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プロパテント社会の行く末

2002年 6月24日
原謙三国際特許事務所
(文責:樫本)

昨今の日本の産業界では、技術力の低下が大きな問題となっていますが、そのために韓国、台湾、中国などとの技術格差が年々縮まり、これ以上の低迷を放置できない状態になってきています。このような低迷が生じた原因として、コスト削減のため生産を海外へシフトさせることにより技術の流出が加速されたこと、技術開発型ベンチャーの起業が少ないこと、大学の研究環境が劣化してきていることなどが考えられます。

20世紀後半の日本は、高度成長期で磨かれた技術力を武器に世界に進出してきましたが、バブル崩壊以降の低迷状態から抜けきれずに21世紀を迎えました。各方面で今までのやり方に大きな疑問が投げかけられ、それは産業界に対しても例外ではありませんでした。造れば売れるという時代は遠く過ぎ、中国や台湾などの猛追を受けてコストでは勝負できない現在、より高付加価値のある独創的な物づくりが求められるようになってきました。産業界ではその動きがすでにありますが、中国での特許侵害品の氾濫に見られるように、技術的に優れた物を造っても、それが充分に保護されない状況にあります。

このような状況の中、知的財産関連の法的な整備や小泉純一郎首相が主宰する“知的財産戦略会議”の立ち上げなどに見られるように、日本でもようやくプロパテント政策が本格化しようとしています。先にプロパテント改革を実現させた米国では、すでに、特許使用料で莫大な収益を上げる企業や、製品を造らずに特許そのものを取引対象とする企業の登場が現実のものとなっています。このような米国企業は特許を武器に日本を含む外国企業に多額の特許使用料を求め、多くの企業がそれに応じ、また争ってきました。

日本の企業は特許取得には熱心だが権利行使にはあまり関心がない、と言われてきましたが、プロパテント社会に突入すれば、相互利用できる特許があればクロスライセンスを結び、侵害があれば訴訟も辞さないといった対応がより明確になり、権利行使に関心を持たざるを得ない状況になってきます。このため、企業は特許に対するより厳しい目を持つことが必要になるでしょう。

一方、一般大衆に目を向ければ、まだ、プロパテントを論じる以前に知的財産権に関する関心は低いと感じます。特許庁や発明協会などが広報活動を通じて知的財産権を広めており、それなりの成果を上げていますが、知的財産権を身近に感じている一般人はまだまだ少ないのではないでしょうか。総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)が知的財産を専門に扱う大学院の創設を提案するように、エキスパートの育成も重要ですが、一般教育にも知的財産を取り入れて、アイデアや創意工夫を保護する意義を国民にアピールすることも、プロパテントを推進し、知的財産立国を目指す上で有効であると考えます。

プロパテントが知的財産に携わる人々にだけ関係するのではなく広く一般に浸透することによって、誰もが知的財産権を尊重する社会が築かれ、特許などが本当の意味での“財産”となることを切に願います。

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