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§パキスタン知的財産情報§



◆国情報◆


正式国名:パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)

面積 79.6万平方キロメートル(日本の約2倍)
人口 1億8,802万人(2016年)(年人口増加率1.07%)
首都 イスラマバード
民族 パンジャブ人、シンド人、パシュトゥーン人、バローチ人
言語 ウルドゥー語(国語)、英語(公用語)※手続は英語で可能
宗教 イスラム教(国教)



◆経済情報◆

出典:(外務省HP)

主要産業 農業、繊維産業特にパンジャーブ地方で小麦の生産が盛んで世界生産量第4位
GNP(実質)(2016年度) 2501億ドル
一人当たりGNP 1,413ドル(2008/2009年度パキスタン経済白書)
実質経済成長率(GDP) 2.0%(2008/2009年度中央銀行年次報告書)
物価上昇率 20.8%(2008/2009年度中央銀行年次報告書)
失業率 5.2%(2008/2009年度中央銀行年次報告書)
外貨準備高 145.16億ドル(2010年1月)
総貿易額(2008/2009年度) 輸出 192.1億ドル、輸入 316.7億ドル



◆はじめに◆

パキスタン・イスラム共和国は2000年に知財関係法令を整備し、世界に標準を合わせた知的財産法制を確立しています。

また、2004 年より、以前の商庁、特許意匠庁、著作権庁の3つの庁が一つのパキスタン知的財産機構に統合されました。

現在、工業所有権制度には、特許、意匠及び商標の3つがあります。

なお、パキスタンは、工業所有権の保護に関するパリ条約への加入書を寄託し、2004年7月22日から当該条約に拘束されることになりました。




◆特許◆
  2004/05年度 2005/06年度 2006/07年度 2007/08年度 2014/2015年度
出願件数 493 1406 1790 1535 2000
登録件数 484 256 299 152 1800

【1】法制度と条約関係の情報

特許法
実用新案法 ×
意匠法
商標法
不正競争防止法 ×
著作権法
WIPO設立条約
TRIPS
パリ条約
PCT条約 ×
マドリッドプロトコル ×
商標法条約(TLT) ×
ベルヌ条約

【2】出願人の資格について

発明者又はその承継人が出願できます。


【3】現地代理人の必要性について

現地に居所を有しないものは、手続を行う際に現地代理人を必要とします。


【4】出願公開制度について

出願公開の制度はありませんが、出願の内容は出願人に通知され、かつ官報により公衆に知らされます(特許法21条)


【5】審査請求制度について

日本のような出願審査請求制度はありませんが実体審査が行われます。

なお、改正前のパキスタン特許法では、審査官に対し、パキスタンにおける出願日から18ヶ月以内に特許出願の審査結果を特許庁長官に報告する事が義務付けられていましたが、2006年の改正により、上記報告義務が撤廃され、現在、審査結果を報告する法定期間は規定されていません。(特許法16条)


【6】出願から査定までの平均期間

審査請求制度は存在しないが、出願から特許査定までの平均期間は約18か月程度


【7】特許性について(特許法7条)

日本と同様に、発明は新規であり、産業上利用可能であることが求められています。

また、以下に該当するものは特許性が認められません(特許法7条(2)(4))。


  • ①単なる発見、科学的理論及び数学的方法
  • ②文芸・学術・美術、これらに類する単なる美的特性を有するにすぎないもの
  • ③計画・規則・方法・精神活動・ゲームの方法、事業活動の方法
  • ④情報の提示
  • ⑤自然に生きているもの又はそこから分離したもの
  • ⑥公の秩序・善良の風俗を害するもの、人間・動物・植物に損害をあたえるもの、他の法律で禁止されているもの
  • ⑦人間・動物を手術・治療・診断する方法
  • ⑧化学式から単に製造された化学製品や既存の製造工程で製造されたもの。但し、特許性があるものは除く。

【8】新規性判断の基準

国内及び外国の公知、国内及び外国の刊行物を基準として判断されます(特許法8条)。


【9】Office Actionへの対応について

パキスタンではOAの応答期限が存在しません。従いまして、権利化を遅らせたい出願人はOAへの応答を行わないという方策も取る事が可能です。

なお、パキスタンではEP出願のように2-part形式のクレームが好ましいとされています。


【10】存続期間について

日本と同様、出願日から20年と定められています(特許法31条)。

なお、特許権の存続期間の延長登録の出願制度はありません。


【11】異議申し立て制度について

何人も告示の日から4月以内に特許異議申し立てを行う事ができます(特許法23条)。


【12】無効審判の制度について(特許法46条、47条)

無効審判制度又はこれに類する制度があります。

また、日本と同様、原則として請求期間に制限はありません。


【13】特許発明の実施義務について(特許法59条)

実施義務があります。具体的には、出願の日から4年 又は 特許査定となった日から3年と定められています。


【14】侵害訴訟について(特許法60条)

特許権者は、特許権が侵害された時、地方裁判所に訴訟を提起することができます。

特許権が侵害された時とは、第三者が発明を使用し・販売し・偽造し・模倣した場合であります。


【15】水際対策

権利者は税関に対して税関登録や登録した製品等の情報を税関に提供する事が可能です。

なお、当該対応には所定の費用を支払う必要があります。




◆意匠◆
  2004/05年度 2005/06年度 2006/07年度 2007/08年度
出願件数 2479 652 487 535
登録件数 872 468 397 438

