不正競争相談室
 
主 席 :
弁理士
 五味多 千明
<大阪所属>
 
副所長 弁理士
副所長 弁理士
 藤田 けんじろう
 今野 信二

<東京所属>
<大阪所属>

東京本部 TEL : 03 - 3433 - 5810   大阪本部 TEL : 06 - 6351 - 4384
東京本部 FAX : 03 - 3433 - 5281   大阪本部 FAX : 06 - 6351 - 5664
E-mail   E-mail
 
名古屋事務所 TEL : 052 - 589 - 2581   広島事務所 TEL : 082 - 545 - 3680
名古屋事務所 FAX : 052 - 589 - 2582   広島事務所 FAX : 082 - 243 - 4130
E-mail   E-mail


  サービス   お見積り   不正競争防止法
関連情報
 
  ビッグデータの保護   不正競争防止法について   原産地等の誤認表示について  
 

不正競争防止法関連情報

「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」の新設


家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律(「本法律」という。)が、2020年(令和2年)4月17日に成立し、同年10月1日に施行された。
本法律は、家畜遺伝資源の保護や流通の適正化を図り、家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保し、家畜遺伝資源に係る不正競争を防止することを目的として設けられた。和牛の精液と受精卵の不正輸出を図る事件が生じたことが背景にある。


  • 周知性
    その商品等表示を使用することにより、少なくともその表示が使用された地域において、需要者等に広く知られていることを要します。


  • 1.知的財産
    下記の理由から、家畜遺伝資源は新しい知財のひとつであると評価できる。

    (1)農水省は、長年の改良により付加価値の高まった家畜遺伝資源は知的財産としての価値を有していると指摘している。

    (2)民事訴訟法上の訴えの管轄において、本法律に定める不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟は、「意匠権等に関する訴え」に含まれ、知財高裁が管轄権を有する。

    (3)2020年11月25日付け「第15回弁理士制度小委員会における御指摘への対応について」によれば、本法律の保護対象である家畜遺伝資源は、情報ではなく家畜遺伝資源事業者が扱う有体物であるため、弁理士が有効に関与し得るかは不透明であると指摘しているものの、弁理士業務への追加は今後の必要性を見極めて検討することが示唆されている。


  • 2.家畜改良増殖法との関係
    家畜改良増殖法が改正され、本法律と共に2020年10月1日から施行されている。家畜改良増殖法は、家畜人工授精用精液・受精卵に関する流通規制の強化を目的として改正され、家畜人工授精用精液等について家畜人工授精所以外の場所における保存の原則禁止、家畜人工授精所に対する譲渡等の記録の義務化、契約していない者に対する譲渡等の禁止規定などを定めている。
    本法律は、第三者による家畜遺伝資源の不正利用に対する対抗措置を創設し、不正競争から「家畜遺伝資源」を保護するものである。
    この「家畜遺伝資源」とは、家畜遺伝資源生産事業者が業として譲渡又は引渡す「特定家畜人工授精用精液等」で、契約等により使用の制限を定めたものをいい(本法律2条1項)、「特定家畜人工授精用精液等」は、家畜人工授精用精液等のうち適正な流通の確保が特に必要なものについて、農水大臣が指定するものをいう(家畜改良増殖法32条の2)。
    このように、家畜改良増殖法が家畜人工授精用精液等の流通を規制しつつ、「特定家畜人工授精用精液等」について契約等で定めた制限(例:国内利用に限定する場合)を超える行為については、本法律に基づいて第三者に対しても差止等を行うことを可能としたものである。


  • 3.本法律の概要
    (1)本法律は、①不正競争行為類型、②差止請求、損害賠償請求、信用回復措置などの民事上の措置及び民事訴訟手続の特例、②刑事罰などが規定されており、不正競争防止法の規定に倣ったものである。

    (2)不正競争行為は、本法律2条3項1号~13号に列挙されている。

    1号:不正取得行為、不正領得行為。
     ※不正取得行為:詐欺、暴行もしくは脅迫、または窃取行為により家畜遺伝資源を取得する行為をいう(以下同様)。
     ※不正領得行為:家畜遺伝資源の管理の委託を受けた者が同資源を領得する行為をいう(以下同様)。

    2号:不正取得行為又は不正領得行為により取得した家畜遺伝資源を使用、譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    3号:不正取得行為又は不正領得行為が介在したことを知って若しくは重大な過失により知らないで、家畜遺伝資源を取得し、又は取得した家畜遺伝資源を使用、譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    4号:図利加害目的で、契約上明示された使用する者の範囲又は使用目的に関する制限を超えて家畜遺伝資源を使用、譲渡、引渡し、又は輸出する行為。
    ※図利加害目的:不正の利益を得る目的または家畜遺伝資源生産事業者に損害を加える目的をいう。

    5号:上記4号に該当する譲渡もしくは引渡しであることを知って若しくは重大な過失により知らないで、譲渡もしくは引き渡しによって家畜遺伝資源を取得する行為、又は取得した家畜遺伝資源を使用、譲渡、引渡し、若しくは輸出する行為。
    上記4号に該当する譲渡もしくは引渡しが介在したことを知って若しくは重過失により知らないで、家畜遺伝資源を取得する行為、又は取得した家畜遺伝資源を使用、譲渡、引渡し、若しくは輸出する行為。

