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上記トレードマークの背景地図は、1991年当時の特許登録件数を陸地の大きさと形状に擬態化して、地図状に表現したものです。

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§カナダ知的財産情報§



1.カナダの知的財産権法の概要

所管庁:

カナダ知的財産局(Canadian Intellectual Property Office、略称:CIPO)

http://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/eng/home

カナダ知的財産法は、特許法、商標法、意匠法、著作権法、集積回路トポグラフィー法、及び植物育成者権法からなります。

このうち、カナダ知的財産局は、特許法、商標法、意匠法、著作権法、及び集積回路トポグラフィー法を所管しています。


加盟している条約:

(1)パリ条約

(2)特許協力条約(PCT)

(3)WIPO条約

(4)微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約

(5)国際特許分類に関するストラスブール協定

(6)TRIPS協定

(7)植物新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)

(8)北米自由貿易協定(NAFTA)






2.特許

1.特許及び出願の種類

カナダ特許法では、実用特許(通常の特許)のみ規定されています。

出願の種類としては、以下の3種類があります。

  • 特許出願(通常の特許出願)
  • 分割出願
  • PCT出願に基づくカナダ移行出願

さらに、特許を補正する手段として、以下の2種類があります。

  • 再発行出願(特許):登録になった明細書、図面、クレーム等の記載に欠陥のあることが判明した場合に、これを救済する目的で、ある一定の要件を満たした場合に限り、明細書等の記載の訂正を認めて、訂正後の内容で特許の再発行を認める制度(法47条)。再発行特許の申請は、特許日から4年以内。審査官は、提出された申請書を検討して、再発行を認めるか否かを判断します。
  • 権利の部分放棄:登録後に登録クレームの一部を放棄する制度(法48条)。特許権の存続期間中はいつでも申請可能。部分放棄自体の当否の審理や部分放棄後の特許の審査は行われません。



2.出願ルート

パリルート及びPCTルートでの出願が可能です。PCTルートの場合、優先日から30ヶ月以内に国内段階移行手続をする必要があります。

*但し、出願人が追加手数料を支払った場合には、42ヶ月まで延長が可能です。

英語又はフランス語の翻訳文の提出が要求されます。




3.出願に必要な書類

願書、明細書及びクレーム、要約、必要な図面

*書類は英語又はフランス語で作成する必要があります。

*クレーム:申請できる請求項の数および独立請求項の数に制限がなく、超過料金の支払い不要。クレーム形式につき、多項従属クレーム(マルチクレーム)および多項従属クレームを引用する多項従属クレーム(マルチ-マルチクレーム)のいずれも可。

*small entityの制度あり(従業員50名以下の企業、又は大学)。

*委任状の提出は不要。




4.保護対象

以下のものが特許の保護対象に含まれます(法2条)。

  • 新規かつ有用な技術、方法、機械、製造物もしくは合成物
  • 技術、方法、機械、製造物もしくは合成物の新規かつ有用な改良

なお、以下のものは保護対象から除外されています。

  • 発見や科学的理論
  • 単なるアイデア
  • 人体や動物に対する治療法
  • 高等生命体
  • ソフトウェア



5.出願公開

特許出願又は特許出願に関連して提出された書類は、出願日又は優先日のうちいずれか早い日から18ヶ月経過後に公開されます。(法10条)




6.審査

1 審査請求

出願日から5年以内に審査請求する必要があります(特施規96条(1))。第三者も請求できます。

分割出願の場合は、親出願の出願日から5年以内又は分割出願の現実の出願日から6カ月以内に請求する必要があります。

*審査請求期間は延長することができません。

*審査請求期間内に審査請求料が納付されなかった場合、出願は放棄されたものとみなされます。なお、審査請求期間経過後12カ月以内に、回復の請求が可能です。



2 審査内容

法27条(1)において、本法律に基づいて特許を付与するためのすべての要件が満たされた場合に特許が付与される旨、規定されています。具体的には、以下の内容が審査されます。

