1.在外者が日本で申請する際の注意すべき点?
①日本における代理人の選任
日本国内に住所又は居所、法人にあっては営業所を有しない外国人・外国法人(在外者)は政令で定める場合を除き、特許管理人によらなければ手続をすることが出来ない。(特8条(商77条②))
・信頼のできる日本の代理人の選任が必要。
・代理人の選任後も、当該代理人とのコンタクトが重要。
期限管理をはじめとする種々の手続を迅速かつ円滑に進めるための前提条件となる。
②パリ条約優先権制度の利用において(パリ条約第4条)
(1)第一国出願に基づいてパリ条約優先権を主張して日本に出願する場合、一定の利益を享受できる。例えば、
・優先期間内の他の出願等によっては不利な扱いを受けない。
・第一国出願日を基準に新規性等が判断される。
(2)必要な手続き
・パリ優先権を主張する旨を願書に記載しなければならない。
・優先権証明書の提出が必要
特許の場合は最先の出願日から1年4ヶ月以内、意匠・商標の場合は日本での出願日から3ヶ月以内(上記期間延長不可)
→優先権証明書を提出しない場合、優先権主張の効果を喪失する。
③外国語書面出願制度の利用において
英語で記載された明細書、特許請求の範囲、必要な図面、要約書を、日本語の願書に添付して特許出願することが可能。
・日本語の翻訳文の提出が必要(最先の出願日から1年2ヶ月以内)
→日本語の翻訳文を提出しない場合、出願が取り下げられたものと擬制される。
④商標の指定商品・役務の選択において
指定商品・役務の分類が、中国と日本とでは若干異なる。
中国で類似と判断されるものが、日本においては非類似と判断される場合がある。
指定商品・役務の選択においては、日本の代理人と相談して決定すべきである。
2.早期審査制度細を教えてください
①通常は、出願審査請求された順に審査が行なわれる。早期審査制度は、所定の要件を満たした出願に対して、早期審査の請求をすることで、他の出願より早く審査を受けることができる制度である。
②早期審査の対象となる出願
(1)出願審査請求がされていること。
出願審査請求と早期審査請求とは同時でもよい。
(2)以下の(i)~(iv)のいずれか一つの要件を満たしていること。
(i) その発明を実施していること。
(ⅱ) 出願人がその発明について、外国出願(PCT出願)している。
(ⅲ) 出願人の全部又は一部が、大学等である。
(ⅳ) 出願人の全部又は一部が、中小企業又は個人であるもの。
③早期審査に必要な手続
(1)早期審査を請求できるものは出願人(手数料は無料)。
(2)早期審査の請求には「早期審査に関する事情説明書」を提出することが必要である。「早期審査に関する事情説明書」には以下の(i) (ⅱ)の項目を記載する。
(i) 早期審査を希望する事情
例えば、2.(2)の(i)~(iv)のいずれに該当するか等を記載する。
(ⅱ) 先行技術の開示及び対比説明
先行技術調査の結果、先行技術との対比を説明する。補正案を提示することもできる。
④早期審査の選定基準
早期審査請求がされると、特許庁では以下の(i) (ⅱ)の項目に基づいて、早期審査の対象とするか否か選定する。
(i) 早期審査の要件を満たしているか否か
(ⅱ) 先行技術の開示が的確であるか否か
⑤早期審査の効果
早期審査の請求から平均2.6ヶ月で審査を受けることができる。
通常は出願審査の請求後平均26ヶ月を要する。(2005年特許行政年次報告書参照)
3.出願公開制度に関して
①通常、出願日から1年6ヶ月後に出願公開される。パリ優先権の主張を伴う場合は第一国出願日から1年6ヶ月後。
②出願公開請求制度(特64条の2)
出願人が請求すれば、出願後1年6ヶ月を経過しなくても、出願を早期に公開することができる。出願公開の請求に必要な要件は、(i)~(ⅲ)を満たしていること。
(i) 出願公開されていない。
(ⅱ) パリ優先権の主張を伴う場合は、優先権証明書の提出。
(ⅲ) 外国語書面で出願した場合は、日本語による翻訳文の提出。
③国内公表(特184条の9)
日本語以外の言語でPCT出願したものを、日本に国内移行した場合、優先日から2年6ヵ月後、又は、審査請求後、国内公表される。
4.補償金請求権の詳細について
出願公開後、特許登録までの間に、第三者が当該特許を侵害した場合、補償金を請求することができる(特65条)。
①補償金を請求するための要件
補償金を請求するための要件は、(i)~(ⅳ)を満たしていること。
(i) 出願公開がされていること。
(ⅱ) 特許請求の範囲に記載された発明を第三者が侵害したこと
(ⅲ) 原則、警告が必要。
第三者が、出願公開された発明であることを知った上で、当該発明を侵害した場合は、警告は必要ない。
(ⅳ) 補償金請求権の行使は、特許登録後。
②補償金請求額
実施許諾料相当額を請求することができる。
③その他
(1)出願公開請求制度を利用することにより、早期に、補償金請求権を発生させることができる。
(2)日本語以外の言語でPCT出願したものを、日本に国内移行した場合、国内公表により、補償金請求権が発生する。
5.PCTルートのメリット・デメリットについて
①メリット
出願国の決定や翻訳文の準備を、優先日から最長30ヶ月経過後まで延ばすことができる。
国際出願日の明細書等に基づいて補正をすることができるため、誤訳問題への対処という点で有利である。
国際調査報告・見解書が得られるので、特許可能性の判断ができる。
②デメリット:
費用は、PCTルートの国内移行時と、パリルートの第2国出願時とは同程度である。しかし、PCTルートは出願時の費用が、パリルートより多くかかる。
6.パリルートのメリット・デメリット
(1)メリット
基礎出願から1年以内に第2国出願を行なう必要はあるが、これにより権利化はPCTルートで国内移行を遅らせる場合に比べて速い。
費用がPCTルートの場合より安い。
日本のプラクティスに沿った明細書、特許請求の範囲で出願できる。
(2)デメリット
基礎出願が非日本語の場合は、誤訳問題への対処という点で不利である。ただし、基礎出願が英語である場合は、外国語書面出願を行なうことで、このデメリットを回避できる。
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