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US非自明性に係る拒絶理由の根拠が代替均等物である場合の対応

特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成17年11月28日
(文責:新 井)

1.はじめに
 審査官は、代替均等物に基づいて非自明性に係る拒絶理由を通知してくることがあります。このような場合、代替均等物であるとの事実関係のみに基づいて対応する必要はありません。以下に講じ得る措置を説明します。

2.具体例
 説明の便宜上、審査官は、次の事項に基づいて本願クレーム発明(電気メッキの分野)が非自明性の特許要件を具備していない旨、認定していると仮定します。
(1) 主引用文献は、機械的振動機を用いることを開示しているが、電磁力を介して半導体基板を振動させる誘導コイルを開示していない。
(2) 半導体基板を振動させる誘導コイルが主引用文献の機械的振動機の単なる代替均等物(MPEP 2144.06をご参照ください。)である。
(3) 複数の副引用文献(電気メッキの分野とは無関係な分野)には、誘導コイルが機能面における代替均等物であることが示されている。
(4) 副引用文献は、電気メッキの分野とは関連がない。

 このような場合、審査官の上記認定は不当である旨の反論を行うことが可能です。
まず、MPEP 2144.06には、”SUBSTITUTING EQUIVALENTS KNOWN FOR THE SAME PURPOSE” が次のように記載されています。

 「非自明性に係る拒絶理由をサポートする根拠を代替均等物に依拠する場合、従来技術中に問題の代替均等物が認識されていなければならない。したがって、出願人の開示に基づくものであってはならないし、問題の構成要件が機能的または機械的な代替均等物であるという事実のみに基づくものであってもならない。」旨、記載されています。

 更に、Smith v. Hayashi 209 USPQ 754 at 759.に判示されているように、特に、同一の技術分野において、2つの代替均等物が機能的に等価であることが知られている旨が示されていなければなりません。この判例においては、フタロシアニンとセレンとが等価な光導電体として機能するという事実のみに依拠してクレーム発明の自明性を確立することができない旨、示されています。つまり、上記判例においては、フタロシアニンとセレンとが双方とも電子写真の分野(本判例の場合、発明は電子写真の分野に属するものでした。)において光導電体として知られていなければならなかったわけです。

 前記具体例の場合、副引用文献は、電磁力を用いて半導体基板を振動させる誘導コイルが、電気メッキの分野において知られていることを示していません。つまり、電気メッキの分野において、誘導コイルが主引用文献の機械的な振動機と等価であることが知られていることを上記の副引用文献は示していません。なぜなら、副引用文献のいずれも、電気メッキの分野とは関連がないからです。

MPEP 2144.06の要件を満たすためには、機械的な基板振動と電気的な基板振動との双方が等価であることが本願クレーム発明の関連分野(本件の場合、電気メッキ金の分野)において知られていることが引用文献中に示されていなければなりません。

 上記下線部の事項が示されていない限り、MPEP 2144.06の規定及びSmith v. Hayashi 209 USPQ 754 at 759.の判例に基づき、審査官の上記認定が不当である旨の反論を行うことが可能です。

以 上

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