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上記トレードマークの背景地図は、1991年当時の特許登録件数を陸地の大きさと形状に擬態化して、地図状に表現したものです。

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§トルコ知的財産情報§



≪トルコ関連のトピックス≫
  • 2016年5月9日、トルコ特許庁のアサン長官が日本国特許庁を訪問されました。
    今後の日本・トルコ両国間の協力について意見交換が行われたとのことです。
  • 2017年1月10日、新産業財産権法が発効しました。特許、工業デザイン、地理的表示、および商標について大きな変更があります。特に、特許では、下記の重要な変更があります。
    ●7年の存続期間を有する特許の廃止
    ●特許権付与後の異議申し立て制度の新設


1.はじめに

米投資銀行のゴールドマン・サックス社がBRICsの次に高度成長を遂げる新興国として提唱するNEXT11に名を連ねるトルコ共和国(以下、トルコ)。

本稿では、トルコの知財情報を概説する。



2.トルコの概要

トルコは、西アジアのアナトリア半島(小アジア)と東ヨーロッパのバルカン半島東端の東トラキア地方を領有する、アジアとヨーロッパの2つの大州にまたがる共和国である。

トルコは、ヨーロッパ、アジア、及び中東地域の中間地点にあることから、古くより「東西文明の十字路」として栄えている。トルコの国土は日本の約2倍(約78万平方km)、人口は7,372.3万人(2010年)で、中東地域を代表する大国である。住民の大多数はイスラム教徒であり、政教分離による近代化を果たしたイスラム教国としても有名である。外交面では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国として伝統的に西側の一員である。



3.トルコにおける特許出願の状況

トルコにおける特許出願の状況について概説する。

下記のグラフに示すように、トルコの特許出願件数は、2004年から急増しており、2010年には8000件を突破している。

日本からトルコへの特許出願件数は、1999年には73件であったが、2009年には141件となっており、ほぼ倍増している。また、2010年には189件となっており、中国等の他の新興国への出願件数には遠く及ばないものの、出願件数は着実に増加している。

なお、下記のグラフには示されていないが、2014年のトルコの特許出願件数は12000件を超えており、日本からトルコへの特許出願数は370件を超えている。

このように、トルコにおける出願件数は、年々増加しており、トルコがヨーロッパ等向けの生産拠点としてのポテンシャルを有していることから、今後も出願件数が増加していくことが予想される。

〔参考〕トルコにおける国別の出願件数の推移(グラフ)

出願件数の推移(グラフ)

4.トルコにおける権利取得

(1)出願ルート

続いて、トルコにおいて発明を権利化するための方法について概説する。

トルコは、パリ条約、EPC、及びPCTに加盟している。

このため、外国人がトルコで権利取得するためには、

  • ①パリルート
  • ②PCTルート
  • ③EPCルート

の何れかのルートでトルコ特許庁(以下、TPI)に出願を行うことになる。


(2)権利化までの流れ

特許出願を行うと、まず、方式審査が行われる。方式審査において不備が発見された場合には、拒絶理由が通知され、意見書・補正書の提出機会が与えられる。

出願書類は、わが国と同様、願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、及び必要な図面である。出願言語はトルコ語であるが、英語、フランス語、またはドイツ語による出願書類の提出も認められており、この場合には出願日から1ヶ月以内に、追加手数料と共にトルコ語の翻訳文を提出する必要がある。

方式審査を終え、出願日から18月(優先権主張を伴う場合には優先日から18月)が経過すると、出願公開が行われ、出願内容が公報に掲載される

ここで、トルコ出願の場合、出願日から15月以内(優先権主張を伴う場合には優先日から15月)以内に先行技術調査の請求をしなければならない(S4)点に注意が必要である。先行技術調査の請求を行わなければ出願は取り下げられたものとみなされる。

