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KSR最高裁判決後の自明性に係る米国審査ガイドラインのアップデート

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成22年09月05日
(文責:新 井)

1.はじめに

KSR最高裁判決を受け、2007年10月にUSPTOは自明性に係る審査ガイドライン(2007 KSR Guidelines)を発行しました。その後3年間で自明性に係る関連判例であって審査官に有用な20件を超える判例に基づき、このたび、USPTOは上記審査ガイドラインをアップデートする旨の通達を発行しました(以下、2010 KSR Guidelines Updateという。)。2010 KSR Guidelines Update* の発効日は、2010年9月1日です。USPTOは、2010 KSR Guidelines Update に対するコメントを公募しています。



2. 2010 KSR Guidelines Updateに紹介されている項目別の判例と判示要点

以下は、2010 KSR Guidelines Updateに紹介されている項目別の判例とその判示要点を纏めたものです。

2-1.先行技術の構成の組み合わせ
事件名 判示要点
In re Omeprazole Patent Litigation, 536 F.3d 1361 (Fed. Cir. 2008) クレーム発明に記載の物を生成するために適用できたであろう一般的な方法が、公知であり且つ当業者のレベルの範囲内であった場合でも、上記の方法を用いることを示唆していた課題が公知でなかった場合、クレーム発明は非自明である可能性がある。
Crocs, Inc. v. U.S. Int'l Trade Comm'n., 598 F.3d 1294 (Fed. Cir. 2010) 先行技術の構成を組み合わせたクレーム発明は、上記先行技術が上記組み合わせから遠ざかることを教示していると共に、上記組み合わせが非予測以上の効果を奏する場合、非自明である可能性がある。
Sundance, Inc. v. DeMonte Fabricating Ltd., 550 F.3d 1356 (Fed. Cir. 2008) クレーム発明は、組み合わせられた後の特徴または機能を維持することが当然に期待されたであろう公知の構成の組み合わせである場合、自明である可能性が高い。
Ecolab, Inc. v. FMC Corp., 569 F.3d 1335 (Fed. Cir. 2009) 公知の構成の組み合わせは、当業者が、上記の組み合わせの合理的理由を認識していたであろうと共に、その組み合わせを知っていたであろう場合、自明であったであろうと推定される。
Wyers v. Master Lock Co., No. 2009–1412, —F.3d—, 2010 WL 2901839 (Fed. Cir. July 22, 2010) 類似技術の範囲は、広く解釈されるべきであると共に、発明者が解決しようとした課題に合理的に関連していると解釈されるべきである。常識は、それが十分な理由に基づいて説明されている限り、自明と法的に結論することをサポートするために使用される可能性がある。
DePuy Spine, Inc. v. Medtronic Sofamor Danek, Inc., 567 F.3d 1314 (Fed. Cir. 2009) KSR事件の予測可能性には、公知の構成が組み合わせ得ることを期待すること、及び公知の構成の組み合わせが意図する目的を達成したであろうことを期待することが含まれる。クレームに記載の組み合わせが自明ではなかったであろうとの推定は、次の場合に特に強い。すなわち、当業者が公知の構成を組み合わせたであろう理由が提示されることが、先行技術の教示によって弱体かされる場合。


