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知的財産の価値評価手法

2009年12月10日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 山本 輝

1.はじめに
 近年、特許権、商標権といった知的財産(知的財産権)の価値評価に対するニーズが高まっています。そこで、本稿では、知的財産の価値評価手法についての基本的な考え方をまとめてみたいと思います。


2.知的財産の価値評価の基本的な手法
 現在、知的財産の価値評価には、不動産等の資産の価値評価や、企業価値の評価と同様なアプローチがとられています。一般的には、「コストアプローチ」、「マーケットアプローチ」、「インカムアプローチ」の3つに大別されます。

①コストアプローチ
 コストアプローチには、ヒストリカルコスト法、再構築費用法があります。
 ヒストリカルコスト法は、評価対象となる知的財産の取得に要したコストをその知的財産の価値とする手法です。例えば特許権であれば、その特許権の発明の開発、権利取得、権利維持のために要した過去の費用をその特許権の価値とします。
 したがって、特許権の発明に要した研究開発費や、特許出願費用、権利化後の維持費用等のデータを基に、その特許権の価値を容易に算出することができます。
 次に、再構築費用法は、評価対象となる知的財産を再構築すると仮定し、その再構築に要するコストをその知的財産の価値とする手法です。つまり、同様の知的財産をもう一度作り直す場合の費用をその知的財産の価値とします。ソフトウェア等、再作成に要する労力や費用の算出が容易なものについては、再構築費用法の適用が容易です。

②マーケットアプローチ
 マーケットアプローチは、評価対象である知的財産の価値を、その知的財産と類似する知的財産の取引価格を基に算出する方法です。
 マーケットアプローチは、企業価値を市場価値、つまり、株式市場の株価によって評価する方法であり、同様の考えを知的財産の価値評価に適用しようとしたものです。
 ただ、株価であれば、個々の企業の業績等を十分考慮された上で「買い手」と「売り手」の間で実際に取引が行われて決定されることから、客観的な評価が可能ですが、知的財産ではその取引量が少ないため、類似の知的財産の取引価格を基に評価対象の知的財産の取引価格を算出するのはまだまだ困難です。

③インカムアプローチ
 上で述べたコストアプローチ、マーケットアプローチはいずれも、過去の数値等を基に価値を評価する手法です。これに対し、インカムアプローチは、「将来このようになる」、「将来このように推移する」といった予測を基に、知的財産の価値を評価する手法です。
 具体的には、インカムアプローチは、評価対象である知的財産が生み出す収益(将来のフリーキャッシュフロー)の価値を現在価値に置きなおし、それらを合計したものをその知的財産の価値とします。この方法はDCF(discounted cashflow)法とも呼ばれています。
 知的財産が生み出す収益は、将来と現在とにおいて金額が同じであっても、将来の価値と現在の価値とは同じにはなりません。そこで、インカムアプローチでは「将来の収益」の「将来」と「現在」とを結びつけるために、将来の収益の価値を現在の価値に置きなおします。その現在の価値の合計を知的財産が生み出す将来の収益とみなすわけです。

 図1に、上で述べたコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの各々の概要についてまとめた表を示しておきます。

図1:知的財産の価値評価の基本的なアプローチ


アプローチ

概要

コストアプローチ

知的財産の取得に要したコストで知的財産の価値を評価する方法<具体的な手法>ヒストリカルコスト法、再構築費用法等<長所>客観的な評価が容易<短所>知的財産がもたらす将来の利益やリスクを必ずしも反映しない

マーケットアプローチ

知的財産の時価に基づいて評価する方法<具体的な手法>類似取引比較法<長所>客観的な評価が容易、将来の利益やリスクを反映<短所>取引市場が存在しないことが多く、データの収集が困難

インカムアプローチ

知的財産が生み出す将来キャッシュフローの現在価値で評価する方法<具体的な手法>DCF法、リアルオプション法等<長所>将来の利益やリスクを反映<短所>将来計画の作り方によって価値が大きく変化する

出所)渡邊俊輔 「知的財産 戦略・評価・会計」東洋経済新報社を基に作成



3.終わりに
 昨今、知的財産の専門家である弁理士に知的財産の価値評価の期待が熱く寄せられています。弁理士会においても、このような期待に応えるべく、平成17年4月、知的財産価値評価推進センターを設置し、知的財産の価値評価に積極的に関わり始めました。
 私は、当センターに評価人候補者として登録し、当センターが実施する評価人候補者研修を通じて、評価人としての知識、ノウハウの取得を目指しています。
 今後も、研修を通じて得た知識等を基に、順次、知的財産の価値評価についてまとめていきたいと考えています。

以上

(参考)
〔1〕渡邊俊輔 「知的財産 戦略・評価・会計」東洋経済新報社
〔2〕鈴木公明 「知的財産の価値評価」IMSブックレット No.2
〔3〕日本弁理士会 知的財産価値評価推進センター 評価人候補者研修会資料

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