  • 単一性
  • 特許可能事由
  • 有用性
  • 新規性
  • 進歩性 *1
  • 記載要件 *2

    *1 特許されるためには、新規であることに加え、発明的創意工夫が必要です。なお、進歩性の水準は日本や米国よりも低いと考えられています。
    *2 日本よりも厳格であり、審査過程においては、用語や表現の不明確さを指摘されることが比較的多くあります。

*OA応答期限は、6カ月であり、延長はできません。



3  グレースピリオド

以下の場合の公開は新規性に関して考慮されません(法28.2条(1)(a))。

  • 出願日前1年以内に出願人が直接または間接的に発明を公開・開示した場合

なお、この1年の猶予期間は、優先日ではなく、出願日から起算されるため注意が必要です。



4  早期審査

以下の3種類の早期審査制度があります。

(1)早期審査制度
審査を促進しなければ、請求人の権利が害される恐れがあると特許庁長官が認める場合に、適用されます。

(2)特許審査ハイウェイ(PPH)
日本国特許庁とカナダ知的財産庁は、特許審査ハイウェイ試行プログラムを平成21年10月1日から実施しています。また、申請要件を緩和した特許審査ハイウェイ試行プログラム「PPH MOTTAINAI」が実施されています。

(3)Green Technology関連の発明


5  対応外国出願の情報提出

審査官は、対応外国出願の情報を提出するよう、出願人に要求することができます。



6  原子力に関する出願

特許庁長官が原子力の生産、応用又は使用に関するものであると認めた発明についての特許出願は、審査される前に、その発明内容が原子力安全委員会に通知されます。(法22条)

原子力安全委員会は、当該特許出願の審査等に関して一定の制限を課すよう特許庁長官に勧告することができます。



7  医薬用途発明に関するクレーム形式

医薬用途発明に関しては、以下のクレーム形式が許容されています。

  • (1)スイスタイプクレーム
  • (2)用途限定付きの化合物/組成物クレーム
  • (3)Useクレーム

*(3)のUseクレームは、日本、欧州等では許容されませんが、カナダでは、クレーム形式として許容されています。但し、審査ではクレーム内容を含めた実質的な判断がなされるため、拒絶される可能性がある点に留意が必要です。



7.補正

1. 補正の時期

出願後~特許発効前においていつでも補正をすることができます(法38.2条(1))。

*許可通知~登録料納付の間にも補正を行うことが可能です。但し、2019年10月30日以後に許可通知が発行された場合には、許可通知後の補正は、自明な誤記を訂正するものを除いては一般に認められません。

*許可通知後の補正において、審査官が補正される誤記が自明ではないと判断した場合は、補正は許容されず、補正が組み込まれない状態で特許となります。なお、出願人が許可通知の取り下げを請求していない場合は、登録料の支払期限は変わりません。

*許可通知後の補正が自明な誤記を訂正するものではない場合は、出願人は、許可通知を取り下げて、再度審査へ付すように請求することができます。当該請求は、許可通知の発行後4カ月以内に行わなければなりません。


2. 補正の範囲

新規事項の追加は認められません。但し、新規事項であっても、明細書中に先行技術である旨を明記すれば、その事項を明細書中に含める補正を行うこともできます(法38.2条(2)(3))。

また、「発明の詳細な説明」において明確に記載(明示)されていない事項であっても、クレーム中に含めることが可能な場合があります。

なお、カナダにおける新規事項の基準は、一般に、日本よりも厳格ですので、補正を行う際には慎重な検討を行うことが望ましいと言えます。

*カナダでは、通常、最終拒絶理由通知に至るまでに、複数回の拒絶理由が通知されます。このため、反論の機会も比較的多く、クレームの範囲を少しずつ減縮しながら応答する戦略を取ることが可能です。




