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「特許法等の一部を改正する法律案」について

2002年5月10日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士  金子 一郎

平成13年12月3日、産業構造審議会知的財産政策部会において取りまとめられた、産業構造審議会知的財産政策部会報告書「ネットワーク化に対応した特許法・商標法等の在り方について」を踏まえ、特許権等の権利保護強化および制度の国際調和を主な目的とする「特許法等の一部を改正する法律案」が2002年2月19日に閣議決定、同年4月11日国会で可決、成立した(平成14年法律第24号)。この法律案の概要につき以下に説明する。

1.改正の理由
今回の法改正の理由としては以下の2つが挙げられている。

(1)情報技術の急速な進展に伴い、ネットワークを利用した新たな事業活動に即応した法整備を行うとともに、こうした社会経済の変化を契機として、特許権等の効力範囲の在り方を見直す。
(2)制度の国際調和、出願人の負担軽減、特許庁における審査の効率化の観点から、特許及び実用新案の出願方式の見直しを図る。

2.法律改正の概要

(1)ソフトウェア等情報財の特許保護強化とネットワーク取引の促進

①特許法上の「物」にプログラム等が含まれることの明確化
2001年1月10日以降の出願に対しては、コンピュータ・プログラムを、物の発明として取り扱う審査基準が運用されている。
しかしながら、民法には「物とは有体物をいう」(民法85条)と規定されており、また現行法は「物=有体物」として活用されることを念頭に規定しているため(法2条3項)、無体物であるコンピュータ・プログラムそのものについて特許法で保護される範囲は、必ずしも明らかではない。
そこで、法律案においては、特許法上の「物」にプログラム等(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたもの)が含まれることが規定されており、コンピュータ・プログラムそのものについて特許法で保護されることが明らかにされている。

②発明についての実施の定義の見直し
現在インターネット等の急速なブロードバンド化に伴い、CD-ROM等の媒体に記録されない状態でのインターネット等の電気通信回線を介したプログラムの販売・流通が増大してきている。
しかしながら、現行法は、インターネット等を介して情報財が提供されることを発明の実施として規定していない(法2条3項)。このため、インターネット等を介した情報財の提供が発明の実施のとして規定されている「譲渡」に該当するか否かについて、問題となっていた。
そこで、法律案においては、プログラム等の発明である場合には、インターネットなどの電気通信回線を通じた提供は「譲渡」に該当することが規定されており、インターネット等を介したプログラムの提供は、発明の実施に含まれることが明らかにされている。

(2)特許法の間接侵害規定の拡充

現行法は、特許権者を保護するために、特許権の侵害に使われる部品や材料を侵害者に供給する幇助的行為等を、いわゆる間接侵害として侵害行為に含めている(法101条)。
しかしながら、濫用による弊害を防止するため、「その物に生産にのみ使用する物」(101条1号)、又は「その発明の実施にのみ使用する物」(同条2号)というように極めて限定的な場合に限り間接侵害とする規定としている。このため、判例上も、間接侵害として侵害が認められた事例は多くない。
そこで、法律案においては、従来の侵害とみなす行為に加えて、悪意(その発明が特許発明であること及びその発明の実施に用いられることを知りながら)、特許発明による課題の解決に不可欠なものを生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為も特許権等の侵害とみなす行為として規定されており、特許権者の保護強化が図られている。

(3)ネットビジネスで使用される商標の信用保護強化
近年、ネットビジネスの増大に伴い、インターネット上での商品やサービスの提供も普及しており、ユーザのパソコンや携帯電話の画面上で表示される商標(マーク)についても十分な保護が求められている。
しかしながら、現行法は、有体物に付される商標を念頭に置いて標章の使用が定義されている(法2条3項)。

そこで、法律案においては、
  i) 商品に標章を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為
 ii) 電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
iii) 広告、価格表又は取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為は、標章の使用に該当することが規定されており、ユーザのパソコンや携帯電話の画面上で表示される商標に対する保護が図られている。

(4)出願人の負担軽減と迅速かつ適確な審査の促進

①明細書からの特許請求の範囲の分離
国際出願および欧米の先進国の特許出願においては、明細書から特許請求の範囲が分離されている。
しかしながら、我が国の現行法は、特許請求の範囲を明細書の記載事項として規定しており(36条3項)、特許出願の方式を他の先進国や国際出願に整合させる必要があるため、出願人の負担となっていた。
そこで、法律案においては、特許出願の願書に添付する明細書から特許請求の範囲を分離し、別の書面とすることが規定されており、出願人の負担軽減が図られている。

②国際特許出願に係る手続の整備
2001年9月24日から10月3日に開催された特許協力条約同盟総会において、2002年4月より、PCT第22条(1)に規定された国内以移行段階に移行する期間を、優先日から20ヶ月であったものを30ヶ月にすることが決定された。
一方、我が国の現行法では、国際特許出願の国内書面および翻訳文の提出期間は、優先日から20ヶ月(優先日から1年7月以内に国際予備審査請求をしており、かつ日本を選択国として選択しているものは優先日から30ヵ月)(法184条の4)と規定されている。
そこで、法律案においては、国際特許出願における国内書面の提出期間を一律30カ月にすることが規定されている。
また、国内書面の提出の日から2ヶ月以内に翻訳文を提出できることも規定されており、翻訳文の質的向上促進、ならびに出願人の便宜及び審査の促進が図られている。
ただし、上記法律案は施行されていないため、2002年4月1日現在では、上記国内段階に移行する期間は優先日から20ヶ月のままである。

③文献公知発明に係る情報の開示に関する制度の導入
現行法では、出願人が有する先行技術文献情報を出願の際に審査官に開示することは要求されていない。
しかしながら、上記出願人が有する情報を審査官に開示することは、より迅速かつ適確な審査の実現を図るために好ましい。

そこで、法律案においては、
i) 特許を受けようとする者は、特許出願の時に知っている文献公知発明が記載された刊行物の名称などの情報の所在を発明の詳細な説明に記載すること、
ii) 審査官は、文献公知発明が記載された刊行物の名称などの情報の所在を発明の詳細な説明に記載されていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、意見書提出の機会を与えることができること、
iii)審査官が、上記通知をした場合であって、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によってもなおi)の要件を満さない場合は、拒絶をすべき旨の査定をしなければならないこと、が規定されている。
ただし、法律案は、米国における情報開示制度(IDS)とは異なり、上記文献公知発明に係る情報の記載がなされていないことを理由として権利行使を不能とするものではなく、また、上記情報が開示されていないことは、特許異議申し立て理由、特許無効理由としては規定さていない。

④マドリッド協定の議定書に規定する国際商標登録に係る手続の整備
法律案においては、国際商標登録出願の個別手数料のうち、登録料に相当する額について、国内出願の場合と同様、出願が国内で登録査定された場合に支払えば良いことが規定されている。

以上

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