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「梁吊上げ用クランプ」事件(技術的範囲の解釈に関する判例)

【判示事項】
 本件考案の技術的思想及び技術的課題からみて、本件考案が実用新案登録請求の範囲に記載の構成を有するものに限られるものではなく、被控訴人製品のナットは本件考案の技術的範囲に属するという主張は、実用新案権の及ぶ客観的範囲を画する技術的範囲の果たす法的安定性の機能の見地からも採用することはできないとして、実用新案権の侵害を否定した原審判断を維持した事例。

【判決要旨】
 実用新案法26条、特許法70条によれば、実用新案の技術的範囲は願書に添付された明細書の実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。ナットに関し本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載はその記載文言自体から原判決摘示のとおり解すべきことは明らかであり、本件公報の考案の詳細な説明を参酌して解釈する余地のないものである。
 確かに、控訴人主張のように「外周面に環体を嵌着するための溝を有し、且つ、内周面に雌螺子部分と無螺子部分(遊嵌部分)を有するナット」により、前記技術的課題は解決されるが、ナットをこのような構造とすることについて、具体的な構成がいくつか考えられるのである。その中にあって、控訴人が特に本件考案において、ナットに関し前記のような構成を採択し、これを実用新案登録請求の範囲に記載して実用新案登録査定を経て同登録を得たものである以上、右記載に基づいて技術的範囲を定めなければならないのは当然であり、原判決摘示のとおり、本件考案のナットの構成と被控訴人製品のナットの構成は明らかに異なる。
 控訴人のいわゆる実質的構成要件に関する主張は、本件公報の考案の詳細な説明を参酌したうえ、ナットの構成を、実用新案登録請求の範囲に記載された本件考案のナットの構成に限らず、前記技術的課題解決のため可能なものを広く包含しようとするもので、前記実用新案法26条、同法5条4項の文言に照らし、また、実用新案権の及ぶ客観的範囲を画する技術的範囲の果たす法的安定性の機能の見地からも採用することはできない。

【判決日】平成4年9月29日
【裁判所】東京高等裁判所
【事件番号】平成3年(ネ)第1152号
【判決要約担当者】弁理士 山口 充子
【判決全文URL】
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01

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