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遺伝子特許の有効性判決(CAFC)

2011年8月22日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
黒田 敏朗

1.背景

米国では、これまで20年以上にわたって、単離された遺伝子(isolated gene)は特許対象とされてきており、成立した遺伝子特許は2000件以上、遺伝子が関連する特許までいれると50000件以上と膨大な数の特許が存在する。この遺伝子特許の特許適格性が、米国で争われている。

発端は、Myriad社の保有する、乳がんと卵巣ガンの発症に関する遺伝子(BRCA1及びBRCA2)の特許と、これらのがんの素因を明らかにする遺伝子変異を比較する検査方法の特許、これらの遺伝子を用いたスクリーニング方法の特許等について、米国自由人権協会(American Civil Liberties Union:ACLU)等がニューヨーク南地区連邦地裁にMyriad社の特許の無効の提訴をした事案である(2009年5月12日提訴)。なお、ACLUは、Association for Molecular Pathology(AMP)等の非営利団体や活動家の代理として提訴している。




2.連邦地裁の判断と司法省の意見書

2010年3月29日、一審のニューヨーク地裁は、上記Myriad社のいずれの特許についても、特許対象としての適格性がないとして無効とする判断を示した。具体的には、遺伝子特許に関して、単離したからといって自然界に存在するものが、単離によって特許の対象と変更されるものではなく、特許の対象となるためには、その物質が著しく異なる特性(markedly different characteristics)を有している必要があるとの判断を示した。

また、検査方法等に関しては、クレームには「分析をする」「比較を行う」といった抽象的な記載しかなされておらず特許の対象とはならないとの判断を示した。

Myriad社は、この連邦地裁判決を不服として、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)に控訴した。CAFCには、判決に先立ち、多数のAmicus Brief(法廷意見書)が提出された。特に、米国司法省(The United States Department of Justice: DOJ)は、これまで遺伝子特許を認めてきた米国特許商標庁や、多数の遺伝子特許を出願してきたNIH等の方針に反することを認めたうえで、単離された遺伝子は特許対象ではないとする意見を提出した。なお、米国司法省は、cDNAやベクター等の、自然の産物ではない操作されたDNA構造物については特許性を認めており、連邦地裁の判断と完全に一致するものではない。




3.CAFCにおける争点と判決の概要

CAFCは2011年7月29日、「遺伝子特許」の特許対象としての適格性を認める判決を下した、具体的な判決の概要は以下の通り。


(1)単離した遺伝子の特許適格性について

結論として、単離した遺伝子(DNA)は「天然のDNAと著しく異なる化学的性質がある」という点で、単離した遺伝子は特許可能な主題である。仮にこのような主題を特許対象から除外し得るとしても、それは米国議会の判断に委ねられるべきである。


(2)検査方法の特許について

当該クレームは、患者のDNA配列を、(発明したとされる)DNAを用いて「分析する」あるいは「比較する」を唯一の工程として含むだけであり、比較する行程を具体的に、どのように行うか(application)が記載されておらず、「比較する」という精神的(mental)な工程を記載しているに過ぎないと判断した。(例えば、DNA配列を印刷した紙を2枚並べ、これら2つの配列を頭の中で比較するだけで侵害になり得るため、不適切である。)

結論として、同クレームは Machine-or-Transformation Testの要件を満たさないとして、地裁の決定を維持した。


(3)スクリーニング方法の特許について

問題となったスクリーニング方法のクレームは、「形質転換させた細胞を増殖させる」工程、「その増殖(量)を決定する」工程、さらに「その増殖量をもともとの細胞のそれと比較する」工程を含むクレームである。

このクレームにおいて、形質転換細胞の「増殖」は Transformation の工程であり、これは方法として認められるとして、地裁の決定を棄却した。




4.今後について

本件は、バイオ企業の特許戦略に対して大きな影響を与えるものである。このため、最高裁まで争われる可能性が高い。今後も経緯に注目していく必要がある。


判決全文はこちら



以 上


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