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弁理士会e-ラーニング研修「進歩性の判断の動向」より得た実務上の指針

2006年6月9日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 今野 信二

<総論>
  2005年12月、弁理士会より配信された「進歩性の判断の動向」に関するe-ラーニング研修は、実務上、大変参考になるものであった。
  講習会におけるテーマは、1)阻害要因論、2)明細書に記載されていない効果の参酌、3)設計事項の認定についての3つ。これら3つのテーマに関し、私個人が検討した内容を以下に記す。
  今回の講習会で得た知識を、国内中間処理に活かし、進歩性に関してより良い主張ができるように心がけたい。

<各論>

1.阻害要因論について

(1)講習会で示された実務上の指針
  ①組合せの阻害要因ありの理由付け例
●課題解決のためには一見逆効果となる構成の採用
●引用発明の本来の目的を放棄するように思われる置換
●刊行物そのものが本件発明の構成を排除しているような場合
●刊行物発明と本件発明とで作用が大きく異なる場合
  ②組合せの阻害要因無しの理由付け例
●既に解決されている過去の問題点
●細部にわたる課題・作用の違い
●一見劣っているものの、程度が似たり寄ったりのものの採用

(2)検討
● 「阻害要因あり」との主張をすることで、本願発明と引用発明との間で構成上の明確な差異点が無いような場合にも、進歩性が認められるケースはある。
  「本願発明と引用発明との間で構成上の差異無し」として進歩性の主張を諦めることなく、一歩進んで阻害要因の有無を検討する姿勢は重要であると考える。
● 講習会で説明された「阻害要因有り」の理由付け例がそのまま適用できるケースは少ない。
  しかしながら、阻害要因の有無を検討する際に、「課題・構成・作用効果」の観点から、引用発明と本願発明とを対比するという視点は非常に重要である。
● クレーム上に、本願発明の効果を盛り込むことで、従来技術との差異を主張できる場合もある。
  EX)「○○(効果)するための××手段(構成)」
● 引例を組み合わせることにより生じうる不都合を、阻害要因として主張することもできる。このような不都合に関しては、発明者に問い合わせると有効な材料が得られる場合もある。

2.明細書に記載されていない効果の参酌について

(1)講習会で示された実務上の指針
● 出願前先行技術調査を徹底的にやり、最も近い先行技術と比較した上での効果をしっかり書いておく。審査や無効審判で想定外のさらに近い先行技術を引用されたら、その後から理屈付けはできないと覚悟を決める。
● 課題や作用効果を、考え付くものは全て書いておく。ただし、自ら権利行使対象の範囲を狭める“両刃の剣”に要注意。
● 定量的な効果のみに基づく進歩性主張は、機械分野ではあきらめる。実証試験報告を出しても、「構成から予測される効果」か「クレーム中のごく一部の実施例の効果」と見られる。一方、先行技術とは異質な効果は比較的評価されやすいので、その根拠記載を充実させておく。
● 先行技術の組合せにない相乗的な特異な作用を、クレームに構成として盛り込んで、新規構成ポイントを稼ぐ。

(2)検討
● 進歩性の点において権利取得が厳しくなることが予想される出願については、「課題や作用効果を、考え付くものは全て書いておく。」というスタンスを採用することが好ましいと考える。
● 明細書に記載されていない効果であっても、クレームの記載から直接的に導ける効果は意見書に記載し、進歩性の反論材料として用いるべきであると考える。

3.設計事項の認定について
(1)講習会で示された実務上の指針
● 発明のポイントが簡単な話・当り前の話・自然な流れに沿った話との印象がぬぐえないときには、「一見そうかもしれないが実はそうじゃないんですよ」というストーリーを明細書中に準備するように努める。
● 極力、二の矢・三の矢(有力な追加限定事項)を明細書中に準備するように努める。
● H15.9.24,平成14(行ケ)646「自動販売機」における「単なる部材の形状の違いであっても、その違いによって機能・作用を異にする場合は設計事項とはいえない」との旨の判示の線で反論する。

(2)検討
● 「自動販売機」事件における設計事項に対する反論は参考になると考える。この判例においては、「機能・作用」の観点(要は作用効果の観点と解される)から、設計事項に対する反論を行っている。
● 顧客から、「一見進歩性がなさそうかもしれないが、実はそうじゃないんですよ」といった類のストーリーを引き出すのは難しい場合がある。
  しかしながら、顧客が出願を依頼した発明に対して、安易に「進歩性無し」との見解を示すことは、顧客を傷つけることになりかねない。積極的に、進歩性を主張できるような構成を顧客から導き出そうとすることが重要であると考える。
  たとえば、国内優先を利用して、進歩性を反論できる構成を検討する期間を確保すること有効な措置になり得ると考える。

*参考文献
1.弁理士会e-ラーニング研修「進歩性の判断の動向」 配布資料
2.特許・実用新案 審査基準

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