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米国再発行特許出願において、オリジナルクレームを含んだまま新たに縮減されたクレームを追加することはできないことが示された審決

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成22年01月12日
(文責:新 井)

1.はじめに
  再発行特許出願 *1 において、オリジナルクレームの全てがそのまま含まれていると共に、オリジナルクレームを引用する従属クレームが追加されている場合、35 U.S.C. § 251 に規定の過誤の要件を満たすか否かが争点となりました。以下に簡単に説明します。*2

2. 審理内容
本件の場合、再発行特許出願に際し、オリジナルクレーム1を引用する従属クレーム16を追加する補正のみが行われました(オリジナルクレームの全ては補正されずにそのまま)。発明者は、デクラレーションをファイルし、開示されたクレーム発明ではオリジナル特許クレームによって十分にカバーされていないので、クレームが全体として、あるいは、部分的に権利行使をできないと旨を開陳しました。

これに対して、審査官は、本件の再発行特許出願において、オリジナルクレームの全てが含まれていると共に、唯一の従属クレームが追加されているのみであるので、出願人の上記開陳は35 U.S.C. § 251 下の過誤を満たすことはできない旨の認定を行いました。

審判部は、審査官の上記認定が妥当である旨の審決を下しました。これによれば、再発行特許出願がオリジナルクレームの全てを含み、オリジナルクレームを縮減した従属クレームが提示されていることが、35 U.S.C. § 251 and 37 C.F.R. § 1.175(a)(1)下における訂正可能な過誤であるか否かが問題であるが、このような従属クレームの追加は、特許においてクレームすることができるという特許権者が有する権利を行使していない結果ではない。

特許権者は、審判において、概ね、特許においてクレームすることができる権利以上または権利以下をクレームしているとの理由により、オリジナル特許が部分的に実施できない旨をSubstitute Reissue Declarationにおいて開陳しているが、単に特許においてクレームすることができる権利以上または権利以下をクレームしている旨を繰り返すのみであって、オリジナルクレームの権利範囲が広すぎて特許が部分的に実施できないのか、あるいは、オリジナルクレームの権利範囲が狭すぎて特許が部分的に実施できないのかについて言及していない。むしろ、本審判手続によって提示された過誤は、特許権者の特許クレーム数が少なすぎたことに基づくものである。

特許権者は、Substitute Reissue Declarationにおいて、開示発明がオリジナルクレームによって十分にカバーされていなかったことを認識し損ねた旨を開陳した。しかしながら、上記開陳は不適切である。なぜなら、オリジナルクレーム(open-ended “comprising” languageを使用している。)は、今回追加された再発行クレーム16に提示の発明をカバーしているからである(オリジナルクレームが、今回追加された再発行クレーム16に記載の発明を十分にカバーしていない旨を開陳していたら話しは別であるが。)。

特許権者は、しかしながら、Substitute Reissue Declarationにおいて、オリジナルクレーム1の記載が広すぎて本願発明が部分的に実施できない旨を開陳していない。しかも、特許権者は、本再発行特許出願において、クレーム1を縮減する補正を行うか、あるいは広く記載されすぎた引用先のクレーム1をキャンセルしていない。

このように再発行特許出願によって訂正される過誤を開陳するSubstitute Reissue Declaration において使用した不明瞭な文言に鑑み、本再発行特許出願クレームから到達できる結論は、オリジナルクレームのうちの幾つかが無効であるとされた場合に備え、特許権者が追加クレーム16の権利化を図ろうとしていることであり、このことは法的要件を満たすものではない。

3. 実務上の留意点
再発行特許出願においてオリジナルクレームを縮減する場合(オリジナルクレームを縮減する従属クレームを新たに追加する場合を含む。)、本審決に鑑み実務上留意すべき事項は以下のとおりです。

・ 特許クレームを単に縮減したクレームを追加するだけでは、35 U.S.C. § 251 に規定の過誤の要件を満たすことにはならない。
・ Reissue Declarationにおいて、オリジナルクレームの記載が広すぎて本発明が部分的に実施できない旨を開陳しなければならない。
・ open-ended “comprising” languageを使用してオリジナルクレームが記載されている場合、当該オリジナルクレームの記載が広すぎて本願発明が部分的に実施できないことを裏付けるために、オリジナルククレームを縮減する補正を行うか、あるいは再発行特許出願において新たに追加した従属クレームの引用先であるオリジナルクレームをキャンセルしなければならない。


以 上


*1  再発行特許出願(reissue patent application)とは、出願人の側の過誤を正すための手続(過誤原因の特定は不要)であり(see 35 U.S.C. 251, 37 CFR 1.171, MPEP § 1410)、失効していない特許に対してのみ適用可能です。この際、クレームを拡大する場合には発行から2年以内に出願する必要がある(see 35 U.S.C. 251)と共に出願全体が適用対象であり、したがってクレーム単位では手続できません。また、再発行特許出願においては、優先権主張を追加することができると共に(see MPEP § 1402)、発明者を追加することも可能です。但し、特許出願の審査過程において分割出願手続を行わなかった発明の主題をクレームとすることはできません(see MPEP 1412.01 Reissue Claims Must Be for Same General)。再発行されると、再発行された内容で元の特許が発行されたのと同様の効果を有します(see 35 U.S.C. 252)。但し、一定の場合には他者に中用権が発生します(see 35 U.S.C. 252)。
*2 LINK: http://271patent.blogspot.com/2010/01/bpai-reissue-not-available-when.html


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