当事者の契約、領収書、帳簿及びその他の資料を調べ、複製し、違法の疑いがある行為にかかわる製品を検査し、証拠により特許詐称であることと証明された製品を差し押さえることができる。
特許管理業務部門が法に基づき前項に定めた職権を行使するとき、当事者はそれに協力するものとし、拒絶、妨害をしてはならない。
*15 第65条 特許権侵害の賠償金額は、権利者が権利侵害により被った実際の損失によって決定する。実際の損失を確定することが困難である場合、権利侵害者が権利侵害により獲得した利益によって決定する。権利者の損失或いは侵害者が獲得した利益の確定が難しい場合、その特許の許諾使用料の倍数を参照して、合理的に決定する。賠償額は、更に、特許権者が権利侵害行為を停止させるため支払った合理的な支出を含むものとする。
権利者の損失、権利侵害者の獲得した利益及び特許許諾使用料の何れもが確定困難である場合、人民法院は特許権の種類、権利侵害行為の性質と状況等の要素に基づき、1万元以上100万以下の賠償を決定することができる。
*16 前掲注12
*17 第62条 特許権侵害紛争中、侵害者として訴えられた者が、その実施した技術或いはデザインが従来技術或いは従来デザインに属することを証明する証拠を有する場合、特許権侵害を構成しない。
*18 第66条 特許権者或いは利害関係者が、他人がその特許権を侵害している、或いは侵害しようとしていて、速やかに侵害行為を止めなければその合法的権益が補償しにくい位の損害を被る恐れがあることを証明できる証拠を持っている場合、起訴前に人民法院に対して関連行為の停止を命令するよう申請することができる。
申請者は、申請に際し、担保を提供しなければならない。担保を提供しない場合は申請を却下する。
人民法院は、申請を受け取ってから48時間以内に裁定を下さなければならない。特別な情況で延長が必要な場合は48時間延長することができる。関連行為を停止させる命令があった場合、速やかに執行しなければならない。当事者が裁定に不服である場合、復議を一回申請することができる。復議の期間中も、裁定の執行は停止されない。
申請者が人民法院による停止命令の措置があった日から15日以内に起訴しない場合、人民法院は当該措置を解除しなければならない。
申請が誤りであった場合、申請人は、被申請人が関連行為を停止することにより被った損失を賠償しなければならない。
*19 第67条 特許権侵害行為を制止するため、証拠が消失又は証拠の取得が困難になる可能性がある場合に、特許権者或いは利害関係者は、起訴前に人民法院に証拠保全を申請できる。
人民法院は保全措置の実施に際し、申請者に担保の提供を命令でき、申請者が担保を提供しない場合は申請を却下する。
人民法院は、申請を受け取ってから48時間以内に裁定を下さなければならない。保全措置を実施すると裁定した場合、これを速やかに執行しなければならない。
申請者が人民法院による保全措置があった日から15日以内に起訴しない場合、人民法院は保全措置を解除しなければならない。
*20 第15条 特許出願の権利或いは特許権を共有する者は、権利行使に関して合意がある場合、その合意に従う。合意がない場合、共有者は単独で実施すること、或いは通常実施権許諾により他人に当該特許の実施を許諾することができる。他人による当該特許の実施を許諾する場合、受け取った使用料は共有者間で分配しなければならない。
前項規定の情況を除き、共有される特許出願の権利或いは特許権の行為に関しては、共有者全員の同意を得なければならない。
*21 第48条 下記のいずれかの情況において、国務院特許行政部門は、実施条件を備えた単位又は個人の申請により、発明特許又は実用新案特許の実施の強制許諾を与えることができる。
(1) 特許権取得日から3年が満了し、かつ特許出願日から4年が満了しているのに、特許権者が正当な理由もなく特許を実施していない、或いはその特許を十分に実施していない場合。
(2) 特許権者による特許権の行使行為が、法律に基づいて独占行為であると認定され、当該行為の競争に対する不利な影響を取り除き又は減少するために行う場合。
第50条 公共の健康を目的として、特許権を取得した薬品に対し、国務院特許行政部門は、その製品の製造と、中華人民共和国が加入する国際条約に規定された国又は地域への輸出との強制許諾を与えることができる。
第52条 強制許諾に係る発明創造が、半導体技術に関わる場合、その実施は、公共の利益の目的と本法第48条2項に規定された状況に限られる。
第53条 本法第48条2項、第50条の規定により与えられた強制許諾を除き、強制許諾は国内市場への供給のために実施されなければならない。
第54条 本法第48条第1項、第51条の規定により強制許諾を申請する単位或いは個人は、証拠を鄭居し、合理的な条件で特許権者に対し特許の実施許諾を請求したが、合理的な時間内に許可を得られなかったことを証明しなければならない。
第57条 強制許諾を取得した単位又は個人は、特許権者に合理的な使用料を支払うか、又は中華人民共和国が加入する国際条約の規定に基づき、使用料の問題を処理する。使用料を支払う場合は、その金額は双方の協議によって決められる。双方の協議が成立しない場合、国務院特許行政管理部門によって裁定する。
*22 第69条 以下いずれかの情況がある場合は、特許権侵害とは見なされない。
(1) 特許権者或いは許可を取得した単位或いは個人が、特許製品又は特許方法によって直接獲得した製品を販売した後、当該製品を使用、販売の申出、販売、輸入する場合。
(2) 特許出願日前に既に同様の製品を製造し、又は同様の方法を使用し、又は既に製造、使用の必要準備を終えており、且つ元の範囲内だけで引き続き製造、使用する場合
(3) 臨時に中国の領土、了解、領空を通過する外国輸送手段が、その所属国と中国間で締結した協議又は共に加盟している国際条約に基づき、又は互恵の原則に従い、輸送手段自身の需要のためにその装置と設備において関係特許を使用する場合
(4) 専ら科学研究と実験のために特に関係特許を使用する場合
(5) 行政審査に必要な情報を提供するため、特許薬品或いは特許医療機器を製造、使用、輸入し、及び、専らそのために特許薬品或いは特許医療器械を製造、輸入する場合
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