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U.S. Case Brief (65)

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成23年04月25日
(文責:新 井)

オリジナルクレームを含んだまま新たに縮減されたクレームを追加することが再発行特許出願の妥当な根拠とはなることが示された判例 *1


1.はじめに
本件の再発行特許出願 *2 において、以下のように、35 U.S.C. § 251 に規定の過誤の要件(欺く意図のない過誤が存在すること)を満たすか否かが争点となりました。

35 U.S.C. § 251 (Reissue of defective patents) (emphases added).
Whenever any patent is, through error without any deceptive intention, deemed wholly or partly inoperative or invalid, by reason of a defective specification or drawing, or by reason of the patentee claiming more or less than he had a right to claim in the patent, the Director shall, on the surrender of such patent and the payment of the fee required by law, reissue the patent for the invention disclosed in the original patent, and in accordance with a new and amended application, for the unexpired part of the term of the original patent. No new matter shall be introduced into the application for reissue.

オリジナルのプロセキューションにおいて、USPTO(審査官および審判部)は、単なる従属クレームの追加(正確には、オリジナルクレームの全てがそのまま含まれていると共に、従属クレームを新たに追加)は、再発行特許出願が求める上記の過誤の要件を充足しない旨の認定を行いました。
これに対し、CAFCは、後述するように、IN RE YASUHITO TANAKAにおいて、単なる従属クレームの追加も再発行特許出願に係る上記要件を充足する旨を判示しました。

2. 経過説明
特許権者(Yasuhito Tanaka)は米国特許(USPN. 6,093,991)を2000年7月25日に取得し*3 、その丁度2年後に再発行特許出願(Serial No. 10/201,948)をファイルしました。
再発行特許出願時に、特許権者は、オリジナルクレーム1を引用し、該クレーム1の範囲内に完全に含まれる従属クレーム16を新たに追加する補正が行われました(オリジナルクレームの全ては補正されずにそのまま)。この際、Substitute Reissue Declarationがファイルされ、本件オリジナル特許出願時に上記従属クレーム16を含めていなかったことに過誤があり、それゆえ、再発行特許出願の要件を充足する旨を開陳しました。

審査官は、全てのオリジナルクレームを維持すると共に縮減クレーム16を追加した再発行特許出願が、再発行特許出願によって訂正可能な種類の過誤を提示するものではないので、35 U.S.C. § 251の要件 を充足しない旨の認定を行いました。

これを不服とし、特許権者は、Board of Patent Appeals and Interferencesに対し、審判請求を行いました(Ex Parte Tanaka, Appeal No. 2009-000234 (BPAI, December 9, 2009) (Precedential))。

審判部は、審査官の上記認定が妥当である旨の審決を下しました。これによれば、再発行特許出願がオリジナルクレームの全てを含み、オリジナルクレームを縮減した従属クレームが提示されていることが、35 U.S.C. § 251 and 37 C.F.R. § 1.175(a)(1)下における訂正可能な過誤であるか否かが問題であるが、このような単なる従属クレームの追加は、特許においてクレームすることができるという特許権者が有する権利を行使していない結果ではない。

特許権者は、審判において、概ね、特許においてクレームすることができる権利以上または権利以下をクレームしているとの理由により、オリジナル特許が部分的に実施できない旨をSubstitute Reissue Declarationにおいて開陳しているが、オリジナルクレームの権利範囲が広すぎて特許が部分的に実施できないのか、あるいは、オリジナルクレームの権利範囲が狭すぎて特許が部分的に実施できないのかについて言及していない。

特許権者は、Substitute Reissue Declarationにおいて、開示発明がオリジナルクレームによって十分にカバーされていなかったことを認識し損ねた旨を開陳したが、上記開陳は不適切である。なぜなら、オリジナルクレーム(open-ended “comprising” languageを使用している。)は、今回追加された従属クレーム16に記載の発明をカバーしているからである(オリジナルクレームが、今回追加された再発行クレーム16に記載の発明を十分にカバーしていない旨を開陳していたら話しは別であるが。)。

