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プロセキューションにおいて審査官と良好な関係を維持するために
特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成22年02月08日
(文責:新 井)
1.はじめに
プロセキューションにおいて審査官との間で良好な関係を維持することは出願人にとって関心事の一つです。究極のところ、出願人にとって有難い審査官とは、出願人に協力的な審査官のことでしょう。審査官と良好な関係を保つことが、しばしば、良い成果をもたらしてくれます。
逆に、審査官と良好な関係を維持できない方法は数多くあります。これらの方法のすべてを完全に挙げ尽くすことは不可能であり、また、審査官も一人一人異なります。こういう事情にはありますが、以下に示すの5つの措置を講じれば、確実に審査官と良好な関係を維持できないであろうことがコメントされています。*1
2.審査官の機嫌を確実に損ねる5つの措置
次の5つの措置を講じなければ、出願人は、審査官との良好な関係を維持できると考えられます。
措置1:Final OAに対する応答書の提出後に、複数の書類を提出する。
審査官は、Advisory Actionsを発行しても、それが実績値として計上されないことを忘れてはなりません。
措置2:引用文献が反論をどのようにサポートしているかについて一切説明することなく、包括的な引用文献のみに関する一般的な反論を複数の従来技術に対して提示する。
審査官に負担を与えることは、不公平であり、且つ、Office Actionに対する応答として得策とは言えません。また、引用文献中の具体的な証拠に基づいて反論を行えば、より説得力のある反論が行えます。加えて、37 CFR 1.111(b) に規定の以下の要件に留意しなければなりません。
すなわち、審査官に再考をしてもらうためには、出願人(又は特許権者)は、Office Actionに応答しなければならない。出願人(又は特許権者)による応答とは、審査官の認定において考えられる誤りを明白且つ具体的に書面で指摘すると共に、前回のOffice Actionで指摘された全ての拒絶理由に応答することに帰着されます。このような応答は、挙示された引用文献に対して本願クレーム発明(新たに追加されたクレーム発明を含む。)が特許性を有すると考えられる具体的な引用文献との差異を指摘しなければなりません。更に、一般的な反論は、pre-appeal request for reviewにおいて有用ではありません。なぜなら、出願人は、包袋の記録が具体性を欠く場合に合議体をその記録へと導くことができないからです。
措置3:多数の条項に記載されたパラグラフを頻繁に用い、不必要に長い応答書をファイルする。
審査官は、新規性に関する法律手引書を必要としません。§§ 102 and/or 103に記載のパラグラフを延々と転記した応答書は、不明瞭になりがちであり、しかも、最も関心のある読み手に対しても挑戦するようなものです。審査官は、そのようなパラグラフを読み飛ばしてしまうのが常です。出願人の反論が、このようなパラグラフに紛れているか、あるいはその付近に目立たないように記載されている場合、審査官は、関連の深い説得力のある反論を見逃してしまう可能性があります。このことは、また、出願人が、審査官によって読まれることがない、とっておきの措置を無駄にしてしまう可能性があることを意味します。
措置4:当該技術分野において広く一般に認められた用語が存在するにもかかわらず、一般的でない用語を使用する。
MPEP § 2111.01(IV) によれば、出願人は、辞書編集者としての権利を有しています。しかしながら、出願人は、一般に広く用いられ、馴染みのある用語で発明を特徴づけていない場合、結果として出願審査が妨げられる可能性を秘めています。たとえば、一般的でない用語は、審査官のサーチをより困難なものにしてしまいます(多くの時間を要する)。審査官には限られた審査時間しか与えられていない事情に鑑み、Office Actionの潜在的な損失に対して行う先行技術調査に審査官がより多くの時間を割くことを余儀なくさせる必要はないでしょう。
措置5: 個人面談において審査官を遣り込めようとする。
個人面談においては、審査官に本願発明をより深く適切に理解してもらうために、審査官を敬い、審査官との間で建設的な協議を行い、互いの合意点を見出すようにすることが好ましいと考えます。これに反し、個人面談の場で、審査官に背を向け、審査官を遣り込めようとすれば、好ましい成果は期待できなくなります。
3.選外佳作の措置
審査官との良好な関係を維持できない上記5つの措置以外に、選外佳作とも言える次の好ましくない措置6~8があります。
措置6
「補正クレーム及び/又は追加クレームの特徴が、拒絶理由において言及されていない、及び/又は従来技術には開示されていないので、拒絶理由が不適切である/不十分である。拒絶がなされたときに提示されなかったクレームの特徴に基づいて、誤りがあると認定することは非論理的且つ失礼であると考えられる。」というような反論を行う。*2
措置7
特に、オリジナルクレームを補正せずにそのままにした場合であって、前回に提示したクレームが引用文献に対して差異を有しているので拒絶理由には承服しない旨を反論した場合、新たなクレームが特許性を有しているか否かを判断するために、前回提示した特徴とは異なる特徴の組み合わせを文言した新たなクレームを追加することによって応答する。
措置8
個人面談の際に審査官との間で合意した後、どの範囲のクレームが許可されるかを検討の上、クレームを広くすることができるとした場合、何ら説明を付すことなく、上記の合意内容とは異なる対応を行う。
以 上
*1 Link: http://patentablydefined.com/
*2 上記反論の代わりに、たとえば、「審査官による部材Xの特徴付けの妥当性を認めないで、補正後のクレーム1発明の部材Xを引用文献1は教示していない。」旨を反論するというアプローチを検討すべきである。