2-2.公知の構成と他の構成との置き換え
事件名 判示要点
In re ICON Health & Fitness, Inc., 496 F.3d 1374 (Fed. Cir. 2007). 努力傾注の技術分野と異なる引用文献が自明事由(つまり、類似の自由)をサポートするために使用され得るか否かを判断する場合、解決課題を考慮しなければならない。
Agrizap, Inc. v. Woodstream Corp., 520 F.3d 1337 (Fed. Cir. 2008). 類似技術は、発明を試みる技術分野の引用文献に限定されない。出願人の目的に有用であるという理由で技術分野の当業者が認識したであろう引用文献も含む。
Muniauction, Inc. v. Thomson Corp., 532 F.3d 1318 (Fed. Cir. 2008). インターネット及びウェブブラウザ技術が、情報の通信と表示にとってありふれたものとなっているので、既存のプロセスを適用してそれらをそれらの機能に組み入れることは自明であったであろう。
Aventis Pharma Deutschland v. Lupin, Ltd., 499 F.3d 1293 (Fed. Cir. 2007). 化合物は、次の場合、その化合物と他の化合物との混合物に対して自明であったであろう。その化合物が公知であるか、あるいは上記混合物の所望の特性が全体にまたは一部においてクレームに記載の混合物から導出したことを信じるに足る根拠を当業者が有していたと共に、クレームに記載の化合物を上記混合物から分離することが当該技術分野においてルーチンワークであった場合。
Eisai Co. Ltd. v. Dr. Reddy's Labs., Ltd., 533 F.3d 1353 (Fed. Cir. 2008). クレームに記載の化合物は、次の場合には自明ではなかったであろう。すなわち、最も近い先行技術である先導化合物を変更してクレームに記載の化合物を得る理由がなかった場合であって、先行技術が先導化合物を変更することがその有利な特性を駄目にする場合。どのような公知の化合物でも、先導化合物で始まりそれを変更してクレームに記載の化合物を得る根拠が存在する場合には、先導化合物として機能し得る。
Procter & Gamble Co. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc., 566 F.3d 989 (Fed. Cir. 2009). 自明性に係る拒絶理由をサポートするために唯一の化合物を鉛化合物として選択する必要はない。しかしながら、鉛化合物を選択および変更してクレームに記載の化合物を得る根拠が存在していた場合であって、成功の合理的な期待が存在しなかった場合、クレームに記載の化合物は自明ではなかったであろう。
Altana Pharma AG v. Teva Pharms. USA, Inc., 566 F.3d 999 (Fed. Cir. 2009). 公知の化合物と類似の構成に対する化合物の自明性は、特別な方法で当業者に公知の鉛化合物を選択および変更させてクレームに記載の化合物を生成させる一連の根拠を特定することによって示すことができる可能性がある。上記根拠が、引用された先行技術中に明示的に記載されている必要はないし、その先行技術が唯一の鉛化合物を指し示している必要もない。
Perfect Web Techs., Inc. v. InfoUSA, Inc., 587 F.3d 1324 (Fed. Cir. 2009). 有限数の特定の予測可能な解決策が存在し、非予測の結果の証拠が存在しなかった場合、試みることが自明であるかどうかの問題は、自明性の法的結論に適切に導く可能性がある。常識は、十分な根拠に基づいて説明される限り、自明性の法的結論をサポートするために使用し得る。


