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最新の司法解釈から見る中国の著作権侵害に対する取締り強化への姿勢

平成23年1月27日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
文責:李 じゅん

2011年1月11日に、中国最高人民法院、中国最高人民検察院、中国公安部、中国司法部は共同で「知的財産権侵害刑事事件の取扱いにおける法律適用に係る若干の問題に対する意見(司法解釈)」を発表した。

今回発表された司法解釈は十六ヵ条により構成され、知的財産権侵害刑事事件の取扱いにおいて遭遇する新しい問題の解決を図るための、関連する法律の適用に対する解釈となっている。今回の司法解釈では、知的財産権侵害刑事事件の管轄、知的財産権侵害刑事事件の処理中における行政法律執行部門の収集・取得された証拠の効力、知的財産権侵害事件の取扱いにおけるサンプル入手及び委託鑑定、自訴者の申請に基づく人民法院による証拠の入手、商標犯罪における「同一種類の商品」「その登録商標と同一の商標」の認定、著作権侵害罪における「営利を目的とする」「著作権者の許可なく」「発行」などの構成要件の認定、情報ネットワークを通じて侵害作品を伝播する行為の罪状認定及び量刑基準、知的財産権侵害行為を複数回にわたり実行した場合の金額の累積計算、共犯、犯罪競合などについて規定している。

なかでも特筆すべきものは、今回発表された司法解釈において、中国はインターネット上における著作権侵害事件に対して、今後厳しく取締りを行う姿勢を明確にしたことである。

その背景に、近年のインターネットの普及により、情報ネットワークを介した映画や音楽、テレビ番組などの不法ダウンロードやオンラインストリーミングなどの著作権侵害行為が横行していることにある。著作権侵害行為はますます巧妙化、組織化、専門化の一途をたどり、その上隠蔽性が非常に強いため、取締りは困難さを増している。

著作権侵害に対して、中国刑法第217条は次のように規定している。





(刑法)第217条

営利を目的とし、次に掲げる著作権侵害行為の一つを実施し、違法所得金額が比較的大きいまたはその他の情状が重大である場合は、3年以下の有期懲役または拘役に処し、罰金を併科又は単科する。違法所得金額が巨額である場合またはその他の情状がきわめて重大である場合は、3年以上7年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。

  • (1)著作権者の許諾を得ずに、その文字作品、音楽、映画、テレビ、ビデオ作品、コンピュータソフトウェア及びその他の作品を複製発行した場合。
  • (2)他人が専有出版権を享有する図書を出版した場合。
  • (3)録音録画製作者の許諾を得ずに、その者が製作した録音録画の著作物を複製発行した場合。
  • (4)他人の署名を盗用した美術作品を制作し、販売した場合。




実際の司法実践においても、情報ネットワークを介した知的財産権の侵害事件は増加する一方である。2004年に発表された「最高人民法院、最高人民検察院の知的財産権侵害刑事事件の具体的な法律適用における若干の問題の解釈」の第11条第3項では、「情報ネットワークを通じて公衆に他人の作品を伝播する行為は、刑法第217条に規定する複製発行である」ことを明確にした。しかしながら、司法実践においては、インターネットでの著作権侵害事件は伝播が速い、伝播範囲が広い、記憶容量が大きい、侵害作品と非侵害作品とが共存するなどの特徴があることから、一部の地方の公安機関、人民検察院、人民法院においては情報ネットワークを介した知的財産権犯罪行為の罪状認定及び量刑基準に対して、どのように把握するまたは認定するかについて異なる意見や認識があった。

今回発表された司法解釈では、上記条文の適用において、下記の点を明らかにした。





第10条 著作権侵害事件における「営利を目的とする」の認定について

販売以外にも、以下の一つに該当するものは、「営利を目的とする」と認定することができる。

  • (1)他人の作品中において有料広告を掲載する、または第三者の作品と一括販売するなど、直接または間接的に費用を徴収するもの
  • (2)情報ネットワークを介して他人の作品を伝播し、または他人がアップロードした侵害作品を利用して、ウェブサイトまたはホームページ上で有料広告サービスを提供し、直接または間接的に費用を徴収するもの
  • (3)会員性の方式で情報ネットワークを介してより他人の作品を伝播し、会員入会費またはそのほかの費用を徴収するもの
  • (4)そのほかの他人の作品を利用して利益を得る状況




これによって、例えばウェブサイトで映画などの著作権侵害作品を視聴させ、視聴者に対して直接費用を徴収しないものの、そこに有料広告などを埋め込むことによって間接的に利益を得ているケース、また、例えば一般公衆はアクセス不可能であっても、入会費などを徴収した会員のみに著作権侵害作品を視聴させるケースでも、刑法217条の「営利を目的とする」要件を満たすことを明らかにした。





