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海外特許と経済成長

2007年01月26日
特許業務法人 原謙三国際特許事務所
弁理士 植田 慎吾

経済の実態を判断する指標として、経済成長率がある。経済成長率とは、GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)の伸び率のことであり、好況時は経済成長率が高くなり、不況時は経済成長率が低くなる。

GDPとは、国内で生み出された財やサービスの付加価値の総額であり、国内の所得であれば、日本人・外国人の区別なく含まれる。GDPが経済の主要指標として用いられ始めたのは1993年であり、それ以前は、GDPではなくGNP(国民総生産:Gross National Product)が用いられていた。

GNPとは、その国民によって生み出された財やサービスの付加価値の総額であり、GDPとGNPとは、以下のような関係になる。
GNP=GDP+(海外からの所得の受け取り)-(海外への所得の支払い)
分かりやすい例では、日本人メジャーリーガーの所得はGDPには含まれないがGNPには含まれ、日本のプロ野球の外国人選手の所得はGDPには含まれるがGNPには含まれない、ということになる。また、日本人が外国株や外国債によって得た運用益は、GDPには含まれないがGNPには含まれる。なお、財やサービスの輸出から輸入を差し引いた純輸出は、GDPにもGNPにも含まれる。

前述のように、近年では経済指標として専らGDPが用いられており、GNPという用語を目にすることはほとんどない。GNPからGDPに切り替えられた理由として、GDPは国内景気の把握という趣旨に合致し補足が容易であること、欧州諸国等では各国内でみた経済規模を重視していたことが挙げられる。

1980年頃までは、GDPとGNPとの差はほとんどなかったが、その差は年々増加し、2005年には、GNPがGDPを2.5%ほど上回っている。この要因として、金融機関などによる海外への証券投資や、製造業の海外子会社からの配当収入等が増加していることが挙げられる。例えば製造業では、海外拠点の営業利益の占める割合が増加しており、国内で研究開発し海外で製造販売するという傾向はますます顕著になっている。

また、海外からの特許等使用料(特許権及び著作権使用料)もGNPには含まれるが、GDPには含まれない項目の一つである。ここで、日本国内での特許出願件数は、2001年をピークに横ばいである一方、日本からのPCT出願件数は2000年の9567件から2005年には25145件に急増している。このことは、海外からの特許等使用料が今後も増加し、その増加分が、GDP成長には反映されないがGNP成長には反映されることを意味している。

このようにGDPとGNPとの差が広がる中、経済指標として再びGNPを用いるべきだという意見もある。これは、人口減少等により内需の拡大は見込めないため、GDPの持続的な成長が難しいと考えられる一方、企業の海外での収益増加等が今後さらに期待されるとの考えに基づいている。

経済指標を再びGNPに切り替えることは、単に国力を大きく見せようとする見栄ともとれる。しかしながら、今後も日本が国際競争力を保つためには、国内需要に頼るだけでなく、海外からの収益を増やすことによりGNPを成長させることが不可欠である。私見であるが、国内金利が超低金利局面から上昇局面に移行しているため、海外への投資が今後も高水準を維持するとは限らないと思われる。そうなると、GNP成長に占める特許等使用料の重要性はさらに高まっていくであろう。


以上





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