2-3.試みることが自明である理論的根拠
事件名 判示要点
In re Kubin, 561 F.3d 1351 (Fed. Cir. 2009). クレームに記載のポリヌクレオチドは、次の場合、それがコードする公知のたんぱく質に対して自明であったであろう。すなわち、標準的な生化学技術を用いてクレームに記載のポリヌクレオチドを導出する際に、当業者が成功の合理的な期待を持ったであろう場合であって、当業者であればクレームに記載のポリヌクレオチドを単離しようとする根拠を持ったであろう場合。KSR最高裁判決は、予測可能な技術のみに適用されるのではなく、全ての技術に適用される。
Takeda Chem. Indus. v. Alphapharm Pty., Ltd., 492 F.3d 1350 (Fed. Cir. 2007). クレームに記載の化合物は、次の場合、自明ではなかったであろう。そのいずれもが、更なる探求のための鉛化合物として選択されたであろう複数化合物の広い範囲から上記化合物を得ようと試みることが自明であった場合であって、先行技術が特定の鉛化合物を用いることから遠ざかった場合であり、且つ、上記の鉛化合物をクレームに記載の化合物に変質させるために必要な特定の変更を行うことの成功の合理的な期待または予測正が存在しながった場合。
Ortho-McNeil Pharmaceutical, Inc. v. Mylan Labs, Inc., 520 F.3d 1358 (Fed. Cir. 2008). クレームに記載の化合物を得ようと試みることは、次の場合、自明ではなかったであろう。すなわち、クレームに記載の抗痙攣薬が、新しい抗糖尿病薬を発見する目的で行った研究中に多少思いがけなく発見されていた場合であって、先行技術が有限且つ容易に行き来される数の潜在的な開始化合物を提示しなかった場合であり、しかも、多数の非予測の代替物中から特定の開始化合物を選択する明白な根拠が存在しなかった場合。
Bayer Schering Pharma A.G. v. Barr Labs., Inc., 575 F.3d 1341 (Fed. Cir. 2009). クレームに記載の化合物は、次の場合、自明であったであろう。すなわち、先行技術によって比較的多くの可能性の中から範囲を限定され、有限且つ容易に行き来される数のオプションから上記の化合物を得ようと試みることが自明であった場合であって、クレームに記載の化合物を得ることに伴う結果が合理的に予測可能であった場合。
Sanofi-Synthelabo v. Apotex, Inc., 550 F.3d 1075 (Fed. Cir. 2008). クレームに記載の単離された立体異性体は、次の場合、自明ではなかったであろう。すなわち、クレームに記載の立体異性体が、公知のラセミ混合物と比べて、相応に予測される毒性を示すことなく非予測の強い治療的利点を示す場合であって、その結果得られる、ラセミ混合物から分離された立体異性体の光学異性体の特性が非予測であった場合。
Rolls-Royce, PLC v. United Technologies Corp., 603 F.3d 1325 (Fed. Cir. 2010). 試みることが自明であることの理論的根拠は、次の場合、適切である。すなわち、課題解決の可能性のあるオプションが公知でない場合または有限でない場合。しかしながら、上記可能なオプションが公知または有限であった場合、試みることが自明であることの理論的根拠は、自明性の結論をサポートするために使用できない。
Perfect Web Techs., Inc. v. InfoUSA, Inc., 587 F.3d 1324 (Fed. Cir. 2009). 特定され且つ予測可能な有限数の解決策が存在した場合であって、非予測の結果の証拠が存在しない場合、試みることが自明であるか否かの問題は、自明性の法的結論に適切に導く可能性がある。常識は、十分な根拠に基づいて説明される限り、自明性の法的結論をサポートするために使用し得る。


2-4.証拠の考慮
事件名 判示要点
PharmaStem Therapeutics, Inc. v. ViaCell, Inc., 491 F.3d 1342 (Fed. Cir. 2007). 自明性の解析において全ての証拠が考慮されなければならないが、非自明性の証拠よりも、記録にある矛盾証拠、または明細書の開示の方が重要である。成功の合理的期待は自明性の事由をサポートするためには必要であるが、絶対的な予測可能性は必要とされない。
In re Sullivan, 498 F.3d 1345 (Fed. Cir. 2007). 全ての証拠は、一応の自明性の事由に反駁する証拠を含んでおり、適切に提示された場合に考慮されなければならない。
Hearing Components, Inc. v. Shure Inc., 600 F.3d 1357 (Fed. Cir. 2010). 適時適切に提示された証拠は考慮され記録に残されなければならない。商業的成功の証拠は次の場合、妥当である。プロダクトの成功とクレームに記載された発明との間の関連性が実証された場合。
Asyst Techs., Inc. v. Emtrak, Inc., 544 F.3d 1310 (Fed. Cir. 2008). 商業的成功や長い間の切実な要求等の自明性に係る二次的考慮の証拠は、一応の自明性の事由が強力は場合、一応の自明性の事由を克服するには不十分の可能性がある。商業的成功に基づく非自明性に係る反論やや長い間の切実な要求に基づく非自明性に係る反論は、次の場合、弱体化される。すなわち、商業的成功や長い間の切実な要求をクレームに記載の特徴(先行技術と差別化する特徴)にリンクさせていなかった場合。




以 上


*1 LINK: http://edocket.access.gpo.gov/2010/pdf/2010-21646.pdf

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