特許事務所 EPO・OHIM情報
CONTENTS
CONTACT大阪本部    

〒530-0041
大阪市北区天神橋2丁目北
2番6号  大和南森町ビル
TEL:06-6351-4384(代表)
FAX:06-6351-5664(代表)
E-Mail:

東京本部    

〒105-6121
東京都港区浜松町2-4-1
世界貿易センタービル21階
TEL:03-3433-5810(代表)
FAX:03-3433-5281(代表)
E-Mail:


上記トレードマークの背景地図は、1991年当時の特許登録件数を陸地の大きさにして、地図状に表したものです。
プライバシーポリシー

EPO・OHIM
EPO 知財情報 特許事務所 EPO・OHIM特許商標出願戦略
EPO情報  室長  新井 孝政
OHIM情報 室長  田中 陽介
代表電話
FAX
E-mail
: 06 - 6351 - 4384
: 06 - 6351 - 5664

EPダブルパテントに関する審決(T0307/03)

特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成21年10月19日
(文責:新 井)

1.はじめに
このたび、EPOの審判部(Technical Board of Appeal of the European Patent Office)において、親出願と分割出願とのダブルパテント*1 に関する審決(T0307/03)が下されました。本審決は、従前の審決と矛盾するものです。


2.EPCにおけるガイドラインと実務
EPCには明白な規定はありませんが、The Guidelines for Examination of European Patents (C-IV 7.4 and C-VI 9.1.6) によれば、「審査官はダブルパテントを許してはならず、分割出願は親出願とは明確に区別できる発明の主題に係るものでなければならない」とされています。
しかしながら、現行のプラクティスによれば、親出願と分割出願において、一方の広いクレームの発明の主題が他方の狭いクレームの発明の主題を含む関係にある両出願に対して特許付与してきました。.

 従前の審決(たとえば、T0587/98)において、審判部は、「基板」に係る分割出願が親出願において明確にクレームされていた「基板と誘電体層」を暗に含んでいたので、分割出願と親出願との間で発明の主題が重複しており、それゆえ、両出願は同一発明である旨の認定を行いました。

審判部は、次のように説示しました。すなわち、親出願の独立クレームに関係する独立クレームを分割出願において記載する(親出願のクレームが分割出願のクレーム(追加の特徴が付加されている。)の特徴の全てを含む。)ことを禁じる明白な規定はEPCには存在しない。換言すれば、親出願のクレームよりも広いクレーム(親出願のクレームから一部の特徴を削除したクレーム)を規定する分割出願をEPCが禁じていない。


3.今回の審決(T0307/03)の簡単な説明
 今回の審決(T0307/03)は、上記従前の審決(T0587/98)と矛盾するものです。

今回の審決(T0307/03)は、新規性欠如の故に拒絶査定された分割出願に係るものでした(なお、親出願は特許付与されていましたが、異議申立を受けて無効とされた後、審判請求が行われ(T0334/07)、審判に係属中です。)。T0307/03の審判手続において、Main RequestとFirst Auxiliary Requestにおけるクレーム発明が親特許のクレーム発明をカバーするものであり、ダブルパテントの関係にあるとの理由で拒絶されていました。

Second Auxiliary Requestのクレーム1に記載の触媒は“a water-soluble alcohol”を文言しているのに対し、親特許のクレーム3に記載の触媒は“a water-soluble aliphatic alcohol”を文言していました。審判部は、分割出願のクレーム1が親特許のクレーム3に規定の発明の主題を再度権利化しようとしている旨、及び、上記クレーム1が追加の発明の主題(つまり、the water-soluble alcohol is not aliphatic)の保護を求めようとしている旨を認定しました。

審判部は、ダブルパテントになる可能性がある発明の主題が発明を好ましい方法で実施するものである場合、ダブルパテントと認定すべきである旨を説示しています。審判部は、特許付与されたクレームの発明の主題が、後の出願に記載のクレームの発明の主題に含まれる場合、両者はダブルパテントの関係にあると認定し得ることを根拠として、上記のSecond Auxiliary Requestを拒絶しました。

審判部は、親特許のクレームに記載の発明の主題が、分割出願のクレームに記載の発明の主題に含まれる場合、両者はダブルパテントの関係にある旨を明確にしました。

審判部は、Article 60 EPC(“…the right to a European patent shall belong to the inventor or his successor in title”.)を引用し、今回の審決が正当であるとしています。審判部は、このことから演繹的に、発明者には特定のクレームに規定の特定の発明に対して唯一の特許が付与される権利を有しており、この権利が発明者に特許が付与さると消尽し、ダブルパテントの認定を回避するためには、親出願で特許付与されていない発明の主題をクレームにおいて規定すべきであるとの判断を示しました。*2


以 上


*1 ダブルパテントとは、同じ有効出願日を有する2つの特許は、同じ発明に対して同一出願人に付与されないことを意味します。
*2 LINK: http://www.dyoung.com/newsletters/patentnewsletter1009.htm

このページのトップへ
Intellelution.com