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南米における共通知的財産権法(アンデス協定決定第486号)

2006年7月13日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 鶴田健太郎

1.はじめに
 アンデス共同体(Comunidad Andina)とは、南米のアンデス山脈の周辺各国の共同体であり、現在コロンビア、ペルー、ボリビア、エクアドルが加盟している。
 共同体の目的は、統合と協力による加盟国の調和的発展の促進、経済成長と雇用創出の促進、ラテン・アメリカ共同市場形成を目指した地域統合プロセスへの参加促進、国際経済動向の中で加盟国の対外的脆弱性改善と立場向上、および不均衡是正と連帯強化であり、主として経済的な協力体制を確立することと考えられる。
 アンデス協定(CAN)は、共同体各国の法制を拘束する協定である。
 知的財産権に関わるものとしては、共通知的財産権法(決定第486号)、共通の著作権および著作隣接権法(決定第351号)、新種植物育成者保護法(決定第345号)、共通の遺伝資源へのアクセス法(決定第391号)がある。本コラムでは、このうち共通知的財産権法について、その概略を説明したい。
 
2.共通知的財産権法の内容
 以下に、アンデス協定決定第486号の見出しの訳を挙げる。これによっておおよその雰囲気をつかんでいただけたら幸いである。
 
1総則
 内国民待遇
 最恵国待遇
 期間
 通知
 言語
 優先権
 取り下げおよび放棄
2特許
 2-1特許性
 2-2特許権者
 2-3特許出願
 2-4審査
 2-5特許権
 2-6特許権者の義務
 2-7強制ライセンス
 2-8特許後の手続き
 2-9特許の無効
 2-10特許の消滅
3実用新案
4集積回路の回路配置
 4-1定義
 4-2要件
 4-3権利者
 4-4出願
 4-5審査
 4-6登録による権利
 4―7ライセンス制度
 4―8登録の無効
5意匠
 5―1保護要件
 5―2登録手続き
 5―3登録による権利
6商標
 6―1登録要件
 6―2登録手続き
 6―3商標権およびその制限
 6―4移転および使用許諾
 6―5登録の取り消し
 6―6登録の更新
 6―7登録の無効
 6―8登録の消滅
7宣伝広告
8集合商標
9証明用の標章
10商号
11表札または紋章
12地理的表示
 12―1原産地名
 12―2原産地表示
13著名標章
14正当権利者の権利
15侵害
 15―1権利者の権利
 15―2各国による判定
 15―3各国間による判定
 15―4刑罰
16知的財産に関連した営業秘密
 16―1不正競争
 16―2工業秘密
 16―3不正競争に対する権利
 
 以上のように、TRIPs協定などとは異なり、かなり細部まで定められている。例えば、特許性に関しては、14条から21条までに定めがあるが、一部を以下に訳す。
 
14条 加盟国は、物の発明であるか方法の発明であるかにかかわらず、すべての技術分野の発明に対して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性を満たすものについて、特許を付与する。
15条 以下は発明とは認められない。
a)発見、科学的理論、および数学的方法。
b)部分であるか全体であるかを問わず自然に存在するすべての生物、自然における生物的プロセス、および自然に存在するか自然から分離された、遺伝子、胚を含む生物的素材。
c)文学的および芸術的作品もしくはその他の美的創造物であって著作権法により保護されるもの。
d)計画、規則、および方法であって、知的活動、遊戯、および経済的活動に用いるもの。
e)コンピュータープログラムおよびソフトウェア。
f)情報を提示する方法。
16条 発明は技術状態(the state of the art)に含まれない場合新しいとみなされる。
(以下略)
 
 以上のように、内容としては、かなりEPCに近い印象を受ける。ただし、やや生物工学発明に関しては厳しい。他にも、3条では、アンデス協定決定第391号に基づき、生物多様性条約(CBD)を守ることを求めている。アンデス協定決定第391号とは、前述したように、共通の遺伝資源へのアクセス法であり、生物多様性条約の柱の一つである「遺伝資源の提供国に対する公平かつ衡平な利益配分」を目的としている。同法が定めるのは、遺伝資源もしくは伝統知識を利用する際の適正な手続きである。また、共通知的財産法26条でも、発明が遺伝資源もしくは伝統知識に基づくものである場合、出願書類としてアクセス契約書あるいは使用ライセンスの提出をしなければならないと規定している。このように天然資源を利用する発明に厳しいという傾向が、アンデス協定決定第486号による共通知的財産法の特徴の一つといえる。
 また、言語については7条および8条に定められており、願書はスペイン語によることを、その他の書類についてもスペイン語の翻訳をつけることを求めている。これはまさに南米における共通法ということを示している。
 
3.最後に
 アンデス協定決定第486号による共通知的財産法は、前述のように、各国の法制を拘束するのみであり、EPCのように共通特許庁を作るものではない。しかしながら、その内容は特許から商標まで広く含み、方式要件、実体要件を問わず、かなり細部まで定められている。
 今後の世界の特許制度の協調作業がどうなるかは、まだまだ不明な点が多い。しかしながら、一つの、現実に動いている例として南米における共通知的財産法から得られる知見も多いと考えられる。
 
4.参考文献
外務省ホームページ「アンデス共同体の概要」(平成16年8月)
アンデス共同体ホームページ(http://www.comunidadandina.org

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