8.分割出願

原出願の特許発行前まで分割出願をすることができます(法36条(2))。

分割出願からの分割出願(孫出願)が可能です。




9.維持手数料

出願人は、出願を有効に維持するために、所定の手数料を支払う必要があります(法27.1条)。




10.登録

特許の存続期間は出願日から20年となります(法44条)。
医薬品に関する特許には、特許期間の延長制度があります(カナダ特許法改正により、2017年9月21日に発効)。

*延長期間は、以下のように定まります。
 延長期間=(販売承認日-特許出願日)-5年
 ※但し、最長2年間




11.再審査

何人も、特許の登録後に再審査を請求することができます(法48.1条)。再審査の決定に不服のある特許権者は、連邦裁判所に上訴することが可能です(法48.5条)。

*特許付与の阻止のために、第三者は、先行技術の提出(情報提供)を行うことができます。また、付与済特許の取消のために、第三者は、再審査請求を行うことができます。なお、カナダでは、公告制度および異議申立制度は存在しません。




12.侵害訴訟

特許権侵害が発生した場合、特許権者は、不正行為の停止と損害賠償の請求を行うことができます(法55条(1)(2)、法57条(2))。

*大部分の訴訟は連邦裁判所で扱われるため、法廷地の選択は原則できません。

*ディスカバリーの範囲が、米国と比べて狭くなっています。

*陪審員制度はなく、公判はすべて裁判官により行われます。

*特許権侵害訴訟では、包袋禁反言の原則は適用されません(すなわち、クレーム解釈において、審査経過は参酌されません。)

*三倍賠償は原則ありません。




13.弾劾無効訴訟

カナダ司法長官又は利害関係人は、特許又は特許のクレームについて無効訴訟を提起することができます(法60条)。

*侵害訴訟とは独立した無効訴訟です。日本とは異なり、裁判所が特許無効を判断することができます。

*無効の効果は、対世的効力を有します。




3.特許規則の改正

1.概要

2019年7月10日、カナダ政府は、"Canada Gazette, Part II"において、新特許規則(SOR/2019-251)の最終版を公開しました。この新特許規則と、規則改正に伴う特許法の改正とが、2019年10月30日に発効予定です



2.新特許規則の主な内容

(1)補正に関する厳しい制限
英語か仏語への翻訳文がファイルされる場合、特許出願後の補正は、出願当初の明細書(外国語)と当該明細書の翻訳文(英語又は仏語)との双方から合理的に結論されるものでなければなりません。


(2)プロセキューションの最終期限の短縮
・実体審査請求期限:PCTに基づく国際出願日またはカナダ出願日から4年以内に短縮されます(従来は5年以内)。
・OA応答期間: 4ヶ月へ短縮されます(従来は6ヶ月)。但し、2ヶ月の延長が可能です。
・登録料の支払期限:Notice of Allowanceの発効日から4ヶ月へ短縮されます(従来は6ヶ月)。
・分割出願の実体審査請求期限:親出願の実体審査請求期限(親出願日から4年)、又は、分割出願の出願日から3ヶ月のうち、いずれか遅い方までに、行う必要があります(実体審査請求費用の支払を含む)。


(3)特許許可後の訂正プラクティスの簡素化
2019年10月30日以降に特許許可通知が発行された場合、"final fee(Issue Fee)"の支払前に、特許許可通知を取り下げると共に、庁費用(CAD $400)を支払うことによって、プロセキューションを再開させることが可能となります。


(4)実体審査請求期限の徒過
実体審査請求期限を徒過すると、権利の回復のために「相当の注意」基準をクリアしなければならなくなります(権利の回復に関して、従来は「当然の権利」として認められていましたが、今後は「相当の注意」基準をクリアすることが求められるようになります。)。


(5)誤記を訂正することができる期限の明確化
誤記("clerical error")を訂正するための明確な期限が設けられます。具体的に設けられる期限の適用対象は、(i) 優先権主張の誤記の訂正、(ii) 発明者および出願人の誤記の訂正、及び、(iii) 特許における明らかな誤記に関する訂正に限定されました。


