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バイオ支援室

SNP(一塩基多型)関連出願における留意点

2010年8月3日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 藤田けんじろう

1.SNPとは
SNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)とは、例えばヒトでは数百塩基~1000塩基に一つ程度の割合で存在するとされる、個体間における一塩基の相違である。ポストゲノムシーケンス研究の一環として、SNP等の遺伝子多型を手掛かりにして、疾患関連遺伝子を探索し、この発見を治療薬の開発に結び付けようとするアプローチが盛んに行われている。

2. 研究の進展及び特許出願の概況
 例えば、わが国では、平成12年より、いわゆるミレニアムプロジェクトの一環として、ホールゲノム解析の手法によるSNPの網羅的な解析と、この解析で見出されたSNPの個別的な解析とが同時進行で行われ、多数の疾患関連遺伝子の発見につながるという大きな成果を手にしている。そして、この流れに呼応するように、日本特許庁においても、SNP関連発明等の審査運用が整備されてきた(参照:日本国特許庁「遺伝子関連発明の審査の運用に関する事例集(1999年)」)。
 一方で、疾患に関連するSNPについては、新規創薬ターゲットの発見という観点からなされた特許出願が先行し、SNP自体を用いた診断や判定に関する特許出願はいまだ主流ではないように見受けられる。この背景は、近年の網羅的なSNP研究には主に創薬メーカーが関わってきたこと、単一のSNPだけでは高精度な診断が一般的に困難という問題、同等のSNPを包括的に権利確保することが困難という問題、及び、SNPにより薬効が左右される薬剤に関しては診断や判定により却って市場が狭まるという現実的な問題、等が、存在するためと考えられる。
 しかしながら、例えば、米国では、医薬品の承認申請をする際にSNPデータ等のPGデータの提示が求められる状況となっている(参照:FDAのGDS(Genome Data Submission)ガイダンス)。例えば、ガン治療に用いられるカンプトサール(イリノテカン)等は良く知られた事例である。それゆえ、SNP自体を用いた診断或いは判定に関する特許出願に対する少なからずのニーズは潜在的にあるものと思われる。

3. SNP関連出願に特有な留意点
 以下、SNP自体を用いた診断或いは判定に関する特許出願を行う際に、特に留意すべき点をまとめてみた。特許出願の際の一助となれば幸いである。
(1) データの信頼性の問題
 SNP研究では、学術的にもデータの信頼性が問題になることが多い。そもそも、SNPであるのか否かという偽SNPの問題、病態や疾患との関連を調べても統計学的に優位差が出ない、或いは最初の報告とは反対の結果がでるという問題等が報告されている(例えば、文献1参照)。
 上記の背景があるため、特許の審査上でも、実施例データの信頼性が指摘される問題がしばしば発生している。とりわけ、SNPと疾患との相関がはっきりしないと一般的に言われている疾患の分野(精神疾患等)の発明に関して問題となる傾向にある。
 かかる指摘に対する対応策としては、1)実施例において、学術的にも信頼性があるとされる程度の十分量のサンプルを解析すること、又は、2)十分量のサンプルの解析が困難な場合は、少数のサンプル解析でも十分な信頼性が担保される旨の根拠を示しておくことが考えられる。1)に関しては特に説明を要しないが、2)に関しては、解析の母集団が遺伝的に比較的均一な集団の場合には、実施例において集団の特性(○○人の集団、等)を明確に示しておくことが助けとなるであろう。

(2)発明の単一性の問題
 現在の日本国特許庁の審査では、一般に、一つの出願に複数個のSNPが存在する場合、これら複数個のSNPは互いに発明の単一性を満たさないとして拒絶理由通知が発されているようである。しかし、拒絶理由通知への対応においては、同一の診断又は判定に利用可能なSNPは、それらが同一の遺伝子に存在する/存在しないに関わりなく、発明の単一性が認められる場合が多い。
 従って、発明の単一性を満たさないとの指摘に対する対応策としては、実施例において、SNP同士が連鎖不平衡の関係にあることを、科学的根拠に基づき明示しておくことが助けとなるであろう。

(3)人種により相違する結果
 同じSNPが、病態や疾患との関連において、人種により異なる結果を示す場合があることはしばしば知られている。従って、国内出願には値するが、海外出願には値しないというケース、或いはその逆のケースは十分に起こりうる。従って、最初の出願を行ってから1年以内(すなわち外国出願をするタイミング)に、最初の出願のものとは異なる人種におけるデータを取得して、国際出願戦略を構築することが望ましい。

(4)Bilski判決との関係
 米国出願を考えるに際して、Bilski判決を見過ごすことはできない。この度(2010/6/28)の最高裁判決では、「machine-or-transformation test」が、米国特許法101条の要件を判断する上での唯一の基準ではないこと等が示された。
 個人的には、この判決は、将来的に新しいタイプの発明を保護可能とするための含みを残すことを前提としつつ、「machine-or-transformation test」テストは、米国特許法101条の要件を判断する上で、今後も引き続き重要な基準(の一つ)であり続けるというということをむしろ示唆していると考えている。
 従って、「machine-or-transformation test」にも耐えうる形で明細書を記載しておくことが望ましく、例えば、具体的な診断方法又は診断装置と、検出対象となるSNPとの係わり合いを詳細に記載しておくことが望まれる。「machine-or-transformation test」において、SNPの検出は、物(SNP)を別の状態または物に変換するものではないと解釈される可能性は否定できないからである。

<参考文献>
1. 日野田裕治,遺伝子多型解析の基礎,Surgical Trauma & Immunological Responses.,メジカルビュー社,2004年11月30日,Vol.13, No.2/3,p.3-8


以 上


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