先行技術調査の請求を行うと、先行技術調査の報告書が通知され、出願人は、この通知後3月以内に実体審査の請求を行わなければならない。

実体審査の請求が行われた後、実体審査が開始される。実体審査において、特許要件を満たしていないと判断された場合には、その旨が出願人に通知され、意見書・補正書の提出機会が与えられる。

特許要件としては、我が国と同様、新規性、進歩性、産業上の利用性が要求される。また、発見や科学的な理論、計画や精神的な行動や活動に関する方法や規則等、公序良俗に反する恐れがある発明は、わが国同様、特許の対象とならない。なお、わが国では特許の対象となっているコンピュータープログラムは、トルコでは特許の対象とならない点には注意が必要である。

実体審査において、特許要件を満たしていると判断されたときには、登録査定となり、登録料納付によって特許権が付与され、登録内容が公表される。そして、出願から20年で存続期間が満了する



5.トルコにおける他の出願態様

トルコには、上記通常の特許の他、「追加特許」と「秘密特許」という出願態様が存在する。また、「実用証」の出願も認められている。

以下では、これらの出願態様について概説する。


(1)追加特許

追加特許の対象となる発明は、主特許の発明を改善発展させる発明であり、追加特許の要件は、主特許と包括的性質の主要発明概念を共有し、主特許の発明を改善発展させるものであることである。つまり、追加特許には、新規性・進歩性の要件は求められない。

追加特許の出願可能期間は、主特許の査定が出るまでである。ただし、主特許に拒絶査定が出た場合は追加特許は付与されない。

出願手続中であれば、追加特許の出願を主特許の出願に変更することができる。


(2)秘密特許

秘密特許とは、TPIが国防上重要であると特定した発明に係る出願を、出願日から5月間まで守秘することができるものである。

このため、わが国から秘密特許の出願を行うことは考え難い。


(3)実用証

実用証の保護対象は、特許と同様に「発明」であるが、方法の発明、製造方法の発明又は化学物質に関する発明については、実用証の保護対象外である。実用証の権利存続期間は出願から10年である。

実用証の登録要件は、「新規でかつ産業上の利用性を有する発明」である。日本の実用新案と同様、審査段階では、方式的要件を満たしているか否か、出願の主題が保護対象に合致しているか否かについてのみ審査される。

実用証出願は、登録査定までの期間であれば、特許出願に変更することができ、特許出願から実用証出願への変更も可能である。



6.トルコ 新産業財産法の発効

トルコにおいて、2017年1月10日に新産業財産法が発効し、特許、意匠、商標及び地理的表示の保護に関する規定が一つの法律に組み込まれました。新産業財産法は、2017年1月10日から効力が発生しますが、旧法も、2017年1月10日前の出願に対して適用されます。以下の項目が、今回の主な改正点です。


1. 意匠

① 新規性についての審査時期
従来、新規性についての審査は、方式審査の後、方式要件を具備した出願について行われていましたが、改正後は、方式審査の段階で行われるようになりました。


② 登録後異議申立期間の短縮
第三者は、公告日から6か月の間、異議申立をすることができましたが、改正後は、従来の6か月から3か月に短縮されました。


③ 非登録意匠としての保護
トルコ国内で初めて公衆に利用可能となった意匠は、非登録意匠として保護されるようになりました。当該非登録意匠と同一又は類似の意匠を実施する第三者への権利行使も可能です。保護期間は、初めて公衆に利用可能となった日から3年間です。


④ 特徴記載書
特徴記載書が、必須の提出書類ではなく任意の提出書類となりました。


2. 商標

① 同意書制度の導入
従来、同一又は類似の商標の並存登録は認められませんでしたが、法改正により、審査時に引例とされた商標の権利者の同意書(Letter of Consent)を提出すれば、拒絶理由を解消することができるようになりました。なお、同意書は、拒絶理由が出される前にも提出することができます。


② 異議申立期間の変更
利害関係人は、出願公告日から3か月以内に異議申し立てをすることができましたが、改正により、3か月から2か月に短縮されました。なお、2017年1月10日前に出願された商標出願に対する意義申立期間は従来どおり3か月です。


