知的財産権とは?
知的財産権とは、下記の図に示すように、 特許権、実用新案権、意匠権、商標権からなる工業所有権に、著作権、不正競争防止法により保護される権利等を加えた権利の総称 をいいます。知的財産は、土地、建物、宝石等の有体財産と異なり、形のないものであることから、知的財産権は無体財産権とも言われます。
このような知的財産権は、経済の発達した近年においては、日本国内だけでなく、米国等の先進国を中心とした諸外国においても重要視されており、パリ条約、TRIPS協定等の国際的な取決めにより保護が強化されています。
知的財産権の活用と保全
以下では、知的財産権の活用と保全という観点から、知的財産権の特質について説明します。
1 .知的財産権の活用
知的財産権を活用して、創作を第三者の模倣から守るには、まず権利が侵害されていないかを常にチェックしておくことが重要になります。もし、権利侵害を発見した場合には、それまでの侵害の行為によって自己が受けた損害の賠償を求めることや、それ以降の侵害の停止や予防を求めることができます。損害の賠償を求めることができる権利を 「損害賠償請求権」 、侵害の停止や予防を求めることができる権利を 「差止請求権」 といいます。
損害賠償や差止を請求する際には、まず侵害した相手と交渉することが望ましいといえます。最終的には裁判所に訴えを提起して解決を図ることもできますが、裁判のためには相応の費用や時間を要することになるからです。しかし、交渉では解決できない場合には、裁判により解決しなければならない場合もあります。
2.知的財産権の保全
特許権 は、 「特許を取得するには?」 の項で説明するような流れを経て、 権利の設定が登録 されることにより発生します。 実用新案権、意匠権および商標権 も、権利の設定が登録されることにより発生することに関しては 特許権と同様 です。
ただし、一旦発生した権利であっても、 特許庁の判断に誤り があったなどの理由により、必ずしもその 権利の存在が適切でない場合が あります。そこで、所定の理由があった場合に、特許、実用新案登録、意匠登録および商標登録を取り消す、あるいは無効にすることを特許庁に求めることができる制度が設けられています。なお、 著作権 は、特許権などとは異なり、出願や審査を経て発生するものではなく、著作物を 創作した時点で自動的に発生する ものです。したがって、上記のような取消や無効の制度は存在しません。
上記のような取消や無効の制度としては、特許、実用新案登録、意匠登録および商標登録についての「無効審判」、特許および商標登録についての「異議申立て」、商標登録についての「取消審判」があります。これらは、その目的に応じて、請求や申立てをできる時期、理由などが異なっています。
ところで、特許権、実用新案権、意匠権および商標権は、その権利の対象を独占することができる権利です。特許権を例にとると、その特許権をもつ者(特許権者)が特許された発明の実施(発明品の製造など)を独占することができる権利です。つまり、 特許権者以外の者は、原則として特許された発明を実施することができません。
したがって、上記特許権などの権利の存在により、思い通りに事業を展開することができない第三者等が、上述した無効審判などの制度を活用して権利を消滅させようとしてくることがあります。
これに対して 権利者 は、各制度において定められている手続にのっとって 権利を守るための方策を 講じなければなりません。具体的には、無効審判などの請求人や、特許庁によって示される、権利を消滅させるべきとする理由に対して反論することになります。また、場合によっては、権利の一部を放棄する手続きを行うことなどにより、残りの権利を維持する状態にしなければならないこともあります。
なお、審判や異議申立の結論としての審決や決定に対して不服 があるときは、この審決や決定を取り消すことを求めて、東京高等裁判所に 「審決等取消訴訟」 を提起することになります。