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EPを広域指定するPCT出願

2002年3月28日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(文責:新 井)

1.国内段階(EP regional phase)移行手続の期間の延長
ご承知のように、PCT Chapter Iによれば(国際予備審査請求を行わない場合)、PCT出願の国内移行手続期間は20ヶ月から30ヶ月になります(但し、各国ごとに発効日は異なります。)。これを受けて、EPを広域指定するPCT出願の国内移行手続期間が21ヶ月から31ヶ月に変更されます。このような変更の発効日は、 2002年1月1日 です。
なお、このような変更は、現行の予備審査請求をしない場合の国内段階移行期限である20ヶ月が上記発行日において満了しておらず、且つ、国内段階に移行する手続がとられていない国際出願に適用されます。
この結果、EPを広域指定するPCT出願は、PCT Chapter I及びChapter IIの何れの場合にも、2002年1月1日から、その国内移行手続期間が、一律、31ヶ月となります。

2.EPOにおけるPCT手続(Rationalisation of IPE procedure at the EPO)
現在、EPOにおいては、"backlog"(処理すべき残務量)が多量であることが深刻な問題となっています。
そこで、EPOは、この問題を解決するために、EPOによって行われる国際サーチと国際予備審査の手続が次のように簡素化されます。 発効日は、2002年1月1日 です。
すなわち、簡素化される手続によれば、EPOは、国際予備審査が請求された案件については、基本的には、 国際サーチ報告書の結果に基づいてコンピュータによる自動的な処理を行うのみ であり、 実体的な国際予備審査報告書を作成 しません。この場合、挙示された文献のカテゴリー(X,Y,A等)が示され、単に、新規性及び進歩性に関して、本願クレーム発明と関連しているか否かが示されることになります。

このように簡素化される手続は、次の場合に適用されます。
(1) 国際サーチ報告書がXまたはYのカテゴリーに分類された文献を含まず、且つ、出願人が国際予備審査請求後に補正を行わない場合。
(2)国際サーチ報告書がXまたはYのカテゴリーに分類された文献を少なくとも一つ含み、且つ、本件の特許性を否定する(negative)1回目のコミュニケーション(コンピュータにより自動的に行われるコミュニケーション)に対して、出願人が反論も補正も行わない場合。この場合、最終の国際予備審査報告書はネガティブなものとなり、出願人は、EP国内段階において、いつでも、自分のポジション(taking position)をとることが可能となります。

なお、上記(1)及び(2)の場合のように簡素化された手続が適用されると、国際予備審査請求費用の2/3が払い戻されます。 ただし、ヨーロッパ広域段階における審査請求費用(ヨーロッパ審査請求費用)は別途全額支払うことが必要。
上記簡素化手続は、PCT出願人に異なる可能性を開くものとなります。
すなわち、PCT出願手続を介して時間を得ることに主たる関心がある出願人は、国際予備審査報告書の結果がネガティブな場合であっても、国際段階では反論も補正も行わない代わりに国際予備審査請求費用が払い戻されるので、比較的安価な手続を享受することが可能となります。
これに対して、EPOによる国際予備審査を最大限に利用することを望む出願人は、従来どおり、国際予備審査報告書に対して必要ならば補正及び/又は反論を行い、ポジティブな国際予備審査結果を得、EP広域段階において早期の特許付与を目指すことが可能となります。 この場合、国際予備審査請求費用の一部の払い戻しは行われません。その代わり、通常、ヨーロッパ審査請求費用の50%が払い戻されることになります。つまり、出願人がヨーロッパ審査請求費用の50%の払い戻しの利益を受けることができるのは、"detailed international preliminary examination report が作成された場合のみである。
このような新しいシステムは、2002年1月3日から適用されます。

3.EPC施行規則の改訂

3-1.分割出願に係る規定
新しい規則25(1)( 発効日:2002年1月2日 )によれば、係属中の先のヨーロッパ特許出願が存在する限り、いつでも分割出願手続を行えるようになります。つまり、テキスト承認をファイルした後、"the date of grant"が通知されてから約1ヶ月以内に分割出願の要否の決定を行うことが可能となります。なお、現行規則によれば、規則51(4)に基づいてテキスト承認をファイルすると、分割出願手続は行えません。
また、新規則は、係属中の分割出願に基づいて他の分割出願をファイルすることができる旨を規定しています。現行規則によれば、このような分割出願の分割出願は常に認められるとは限りません。