③ 異議申立に対する使用証拠の要求
従来では、異議申立の根拠となっている登録商標が、登録後5年を経過している場合、出願人が異議申立人に対して、使用証拠を要求することはできませんでしたが、改正により、使用証拠を要求できるようになりました。使用証拠を提出できなかった場合、異議申立は棄却されます。


④ 不使用取消請求の提起先
従来では、不使用取消請求は裁判所に提起する必要がありましたが、改正法により、特許商標庁に提起できるようになります。なお、特許商標庁は準備のため7年以内の猶予期間が与えられており、それまでは従来どおり裁判所の管轄となります。


⑤ 色商標、音商標、動き商標
色商標、音商標、動き商標における紙媒体での再現という要件がなくなりました。


⑥ 更新期間
従来では、月末で存続期間が満了しましたが、改正法では、実際の満了日に存続期間が満了します。6か月前に更新登録の申請ができ、存続期間の満了後6か月間は猶予期間となります。なお、この規定は2018年1月10日から効力が発生します。



7.トルコにおける商標出願について

トルコにおける商標出願件数は、1998年には19,790件であったが、2008年には74,991件に倍増している。経済成長に伴って、商標権による保護のニーズが高まっていることが伺える。なお、2009年の商標出願件数は71,604件であり、2008年と比べると減少している。

2009年の商標出願件数のうち、トルコ居住者による出願件数は59,838件であり、出願の大部分がトルコ居住者によってなされている点が、特許出願と対照的である。なお、日本からトルコへの商標出願件数は365件である。

トルコは、パリ条約及びマドリッド協定議定書に加盟しており、商標に関する法令の基本部分は先進国とほとんど変わらない。パリ条約に基づく優先権主張出願が可能であり、マドリッド議定書加盟国への出願・登録を基礎として、トルコを指定国に選択して出願することもできる。

商標出願は、方式審査及び実体審査を経て出願公開される。出願公開後3ヶ月以内が異議申立期間となっており、利害関係人であればこの期間に(付与前)異議申立が可能である。なお、利害関係人でなければ、(付与前)所見提出により、出願商標が不登録事由に該当することを主張する意見書を提出することができる。異議申立との相違は、TPIにおける手続の当事者となれるか否かである。

そして、審査の結果、欠陥がないと認められる場合、不備が補正された場合、所定期間内に異議申立がない場合、または商標登録に対する異議が最終的に拒絶された場合に、登録査定となる。トルコの商標権の存続期間は、出願から10年であり、10年ごとに更新ができる。


※マドプロでトルコを指定した際の注意点※

トルコ特許庁の商標公報における国際登録の公告日から3ヶ月間、異議申立期間となる。

しかし【マドプロでトルコを指定した場合】は、この期間に異議申立があった際、庁から出願人及びWIPOに通知されず、異議申立の決定(first decision)後、報告される


  • ①国際登録に対する異議申立は出願人に通知されないため、国際登録に対する異議申立については、明確な応答期限はない。しかしながら、異議申立日から2~3ヶ月内を目途に、応答(意見書提出)が可能(但し、意見書の提出は義務ではない)。
  • ②意見書が提出された場合には、意見書も参照した上でfirst decisionがなされる。意見書が提出されない場合には、異議申立人の異議申立書のみを参照してfirst decisionがなされる。
  • ③なお、first decisionに不服の場合、上級機関(審判部・知的財産裁判所)による再審理を要求することができる。但し、裁判になった場合、高額な費用と1~2年の期間とを要する。

したがって、トルコ現地代理人に依頼して異議申立の有無を監視(ウォッチング)しておき、first decisionがなされる前に、異議申立に対する反論をして対処することが望ましい。


◆以上の実情に鑑み、当所では、トルコを指定した国際登録に対する異議申立の有無について、監視(ウォッチング)を承ることが可能です(別途料金要)。ウォッチングを希望される場合は、当所までご相談ください。



