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ウェブページの画面の保護について

2013年7月9日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
文責:弁理士 長尾 誠

近年、インターネット技術及びクラウド技術の開発がなされ、特許としての権利化が図られています。一方で、「サーバから配信され、ディスプレイに表示されたウェブページの画面」(「ウェブページの画面」)が、意匠法における保護対象となれば、1つの新規な創作物に対して、様々な側面から権利を取得することが可能となります。

以下では、日本における画面デザインの保護の現状と、改正の動きについて説明します。








1.日本における画面デザインの保護の現状
1-1.意匠法における保護範囲

(A)第2条第1項の規定に基づく保護

第2条第1項では、「意匠」とは、「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と規定され、意匠と物品とは一体不可分なものとして扱われています。したがって、物品を離れた画面デザイン(「アイコン単体」など)は、法上の「意匠」には該当しません。

また、意匠審査基準(第7部第4章74.1)では、第2条第1項に該当する「画像」として、以下の2要件を満たすことを規定しています。

  • その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像(「表示画像」)であること

  • その物品にあらかじめ記録された画像であること

従って、例えば、以下に示す画像は、第2条第1項の保護対象とはなりません。

  • テレビ番組の画像

  • インターネットの画像

  • 物品に接続又は挿入された記録媒体に記録された画像を表示したもの、及び、事後的に記録された画像を表示したもの

  • 物品にあらかじめ記録されたもの(プリインストールされたもの)であっても、物品から独立して創作され、販売されるビジネスソフト(OSを含む)やゲームソフト等をインストールすることで表示される画像(ゲームを記録した記録媒体を挿入することにより表示されるゲームの画像を含む)



(B)第2条第2項の規定に基づく保護

第2条第2項では、第2条第1項の「物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」に、「物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であって、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるもの」が含まれると規定されています。

意匠審査基準(第7部第4章74.2)では、第2条第2項が保護対象とする画像について、以下のように規定しています。

  • 画像を含む意匠に係る物品が、意匠法の対象とする物品と認められるものであること

  • 物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像(「操作画像」)であること

  • 当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示される画像であること

従って、例えば、以下に示す画像(実際に物品がその機能にしたがって働いている状態にある画像)については、第2条第2項の保護対象とはなりません。

  • 例えば、携帯電話機については通話中やメールの送信中、磁気ディスクレコーダーについては再生中や録画中の状態等にある画像

  • ソフトウェア使用時、インターネット検索時に表示される画像

  • ゲームの画像

以上、上記(A)及び(B)をまとめますと、現行の意匠法において、画像・画面デザインの保護を図るためには、以下の2要件を満たす必要があります。

(i)物品の使用時・創作時・流通時のいずれにおいても、物品と一体であること(物品との一体性要件)

(ii)上記「表示画像」または「操作画像」(機能・操作要件)


上記2要件に照らした場合、現行法においては、「ウェブページの画面」は、創作時・流通時における「物品との一体性要件」を満たさないため、意匠法上の保護対象とはなりません。




2.画面デザインの保護に関する改正の動き

特許庁では現在、「ウェブページの画面」を含め、現行法において保護対象外となっている画面デザインの保護拡充についての検討を行っています。例えば、以下の(1)及び(2)のケースを想定した保護拡充の検討が行われています。なお、詳細は、以下のURLをご確認下さい。

「画面デザインの保護における検討項目」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou14/08.pdf

「画面デザインの保護を拡充する場合の選択肢(例)」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou16/06.pdf


(1)画像を物品の部分として保護する場合

画像を物品の部分として保護し、かつ、「機能・操作要件」を一部緩和または撤廃した場合には、上記「操作画像」だけではなく、既に機能を発揮している状態の操作画像も保護対象となります。この場合、ソフトウェア(ビジネスソフト、ゲームソフトなど)の画像が保護対象に含まれることになります。

また、「ウェブページの画面」については、流通後に追加される画像について、流通時における物品との一体性を要件としないといった、「物品との一体性要件」の緩和がなされた場合には、保護対象となります。


なお、画像を物品の部分として保護し、かつ、「機能・操作要件」を一部緩和または撤廃した場合、米国における画面デザインの保護範囲とほぼ同一となります。


(2)画面デザイン自体を物品とみなす場合

画面デザイン自体を物品とみなし、かつ、新たな機能・操作要件を設けた場合には、ビジネスソフト、ゲームソフトの画像とともに、「ウェブページの画面」も保護対象となります。また、「機能・操作要件」を撤廃した場合も、「ウェブページの画面」は保護対象となります。

上記新たな機能・操作要件においては、以下のように、現行法の「表示画像」及び「操作画像」とは異なる定義づけを行った場合が想定されています。

  • 「表示画像」…何らかの機能を果たすために必要な表示を行う画像

  • 「操作画像」…何らかの操作の用に供される画像


なお、画面デザイン自体を物品とみなし、かつ、「機能・操作要件」を撤廃した場合、欧州における画面デザインの保護範囲とほぼ同一となります。

また、中国では、特許審査基準において、画面デザインを意匠権の付与対象として認めていません。しかし、意匠出願に対して実体審査が行われないため、実際には、画面デザインの出願が多くなされ、当該出願に対する登録査定がなされています。




3.他法域における画面デザインの保護

上記改正がなされれば、「ウェブページの画面」を、意匠法上で保護することが可能となりますが、上記改正までは、他法域において保護(例えば、著作権法、特許法、商標法、不正競争防止法(2条1項1~3号)による保護)を図ることが考えられます。

しかし、上記他法域においては、以下のように、「ウェブページの画面」を十分に保護することができない可能性があります。


  • 特許法

  • 技術的思想の創作を保護対象とするところ、画面デザインの外観自体が保護対象ではありません。

  • 商標法、不正競争防止法(2条1項1,2号)

  • 保護対象が、出所表示機能を発揮する態様・商品等表示に限られるため、操作のための画面デザインの多くは保護対象とはなりません。

  • 不正競争防止法(2条1項3号)

  • 保護対象が、商品全体の形態が完全に模倣(デッドコピー)された物品の販売活動に限られるため、商品の形態の構成部分にすぎない画面デザインが同規定で保護されるケースは少ないと考えます。

  • 著作権法

  • 画面自体(ただし、創作性のある表現部分に限る)が保護対象となりますが、意匠法のように絶対的権利としての保護を受けることはできません。

それゆえ、我が国において、「ウェブページの画面」の十分な保護を求めるためには、上述したような意匠法の改正が待たれるところです。



以 上




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