(6)カナダ国内段階移行期限の短縮
2019年10月30日以降にファイルされたPCTに基づく国際出願は、従来通り、最先の優先日から42ヶ月以内に、カナダへの国内段階移行の手続をすることが可能です。但し、最先の優先日から30ヶ月を超えてカナダ国内段階移行手続をする場合には、回復費用("reinstatement fee":CAD $200)の支払が必要となります。また、最先の優先日から30ヶ月以内に国内段階移行手続をすることができなかったことが、故意ではなかった旨の陳述書("statement")を提出しなければなりません。


(7)維持年金
2019年10月30日以降、カナダ特許弁護士だけでなく、誰でも維持年金("maintenance fee")を支払うことができるようになります。また、維持年金の支払を徒過した場合、権利の回復には、以下に注意が必要です。
・延滞料の支払のための猶予を与える旨の通知から2ヶ月、又は、本来の納付期限から6ヶ月のうち、何れか遅い方の期限までに、延滞料(CAD $150)と共に未払いの維持年金を支払う必要があります。
・権利の回復には、「相当の注意」基準をクリアする必要があります(権利の回復に関して、従来は「当然の権利」として認められていましたが、今後は「相当の注意」基準をクリアすることが求められるようになります。)。


(8)出願日が容易に確保できる
PCT経由ではなく直接カナダ特許庁に出願する場合において、直接出願された特許出願が英語またはフランス語以外の言語で手続された場合でも、正当な出願日として認められます。但し、2ヶ月以内に翻訳文の提出が必要となります。


(9)優先権の回復
PCTに基づく国際出願の出願日が2019年10月30日以降の場合、カナダ国内段階移行出願において優先日の回復が可能となり、優先日は国際段階において回復されます。


(10)優先権主張出願に含まれるべき内容物を提出する機会
追完書類が優先権書類に完全に含まれている場合、出願人は、原出願日を失うことなく、欠いている必要書類を追完することができるようになります。但し、対象出願は、カナダ直接出願のみであり、PCTに基づく国際出願のカナダ国内段階移行出願は、対象外です。


(11)優先権の基礎となる特許出願の認証謄本の提出
PCTに基づく国際出願の出願日が2019年10月30日以降の場合であって、国際段階において優先権書類の認証謄本がファイルされなかった場合、出願人は認証謄本をカナダ特許庁にファイルしなければなりません。


(12)電子フォームで提出されるシーケンスの超過頁の費用適用
電子フォームで提出される場合、シーケンス・リスティングの頁に対する追加料金の支払は、不要になります。


(13)優先権主張の基礎となる出願に基づく明細書の内容追加または図面の追加
2019年10月30日以降にファイルされたカナダ特許出願の場合であって、明細書や図面の一部が欠落している場合、当該特許出願は、この欠落部分を基礎出願の明細書や図面に基づいて追加することにより補正することが可能となります。





担当弁理士


弁理士
リサーチャー
芦田文人 (あしだ ふみと)
1978年生まれ
研究経験:分子細胞生物学、生化学、遺伝子工学
専門分野:バイオテクノロジー

近年、iPS細胞、再生医療、ゲノム創薬などのバイオ分野における技術革新は目覚ましく、知的財産権の確保および活用は、今後益々重要になっていくものと思われます。
私は、大学知財部門での職務を通じて培った経験・ノウハウを活かして、お客様にご満足頂けるような最高のサービスを提供できるよう、日々精進していきたいと考えています。



東京法務戦略部長
弁理士
アドバイザー
石黒 智晴 (いしぐろ ともはる)
1980年生まれ
経済学部出身
主要取扱分野:商標、意匠、不正競争防止法

クライアントの皆様から気軽にご相談いただける関係を築きたいと考えております。
日頃から相互に意見交換をさせて頂くことにより、

・御納得頂けるスピード力
・クライアント様が真に望む成果

を実現できる様、日々精進して参りますので宜しくお願い致します。

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