8.トルコにおける意匠出願について

トルコにおける意匠出願も、特許、商標出願と同様に、まず方式審査に供され、方式審査の通過後、実体審査に供される。実体審査の結果、登録査定となれば、意匠登録を受けることができ、登録された意匠は公告公報に掲載される。

公告は、最長で出願日(優先日)から30カ月まで繰り延べが可能である。日本の秘密意匠制度では、登録日から最長で3年間、意匠を秘密状態とすることができるのに対し、トルコでは秘密状態とすることができる期間がそれよりもやや短くなっている点に留意が必要であろう。

また、意匠権の存続期間は、出願日から5年であるが、最大4回、存続期間の更新を行うことができる。このため、意匠権は、最長で25年間存続させることが可能である。


■ハーグ協定

  • 1)締約しているハーグ協定:ジュネーブ改正協定 (1999)
  • 2)発効日:2005 年 1 月 1 日
  • 3)締約国が行った宣言
      ・拒絶の期間を12ヶ月とする。(第 18 規則(1)(b))
      ・国際登録の効果の日(第 18 規則(1)(c)(i))
      ・国内法令に基づく最長の保護の存続期間(第 17 条(3)(c))


9.トルコ関連情報へのリンク(※20100730追記)

トルコ特許庁:
http://www.turkpatent.gov.tr/

トルコ特許法(和文、日本国特許庁から出されているもので、条文の概要確認に便利。特許規則、商標法、意匠法等の和文もある):
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm

トルコ特許法(英文、トルコ特許庁HPに掲載):
http://www.turkpatent.gov.tr/portal/default_en.jsp?sayfa=121

世界の産業財産権制度および産業財産権侵害対策概要ミニガイド(トルコにおける知的財産権の制度及び保護の概要が記載されています):
http://www.iprsupport-jpo.jp/soudan/miniguide/miniguide.html

模倣対策マニュアル(トルコにおける知的財産権保護について詳細に記載されています):
http://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/manual/manual.htm

トルコ特許庁データベース (トルコ特許の検索ができます。ただし、キーワード検索はトルコ語で行う必要があります):
http://online.tpe.gov.tr/EPATENT/servlet/EPreSearchRequestManager


〔参考〕トルコの経済概況

産業割合(トルコ国家統計庁、2009年) サービス業(56%)、工業(19%)、農業(25%)
GDP(2009年) 6,155億ドル
1人当たりGDP(2010年) 10,399ドル
経済成長率(2010年) -8.9%
主要貿易品目(トルコ国家統計庁、2009年) (1)輸出 自動車(12.0%)、機械類(8.0%)、鉄鋼(7.5%)(2)輸入 石油・天然ガス(21.1%)、機械類(12.2%)、鉄鋼(8.7%)
主要貿易相手国(トルコ外国貿易庁、2009年) (1)輸入 露(14.0%)、独(10.0%)、中(9.0%)…日本(2.0%、第11位)(2)輸出 独(9.6%)、仏(6.1%)、英(5.8%)…日本(0.2%、第67位)
通貨 トルコ・リラ

以上



担当弁理士


弁理士/特定侵害訴訟代理人
スペシャリスト
塩川 信和 (しおかわ のぶかず)
生物機能化学専攻

お客様に満足して頂けるサービスを提供するために、誠意ある丁寧な対応を心がけています。
主な担当分野は、IT関連分野です。IT関連発明は、現代のビジネス上極めて重要な位置を占めるものですが、IT関連発明の適切な権利化には高度な専門知識を要します。
IT関連発明をビジネスに活かすことをお考えでしたら、是非ご相談下さい。お役に立てることがあると思います。



弁理士
西田 佳子 (にしだ けいこ)
 優れたデザインは、お客様の商品を他社の商品と差別化して、大きな市場競争力を生み出します。
 私は、意匠をはじめとしてお客様の大切な知的財産を守るために、日々誠意をもって、お客様のニーズにお応えすべく努めて参ります。



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