第12条 「発行」の認定

「発行」とは、総発行、卸売り、小売、情報ネットワークによる伝播、及びレンタルまたは展示販売などの活動をいう。





これによって、情報ネットワークを介して他人の作品を伝播する行為は、刑法217条の「発行」に該当することを明らかにした。





第13条 情報ネットワークを通じて侵害作品を伝播する行為の罪状認定及び処罰基準

営利を目的として、著作権者の許可を得ずに、ネットワークを通じて公衆に他人の文学作品、音楽、映画、テレビ、美術、写真、映像作品、録音録画製品、コンピュータプログラム及びその他の作品を伝播し、以下の一つに該当するものは、刑法第217条に規定する「その他の情状が重大である場合」に相当する。

  • (1)違法経営の金額が5万元以上であるもの
  • (2)他人の作品を伝播する数量が合計500件(部)以上である
  • (3)伝播した他人の作品が実際5万回以上クリックされたもの
  • (4)会員制の方式で他人の作品を伝播し、登録会員数が1000人以上に達するもの
  • (5)金額または数量が上記第一項ないし第四項の規定に満たさないものの、二項目以上の基準値の半分以上にそれぞれ達するもの
  • (6)その他の情状が重大である場合

また、前項に規定する行為の実施に際して、金額または数量が前記第一項ないし第五項に規定する基準の5倍以上に達するものは、刑法第217条に規定する「その他の情状がきわめて重大である場合」に該当する。





第13条は本司法解釈における注目すべきポイントであり、情報ネットワークを介した知的財産権侵害犯罪に対する罪状認定及び量刑に対して、明確な基準を示した。さらに、上記規定の司法実践での操作性は非常に優れたものであると考えられる。

これによって、例えば、入会費などを徴収した会員のみに著作権侵害作品を視聴させるケースにおいて、(1)違法所得が5万円以上、(2)500件以上の他人の作品をアップロード、(3)アップロードした作品が実際に5万回以上クリックされ、(4)会員数が1000人以上のうちのいずれかを満たせば、刑法217条「3年以下の有期懲役または拘役に処し、罰金を併科又は単科する」に処すことができる。また、例えば会員数が5000人以上の場合、規定する基準の5倍以上に達したとして、刑法217条「3年以上7年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する」に処すことができる。





第15条 他人の知的財産権侵害の実行に際して、原材料、機械設備等を提供する行為

他人が知的財産権侵害犯罪を実行するのを知りながら、他人に侵害製品を生産、製造するための主な原材料、補助材料、半製品、包装材料、機械設備、ラベル・標識、生産技術、配合などの幇助を提供し、またはインターネットアクセス、サーバー管理、サーバー空間、通信回線、費用回収代行、費用決済などのサービスを提供するものは、知的財産権犯罪侵害の共犯として取り扱う





これによって、著作権侵害サイトの設立者または運営者のみならず、「他人が知的財産権侵害犯罪を実行するのを知りながら」の要件を満たせば、サーバー、通信回線、決済代行などの関連サービスを提供する幇助的な行為をした者も、知的財産権犯罪の共犯として取り扱うことを明確にした。





第1条 知的財産権侵害事件の管轄

知的財産権侵害犯罪事件は犯罪地の公安機関により立件捜査される。必要な場合には、犯罪容疑者の居住地の公安機関により立件捜査される。知的財産権侵害事件の犯罪地は、侵害製品の製造地、貯蔵地、輸送地、販売地、侵害作品を伝播し、または侵害製品を販売するウェブサイトのサーバー所在地、ネットワークアクセス地、ウェブサイトの設立者または管理者の所在地、権利侵害作品のアップロード者の所在地、権利者が実際侵害を受けた犯罪結果の発生地である。





これによって、サーバー所在地、アクセス地、ウェブサイトの設立者または管理者の所在地、権利侵害作品のアップロード者所在地のうち、いずれの現地公安機関も、侵害案件に対して捜査権を有することを明らかにした。


〔参考資料〕
知的財産権侵害刑事事件の取扱いにおける法律適用に係る若干の問題に対する意見(原文)(中国語) 中国公安部ウェブサイト
http://www.mps.gov.cn/n16/n1282/n3508/n2173912/2662026.html
中国国務院記者会見議事録(中国語) 中国国務院ウェブサイト
http://www.china.com.cn/zhibo/2011-01/11/content_21703790.htm?show=t
中国人民共和国刑法(抄録)(日本語) JETROウェブサイト
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/19970314.pdf

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