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新聞記事「特許法の大幅見直し」について

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
2009年1月21日
(文責:弁理士 村上 尚)

1. はじめに
 2009年1月5日付けの日本経済新聞に,「特許庁は,特許法の大幅見直しに向けた検討に入る」という記事が掲載されました[1,2]。記事では,具体的な見直し内容として,「特許の保護対象にソフトウェアなどの無形資産を追加」などが挙げられています。
 そこで,本稿では,上記記事に基づき,特許法の見直し内容について簡潔に紹介します。

2.見直しの主な検討項目
 記事では,見直しの主な検討項目として,下記が掲載されました。
  ・保護の対象となる「発明」の定義の見直し
  ・「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり
  ・「職務発明規定」の見直し
  ・審査基準の法制化に向けた検討
  ・迅速で効率的な紛争解決方法の検討
  ・審査の迅速化と出願者のニーズへの対応
  ・分かりやすい条文づくり

2.1 『保護の対象となる「発明」の定義の見直し』について
 記事では,“「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウェアなどの無形資産を追加”と記載されています。しかしながら,現行の特許法でも,「物」のみならず,「方法」および「物を生産する方法」についても保護対象としています。そのため,記事が意味するところは,おそらく,「物」にプログラム等が含まれることの規定(特許法第2条第3項第1号)や,「プログラム等」の規定(同条第4項)の見直しであると思われます。さらには,発明の定義(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの)(同条第1項)を見直し,発明そのものにソフトウェアなどの無形資産を含めることが検討されるかもしれません。
 なお,コンピュータ・ソフトウエア関連発明の取り扱いについては,現行の特許・実用新案審査基準に考え方が示されています(第VII部第1章)。具体的には,“「ソフトウェアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合,当該ソフトウェアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である“ことが示されています。従いまして,発明の定義を見直す方向で検討が行われる場合,現行の特許・実用新案審査基準についても大幅な見直しが行なわれると思われます。

2.2 『「差止請求権」の放棄など技術革新の促進に向けた制度づくり』について
 近年,自他が所有する特許の開放を相互に行ない,複数の特許を利用して,研究開発や技術の標準化が行なわれることがあります。特に,ソフトウェアは,複数の開発者が互いの知識を共有することにより,効果的にイノベーション(技術革新)を促進することができる技術であると言うことができますので[3],この分野における特許の相互開放は,技術革新の促進につながります。
 しかしながら,特許を開放した特許権者から差止請求権を行使される可能性が残っていると,開放された特許の利用が十分に進まず,その結果として,技術革新が促進されないこととなります。
 そこで,今回の見直しでは,特許を開放する際に,特許権者の意思により,差止請求権を放棄できるようにすることが検討されるようです。さらに,技術革新を促進すべく,特許を開放するルールを整え,相互に活用しやすい環境を整備することが検討されるようです。具体的な検討内容は不明ですが,差止請求権を放棄した特許権者に不測の事態が生じないよう,慎重な制度作りが望まれます。

2.3 『「職務発明規定」の見直し』について
 職務発明について使用者等に特許を受ける権利を承継したときは,従業者等である発明者は,相当の対価を受ける権利を有します。ここで,平成16年法改正において,勤務規則等の定めにおいて対価について定める場合には,使用者等と従業者等との間で行なわれる協議の状況等の手続面を考慮して,その定めたところにより対価を支払うことが不合理であってはならないと規定されました(特許法第35条第4項)。さらに,不合理と認められる場合には,裁判所が対価の額を算定することとされました(同条第5項)。
 平成16年法改正によって,使用者等と従業者等との間で行なわれる手続面が考慮され,訴訟が提起されるケースが減ることが期待されたものの,不合理と認められる場合には裁判所が対価の額を算定する制度が残っていることについて,使用者等からは,対価の額は,使用者等と従業者等との契約に委ねるべきという主張が依然としてあるようでした。
 そこで,今回の見直しでは,「特許権の所有者を、発明者および企業のいずれにするか,発明者と企業との契約のなかで定めるべきか」などを含めて慎重に検討されるようです。具体的な検討内容は不明ですが,職務発明の活性化を促進する制度作りが望まれます。

2.4 その他
 「審査基準の法制化に向けた検討」,「迅速で効率的な紛争解決方法の検討」,「審査の迅速化と出願者のニーズへの対応」,および「分かりやすい条文づくり」については,具体的な記事が掲載されておらず,詳細が不明であるため,本稿での説明は省略します。

3. おわりに
 現時点では,特許庁から正式な発表はありませんので,見直し内容の詳細については不明です。記事によれば,2009年1月下旬から特許庁長官の私的研究会にて1年間検討した後,2010年に産業構造審議会で審議した上で,2011年の通常国会に特許法改正または新法を提出し,2011年の施行を目指しているようです。当事務所では,今後の検討状況や審議状況を報告していきます。
以上
(参考文献)
[1] 日本経済新聞(2009.1.5)
[2] NIKKEI NET(参照日:2009.1.6),
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=AS3S26044%2004012009
[3] 平塚三好,「ソフトウェア特許によるイノベーションの促進および阻害についての一考察」,知財管理,Vol.58,No.1,pp31-40(2008)


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