特許権者は、しかしながら、上記デクラレーションにおいて、オリジナルクレーム1の記載が広すぎて本願発明が部分的に実施できない旨を開陳していない。しかも、特許権者は、本再発行特許出願において、クレーム1を縮減する補正を行うか、あるいは広く記載されすぎた引用先のクレーム1をキャンセルしていない。

このように再発行特許出願によって訂正される過誤を開陳するSubstitute Reissue Declaration において使用した不明瞭な文言に鑑み、本再発行特許出願クレームから到達できる結論は、オリジナルクレームのうちの幾つかが無効であるとされた場合に備え、特許権者が追加クレーム16の権利化を図ろうとしていることであり、このことは法的要件を満たすものではない。

上記審決を不服とし、特許権者は、CAFCに控訴しました。

3. CAFCの判決
CAFCは、2011年4月15日に、審判部の審決を棄却し、本件を差し戻す判決を下しました。

CAFC panelの判事LinnとBrysonは、本件オリジナル特許出願におけるプロセキューションにおいて上記従属クレーム16を含め損ねたことは、それ自体、再発行特許出願の過誤の要件を充足するものであるという理由で、審査官と審判部の決定を棄却しました。この際、In re Handel, 312 F.2d 943, 946 n.2 (CCPA 1963)、In re Muller, 417 F.2d 1387 (CCPA 1969)、及びHewlett-Packard Co. v. Bausch & Lomb, Inc., 822 F.2d 1556 (Fed. Cir. 1989) の各判例が引用され、単に特許無効を想定しその防御策として従属クレームを追加することが再発行特許出願手続を行うのに適当な根拠である(”[t]he narrower appealed claims are simply a hedge against possible invalidity of the original claims should the prior use be proved, which is a proper reason for asking that a reissue be granted.”)と説示しました。

一方、判事Dykは、上記見解に同意しませんでした。判事Dykは、上記3つの判例よりも古い判例(19世紀の最高裁判決)を引用し、付与されたオリジナル特許に対して何ら訂正すべき事項が存在しない場合には再発行特許出願が認められるべきではないとの見解を示しました。

4. 実務上の留意事項と今後の見通し
従来は、35 U.S.C. § 251 に規定の過誤の要件を充足するために、再発行特許出願においてオリジナルクレームを縮減する場合(オリジナルクレームを縮減する従属クレームを新たに追加する場合を含む。)、実務上、次の事項に留意する必要がありました。

・ Reissue Declarationにおいて、オリジナルクレームの記載が広すぎて本発明が部分的に実施できない旨を開陳しなければならない。
・ open-ended “comprising” languageを使用してオリジナルクレームが記載されている場合、当該オリジナルクレームの記載が広すぎて本願発明が部分的に実施できないことを裏付けるために、オリジナルククレームを縮減する補正を行うか、あるいは再発行特許出願において新たに追加した従属クレームの引用先であるオリジナルクレームをキャンセルしなければならない。

ところが、今回のCAFCによる上記の判決によれば、上記事項に留意することなく、審査過程でクレームアップできなかった従属クレームを特許発行後に追加するための措置として、再発行特許出願手続が利用できることになります。

しかしながら、判事Dykが上記のように本件判決に異を唱えており、上記のような再発行特許出願手続の利用法が実務として定着するか否かは不明です。すなわち、本件に関し、CAFCの大法廷審理が行われる可能性があり、引き続き、ウォッチングが必要と考えます。


以 上

*1 http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/10-1262.pdf
*2 再発行特許出願(reissue patent application)とは、出願人の側の過誤を正すための手続(過誤原因の特定は不要)であり(see 35 U.S.C. 251, 37 CFR 1.171, MPEP § 1410)、失効していない特許に対してのみ適用可能です。この際、クレームを拡大する場合には発行から2年以内に出願する必要がある(see 35 U.S.C. 251)と共に出願全体が適用対象であり、したがってクレーム単位では手続できません。
*3 本件特許は、”alternator pulley” that uses a one-way clutch to improve the power generation efficiency of an automobile’s alternatorに係る発明ものです。


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