特許法とは?
「特許法」 とは、一言で説明すれば、
『産業を発達させるために有用な「発明」を保護していくためにつくられた法制度』
です。
よって、 「特許法」 を理解する前提として、まずは 「発明」 についての説明からはじめることにしましょう。
特許法(第2条)では、 発明 とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されています。
「発明」 と対比されるものとして 「発見」 がありますが、この「発見」は創作に該当しないので、「発明」には含まれません。このことについて、ニュートンの万有引力の法則の発見を例に挙げて説明しましょう。
ニュートンの万有引力の法則は、
「2つの物体間に働く引力(F)は、それら物体質量(M、M’)と物体相互間の距離(d)
で決定するものであって、F=GMM’/d 2 (Gは定数)である」
というものです。
このことは、ニュートンが発表する前から既に自然界に存在していた事実です。
つまり、このような「発見」は、新しいものの創作に該当しないため、「発明」には該当しないのです。
また、 「発明」 は、自然法則を利用するものが対象ですから、個人の熟練等によって達成することができる技能的なもの(例えば、フォークボールの投げ方、折り紙の折り方、計算方法等)、自然法則に反するもの(永久機関等)等は含まれません。
さらに、 「発明」 は、自然法則を利用したものですから、 一定の確実性 をもって、同じ結果を反復できるものでなければなりません。
ただし、一定の確実性といっても、100%の確実性が要求されているわけではありません。例えば、御木本幸吉の真珠の養殖法(特許2670号)では、最初の成功率は数パーセントであったと言われています。
特許法の目的
それでは、 特許法 は、何故「発明」を保護するのでしょうか?
もし特許法が存在しなければ、「発明」を完成させた発明者は、発明の利用価値が高ければ高いほど、それを他人に知られないように隠そうとするでしょう。しかし、このような発明の秘蔵化は、せっかく完成した発明が世の中に公表されないために、重複研究や重複投資を招き、産業の発達の妨げとなります。
そこで、 特許法 は、発明者に対して、出願から20年間その特許に係る発明を独占的に実施する権利、つまり特許権を与えることとしています。そして、発明者は、その20年間に、新規事業を独占したり、他人に実施権を与えたりすることで、発明完成までに投資した金銭を回収するだけでなく、場合によっては莫大な利益を得ることができるのです。
一方、発明者以外の第三者は、この「発明」を世の中に公開してもらうことで、この「発明」を基礎としたさらに高度な発明を完成させることができるうえ、特許権の存続期間が満了した場合には、自由にその発明を実施することができます。
このように、 特許法 は、 「発明」の保護と利用との調和を 図り、発明者と第三者との両者にメリットを与えることで、結果として 産業の発達 を図ることを目的としています。