1.はじめに
ビルスキ事件において、CAFCは、特定の機械と結びついた方法、又は物質を異なる状態に変質させる方法でなければ、特許の保護対象となる発明ではない(所謂、”machine-or-transformation test”)旨の判決を下していました。これを不服とし、原告(バーナード・ビルスキ氏とランド・ウォルソー氏)は、米国最高裁判所に裁量上訴し、2009年11月9日に、Oral Argument が行われました。これによれば、米国連邦最高裁判所の判事の大半は、抽象的なビジネス関連発明が特許の保護対象となる発明であることに同意していませんでした。
そして、このたび、2010年6月28日に、米国最高裁判所が本件ビルスキ事件に対する判決を下しました。以下に、判決の内容を簡単に説明します。
2.最高裁判所の判決内容
米国最高裁判所は、2010年6月28日、判例に依拠し,本件特許発明(エネルギーなどの商品取引で価格変動のリスクを回避する発明)が抽象的概念に係るものである(just like the algorithms at issue in Benson and Flook.)ので、米国特許法第101条(patent protection for "any new and useful process, machine, manufacture, or composition of matter.")の規定を満たす保護対象となる発明ではない旨の判決を下しました *1 。ただし、現行の判断基準が狭すぎるので、ビジネス方法発明の特許の扉を閉じるものではない旨、付言されています。
米国連邦最高裁判所は、CAFCの”machine-or-transformation test”が、保護対象となる発明か否かを判断する有用なツールであるが、唯一のテストではない旨を明らかにしました。事実、最近の判例Gottschalk v. Benson, Parker v. FlookやDiamond v. Diehrにおいても、CAFCの”machine-or-transformation test”が唯一のテストではないことが示されています。
なお、米国最高裁判所は、上記の”machine-or-transformation test”の代替テストを提示していない共に、今後どのようなビジネス方法が保護対象となる発明となり得るかについての明確な指針も提示していません。
以 上
*1 http://www.supremecourt.gov/opinions/09pdf/08-964.pdf