3-2.規則51に係る規定
特許付与手続の簡素化は、 2002年7月1日 から実施されます。
現行規則によれば、審査官は、規則51(4)下で"First Communication"を発行し、特許付与のためのテキスト及びクレームを提示します。これに対して、出願人は、4ヶ月以内(期間延長は不可)にテキスト承認をファイルする必要があります。その後、審査官は、規則51(6)下で"Second Communication"を発行し、"grant and printing fees"の支払いを求めると共に、公用語へ翻訳されたクレームの提出を求めます。
出願人は、審査官が提示したテキスト及びクレームに対して承認できない場合、補正及び/又は反論を審査官に提示し、これらが認められれば、承認する旨を開陳できます。ただし、審査官が上記補正及び/又は反論を認めない場合には、出願は拒絶されるか、又は審査が再開されます。一方、審査官が認めた場合には、規則51(6)が発行されます。

上記現行手続は、次のように改訂されます。
すなわち、新規則51によれば、審査官は、規則51(4)下で "First Communication"を発行し、出願人に対し、(a)特許付与のためのテキスト及びクレームを提示し、(b) "grant and printing fees"の支払いを求めると共に、(c) 公用語へ翻訳されたクレームの提出 を併せて求めてきます( テキスト承認のファイルは不要。 )。なお、新規則51(4)に対する応答期限は、一応4ヶ月ですが、 最長2ヶ月延長可能 です。
ところで、出願人が審査官の提示したテキスト及びクレームを承認できず、クレーム補正を行いたい場合、そのような補正クレームの公用語への翻訳文の提出と、"grant and printing fees"の支払いとを併せて行う必要があります。

この場合、そのような補正が審査官によって認められると、更なる遅延なく、特許付与されます。
これに対して、 上記クレーム補正が審査官によって認められなかった場合、新規則51(6)下で"New Communication"が発行され、見解(Observations)および更なる補正の機会が出願人に付与されます。この際も、新たにクレーム補正を行うと、そのような補正クレームの公用語への翻訳文を併せてファイルする必要があります。
なお、補正の結果、最終的に出願が拒絶され、あるいは取り下げられると、"grant and printing fees"は払い戻されます。

以上のように、 新規則51(4)や新規則51(6)下でクレーム補正を行う場合、補正クレームの公用語への翻訳文を併せてファイルすることが必要となります。また、クレームの公用語への翻訳文の準備期間が非常に短くなります。したがって、期限管理を厳格に行う必要があります。

4.その他

4-1.各メンバー国(member states)での全文翻訳 (ARTICLE 65 EPC)
各メンバー国での全文翻訳について、現在8ヶ国間で合意がなされていますが、発効までには更なる時間を要し、 2003年の年末頃に発効することが見込まれます。
上記合意によれば、 EPOの公用語(英語、独語、仏語)の一つを自国の公用語とするメンバー国においては、EP特許の自国語への全文翻訳文を国内特許庁へファイルすることが不要となります。
EPOの公用語の一つを公用語としていないメンバー国においては、各国内法によりEPOの公用語のうち一つを自国の公用語として規定することが義務づけられています。このようなメンバー国の大多数は、英語を自国の公用語として選択し、その旨を各国内法に規定することが予想されます。このような場合、ヨーロッパ特許(granted European patent)が英語で記載されているか、英語に既に翻訳されている場合、当該メンバー国において、全文翻訳文を当該メンバー国の特許庁に提出することなく、本ヨーロッパ特許は有効なものとなります。ただし、 クレームについては、当該メンバー国の言語への翻訳が依然として要求されます。
ちなみに、上記合意に署名した8ヶ国のうち、英語を公用語としているメンバー国は、 フランス、ドイツ、ベルギー、スイス、イギリス の各国です。上記合意に署名した8ヶ国のうち、EPOの公用語の一つを自国の公用語としていないメンバー国は、 デンマーク、オランダ、スウェーデン の各国です。
当然のことながら、上記合意を批准あるいはアクセスしていない国(例えば、スペイン、ポルトガル、ギリシャ等)に対して、上記手続が適用されることはありません。

4-2.紛争に係るケースの翻訳
ヨーロッパ特許に係る紛争の場合、侵害被疑者の要求を受けると、特許権者は、申し立てられた侵害が発生したメンバー国の公用語への当該特許の全文翻訳文を提供しなければなりません。特許権者は、また、裁判所へ上記全文翻訳文を提出しなければなりません。
以上のように、上記合意は、ヨーロッパにおける特許保護に係る費用の削減を実現するための重要なステップです。EPOの公用語の一つを自国の公用語としているメンバー国(上記合意を批准した国)、特に、イギリス、フランス、ドイツにおいては、ヨーロッパ特許は、特許付与されたらすぐに国内特許として有効になります。
また、上記3国以外でEPOの公用語の一つを自国の公用語としているメンバー国においても、クレームの当該国言語への翻訳文を当該国特許庁にファイルするだけで、ヨーロッパ特許を当該メンバー国において有効なものとすることができます。

以 上

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