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USPTOがIssue Feeの納付後にIDSを考慮するQPIDSの試行期間を延長
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
2013年06月03日
(文責:新 井)
1. はじめに
IDSの提出は、以下に示すように、提出時期に応じて要件が異なります。
【IDSの提出時期と留意すべき要件】
- ①出願から3ヶ月以内、又は1st OA発行までのうち何れか遅い方まで(37 CFR 1.97(b))
- ②Final OA又はNotice of Allowance発行まで(37 CFR 1.97(c))
- statementの提出(37 CFR 1.97(e)(1) *1 もしくは(2) *2)、または所要の費用の支払(37 CFR 1.17(p)が必要。
- ③Issue Feeの納付まで(37 CFR 1.97(d))
- statementの提出(37 CFR 1.97(e) (1) *1もしくは(2) *2)と、所要の費用の支払(37 CFR 1.17(p)の双方が必要。
- ④Issue Feeの納付後、特許発行まで(MPEP § 609 III.B(4))
- IDSを提出しても審査官には考慮してもらえない。特許発行取下を求めるpetitionを提出(37 CFR 1.313(c)(2), (3))し、継続出願手続またはRCE手続が必要。
- ⑤特許発行後
- 審査官に考慮はされないが、情報を包袋に含めることが可能(37 CFR 1.501)。審査官に考慮してもらうためには、再審査手続(37 CFR 1.510)が必要。
上記の④のように、Issue Feeの納付後であって特許発行までの時期の場合、情報を審査官に考慮してもらうためには、継続出願またはRCE手続が必要となります。このような再出願手続を行った場合、最終的に特許発行されるまでに要する時間が長くなってしまいます。
上記事情に鑑み、2012年5月10日に、USPTOは、Issue Fee 納付後にIDSを審査官に考慮してもらうための試行プログラム(Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS) pilot program)を試行し、compact prosecution 及び pendency reductionに努めてきました。この間、2回の試行期間の延長が行われました(最初2012年12月15日まで延長され、その後、2013年3月23日まで延長された)。
そして、2012年5月10日のPress Release( USPTO to Test New Option for Information Disclosure Statements (IDS), 77 Fed. Reg. 27443 )において、2013年9月30日までQPIDSの試行が更に延長することが公示されました。
QPIDSは、Issue Feeの納付後であって特許発行までの時期に、関連情報を審査官に考慮してもらうために非常に有用な手続であり、場合によっては、継続出願またはRCE手続を不要とすることが可能です。内容を十分理解した上で実務に役立ててください。
2. QPIDSの概要
QPIDSは、Issue Feeの納付後であって特許発行までの時期の場合でも、場合によっては、RCE手続を回避でき、結果として、RCE手続の件数が削減されると共に特許発行の遅延を回避することを可能とする試行プログラムです。
QPIDSにおいて、提出された情報は、審査官によって考慮され、その結果、提出情報に基づいて審査を再開する必要があると審査官が判断した場合に、RCE手続においてプロセキューションが再開されます。
これに対し、審査官による考慮の結果、提出された情報が特許性に影響を与えるものではないと判断された場合には、“corrected Notice of Allowability”が発行され、特許発行手続が行われることになっています。この場合、RCE手続費用は出願人に返金されると共に、RCE手続による特許発行の遅延は回避されることになります。
【パイロットプログラムに関する留意事項】
- パイロットプログラムの適用対象:
>Issue Feeの納付後であって特許発行前の特許出願又は再発行特許出願。
- 情報提出の形態と費用:
>USPTO’s online filing system, EFS-Webを介し、form PTO/SB/09を使用して情報を提出。
>A Web-based e-Petition to withdraw from issue under 37 CFR 1.313(c)(2) の提出、petition fee(37 CFR 1.17(h))の支払、及び37 CFR 1.17(e) に規定のRCE手続費用の支払が必要。
>37 C.F.R. § 1.97(e)(1)又は(2) のstatement の提出と、37 C.F.R. § 1.17(p) に規定の費用支払が必要。
>提出された情報が特許性に影響を与えるものではないと判断された場合、37 C.F.R. § 1.17(p) に規定の費用および37 CFR 1.17(e) に規定のRCEの費用は自動的に返金される。
>パイロットプログラム自体への参加のためのオフィシャル・フィーは無料。
- パイロットプログラムの試行期限:
>2013年9月30日まで。
以 上
*1 ”statement”に含まれる情報が、対応外国出願において外国特許庁からの通知で最初に引用されてから3ヶ月以内に提出したことが、当該”statement”において陳述されなければならない。
*2 ”statement”に含まれる情報のいずれもが、(i) 対応外国出願において外国特許庁からの通知で引用されたものでなく、かつ、(ii) 相当の調査を行った後に本”statement”に署名する者の知る限りにおいて、当該”statement”に含まれる各情報のいずれもが規則1.56(c)に規定のいずれの個人(顧客における本件の関与者、当所における本件の関与者、および米国事務所における本件の関与者等の本件米国特許出願に関与する全ての者)にも知られているものでなく、しかも、(iii) 当該情報開示陳述書の提出までに3ヶ月以上経過していないことが”statement”において陳述されなければならない。