    6号:自己の不正使用行為により生じた家畜を、家畜等の生産の用に供し、譲渡し、引渡し、又は輸出する行為。
     ※不正使用行為:2~5号の行為のうち、家畜遺伝資源を使用する行為(以下同様)。
     ※家畜等:子牛などの家畜、精液、受精卵をいう(以下同様)。

    7号:その家畜が他人の不正使用行為により生じたことを知って若しくは重過失により知らないで、家畜を取得し、又はその取得した家畜を家畜等の生産の用に供し、譲渡し、引渡し、若しくは輸出する行為。

    8号:自己の上記6~7号に掲げる行為(のうち家畜を家畜等の生産の用に供する行為。)により生じた家畜等を譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    9号:その家畜等が、他人の上記6~7号に掲げる行為(のうち家畜を家畜等の生産の用に供する行為。)により生じたものであることを知って若しくは重過失により知らないで、家畜等を取得し、又はその取得した家畜等を譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    10号:自己の不正使用行為により生じた受精卵を使用、譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    11号:その受精卵が他人の不正使用行為により生じたものであることを知って若しくは重過失により知らないで、受精卵を取得し、又はその取得した受精卵を使用、譲渡、引渡し、若しくは輸出する行為。

    12号:自己の上記10~11号に掲げる行為(受精卵を使用する行為に限る。)により生じた家畜を譲渡、引渡し、又は輸出する行為。

    13号:その家畜が、他人の上記10~11号に掲げる行為(受精卵を使用する行為に限る。)により生じたものであることを知って若しくは重過失により知らないで、家畜を取得し、又はその取得した家畜を譲渡、引渡し、若しくは輸出する行為。


店舗用建物の使用差止め等に係る仮処分命令について(周知商品等表示混同惹起行為)


㈱コメダホールディングスによる報道発表*1によると、東京地方裁判所は平成28年12月19日、コメダ珈琲店と店舗外観等が類似するとして、当該店舗を使用する和歌山の珈琲店(株式会社ミノスケ)に対し、不正競争防止法(以下「不競法」という)第2条第1項第1号及び第3条第1項を根拠に、その店舗用建物の使用差止め等に係る仮処分命令を発令しました(事件番号:平成 27 年(ヨ)第 22042 号)。


*1 http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1428023


店舗外観に関し、不競法による差止めを申し立てた訴訟は、その店舗外観が周知商品等表示に該当しないとして請求が棄却されるというのがこれまでの主な判断となっていましたが(「西松屋」等)、今回の仮処分命令では、店舗外観が周知商品等表示として保護されるべきものであるとの一応の判断が示されたものと考えられます。今回の申し立てと同時に提起された訴訟において、店舗の外観に係る裁判所の判断がどのようにされるのか、今後の動向に注意していきたいです。


以下はコメダ珈琲店の外観と、その外観と類似する店舗外観です。

コメダ珈琲店とマサキ珈琲店の比較

*㈱コメダホールディングスによる報道発表より引用



ここで、今回の仮処分命令の根拠となった不競法第2条第1項第1号について簡単に説明します。


    不競法第2条第1項第1号では、他人の周知商品等表示類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡等して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争として規定しています。


本号でよく争われる事項・論点は以下の通りです。


  • 商品等表示
    本号において「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。」と規定されています。今回のような店舗外観に限らず、商品の容器や包装等を含み、通常の形と異なった特徴ある形状等により、自己の商品が他人の商品と区別されるに至ったような特別顕著性を有するものが含まれます。商品等表示に該当するかどうかは、その表示自体がありふれたものではなく、何らかの特徴を有することにより識別性があることが必要となります。よって、店舗外観等が既にその業界においてありふれたものである場合や何ら特徴が無い場合は識別性がないとされる可能性があります。

  • 周知性
    その商品等表示を使用することにより、少なくともその表示が使用された地域において、需要者等に広く知られていることを要します。

  • 他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
    他人がその商品等表示に類似する商品等表示を使用した場合に、需要者が自己の営業と何らかの関係があるのもと誤認するおそれがある場合をいいます。例えば系列会社であるとか、親会社と子会社の関係にあるというように誤認、混同(広義の混同)を生じるおそれがある場合も該当します。

  • 類似性
    商品等表示が類似するかどうかについて最高裁では次のように判断されています。
    • 「ある営業表示が不正競争防止法1条1項1,2号にいう他人の営業表示と類似のものか否かを判断するに当たっては,取引の実情のもとにおいて,取引者,需要者が,両者の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断する(最高裁昭和58年10月7日第2小法廷判決・民集37巻8号1082頁)」


今回の事件のように、商標権の権利範囲ではカバーできないものや、意匠権を有していない店舗の装飾、食器等についても、特別顕著性・周知性がある場合は、不競法による権利の保護が可能な場合があります。当所では、本号該当性に係る見解書の作成のご依頼等も承っておりますので、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

PAGE TOP