【1】条約関係等の情報

パリ条約、WTO協定に加盟しています。

なお、ヘーグ協定、ロカルノ協定には未加盟です。


【2】出願人の資格について

創作者又はその承継人が出願できます。


【3】現地代理人の必要性について

現地に居所を有しないものは、手続を行う際に現地代理人を必要とします。


【4】審査制度について

実体審査が行われます。


【5】新規性判断の基準

国内及び外国の公知、国内及び外国の刊行物を基準として判断されます(意匠法3条)。


【6】存続期間について(意匠法7条)

出願日から5年と定められています。

なお、意匠権の存続期間の延長制度があり、10年を延長期間として2度延長することができます。


【7】異議申し立て制度について

ありません。


【8】無効審判の制度について

無効審判制度又はこれに類する制度があります。

具体的には、利害関係を有する者は登録から2年以内に限り、登録の取消を求める事ができる。

なお、日本での無効審判の請求先は特許庁ですが、パキスタンの場合、その請求先は最高裁判所とされている点で大きく異なります(意匠法10条)。


【9】侵害訴訟について(意匠法8条、9条)

意匠権者は、自己の権利が侵害された場合、損害賠償請求、差止請求を行う事ができます。




◆商標◆
  2004/05年度 2005/06年度 2006/07年度 2007/08年度
申請件数 13097 13129 14309 14170
登録件数 3586 2833 5067 7412

【1】条約関係等の情報

パリ条約、WTO協定に加盟しています。

なお、TLT(商標法条約)、マドリッド協定議定書、ニース協定には未加盟です。


【2】現地代理人の必要性について

現地に居所を有しないものは、手続を行う際に現地代理人を必要とします。

※公証を受けた委任状の提出が必要です。ただし、委任状の事後提出が可能です。


【3】審査制度について

実体審査が行われます。具体的には、出願後3ヶ月以内に審査官から審査報告がなされ、申請内容に問題がなければ、その内容が商標ジャーナルに掲載されます。

商標ジャーナルへの掲載日以後、2ヶ月以内に商標登録異議申し立てがなければ、商標申請書は適法であると認められます。


【4】権利付与の原則について

パキスタンは、先願主義を採用しています。


【5】団体商標制度について

パキスタンでも団体商標制度があります(商標法82条)。


【6】出願の基礎について

出願時に、①パキスタンにおいて出願商標を既に使用しているか、または明確な使用の予定がある場合は、商標の使用開始日を、②使用の意思に基づく出願の場合は、その旨を特定する必要があります。

なお、本国登録要件(外国人が自国以外の国へ出願する場合に、自国において事前に商標登録がなされていることを要求されること)は、パキスタンにおいては不要です。


【7】存続期間について

出願日から10年と定められています。

なお、商標権の更新制度があり、期間は同じく10年です。


【8】不使用取消について

パキスタンにおいても、日本と同様、登録商標が不使用の場合は、取り消されます。

不使用の期間は日本とは異なり5年です。


【9】移転について

日本と同様、自己の営業とは無関係に商標権のみ移転する事ができます。


【10】異議申し立て制度について(商標法28条、29条)

出願から3ヶ月以内に審査報告がなされ、申請内容に問題がなければ、商標ジャーナルに掲載される。上記商標ジャーナル発行後、2ヶ月以内に商標登録異議申し立てを行う事ができます。

異議申し立ての理由は所定の事項に限られます(商標法29条)。


【11】無効審判の制度について

無効審判制度又はこれに類する制度があります。

また、日本と同様、原則として請求期間に制限はありません。


【12】分類について

日本と同様、商品分類は34、サービス分類は11です。

また、標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定に基づく国際分類を採用しています。


【13】商標権の侵害について(商標法40)

我が国と同様に、権原なき第三者が同一又は類似の商品又はサービスについて登録商標またはこれと類似する商標を使用する行為が商標権を侵害する行為となります。

なお、商標権の侵害とはならない所定の行為(例えば善意の使用や人名等の使用)についても規定されています(商標法42条)。


【14】侵害訴訟について(商標法46条)

商標権者は、自己の権利が侵害された場合、損害賠償請求、差止請求を行う事ができます。


《出典・参考文献・リンクなど》

http://www.jetro.go.jp/world/asia/pk/invest_08/

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/pakistan/data.html

http://www.ipo.gov.pk/

APPI vol. 46 №5

PatentsOrdinance2000

DesignsOrdinance2000

Trademark Ordinance

http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

各国産業財産権法概要一覧表(出典:JPO)


担当弁理士


秘書管理部 課長補
ベンチャー支援室 大阪室長/オフィスマネージャ/知財コンサルタント
弁理士
スペシャリスト
山下 広大 (やました こうだい)
法学部出身

知的財産権の権利取得・権利活用は、クライアントが抱えている経営上の課題に対して成果をもたらし、その結果として「経営上の課題を解決する」という形に結び付くことが期待出来ます。

このように、クライアントの経営と密接に結び付いた権利取得・権利活用をより円滑に進める事が出来るよう、弁理士として努力し、その結果、当所理念にも掲げられている「クライアントの皆様に最大限の満足と利益を提供すること」を達成できれば幸いです。



大阪法務部商標室長
弁理士/特定侵害訴訟代理人
リサーチャー
武田 憲学 (たけだ かずのり)
法学部経営法学科卒業
取扱分野:意匠、商標、著作権、コンピュータプログラム登録、半導体回路配置登録

弁理士として、多くの顧客の皆様の大切な知的財産の権利化及びその保護の十全化を図るという責任の重さを感じております。
日々、自己研鑽に励み、皆様のお役に立てるよう精進して参ります。



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