「意匠」とは、製品・パッケージ等の見た目(形状・模様・色彩など)で、視覚を通じて美感を起こさせるデザインを指します。意匠が登録されると、そのデザインを独占できる意匠権が発生し、出願の日から最長25年にわたって保護を受けることができます。そのためには、はじめに、特許庁に所定の様式に基づいた書類を特許庁に提出(出願)し、必要な要件を満たしているか審査を受ける必要があります。
目次
出願の準備から登録までの主な流れ
1.出願形式などの検討
出願する意匠について、そのデザインや、物品・建築物・画像のいずれに該当するものか、そして現在の実施状況、将来の展開などを確認し、出願の形式や制度の活用を検討します。
2.図面・写真の準備
特許庁の「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き」に沿って、図面等(図面に代えて写真、見本またはひな形を提出できる場合もある)を整えます。
3.出願(特許庁へ提出)
インターネットを用いても出願の手続きをすることができます。
4.審査への応答
特許庁により、出願された意匠は登録することができないとして拒絶理由通知書が届いた場合、内容に応じて意見書・手続補正書を提出します。
5.登録
登録査定を受け、登録料を納付した後、設定の登録がなされて意匠権が発生します。
出願の際に活用できる制度
特徴的な部分の保護(部分意匠)
物品等の「部分」についても、意匠登録を受けることができます。「部分」について出願する際には、願書の記載、図面の記載等の表し方について、部分意匠特有の記載方法がありますので、ぜひともご相談ください。
バリエーションの保護(関連意匠)
同一コンセプトから創作されたバリエーションの意匠を、同等の価値を有するものとして保護する関連意匠制度があります。基礎意匠(最初に選択した中心となる意匠)の出願日から10年以内に出願された後続デザインは、要件を満たせば関連意匠として登録可能です。
新規性喪失の例外
自社サイトや展示会などで先に公開した場合、原則として登録を受けることができませんが、一定の要件を満たせば新規性喪失の例外の適用により救済される場合があります。公開の日から1年以内に意匠登録出願を行う必要がありますので、早めのご相談をおすすめします。
公開時期の調整(秘密意匠)
意匠登録出願時または設定登録料納付と同時に、設定登録から最大3年の間、意匠の内容を公開しないことを請求することができます。例えば意匠を施した製品の販売開始まで、その外観を秘密にしておくことが可能となります。
迅速な権利化(早期審査)
スタートアップによる出願などの場合、要件を満たせば早期審査の対象となることがあります(「早期審査に関する事情説明書」の提出が必要です)。
提出する図面等について
いずれも特許庁の手引きに基づき作成します。
- 6面図、斜視図などの必要な図
- 物品の説明や透明部を示すための参考図
- 図面に代えた写真、ひな形又は見本の提出
