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米国の実施可能要件違反に係る審査官の立証責任が争点になった審決

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
2011年11月07日
(文責:新 井)

1. はじめに

米国特許法第112条第1パラグラフには、記述要件、実施可能要件、及びベストモード要件について規定されており、これらの要件は、互いに独立の要件として解釈されるべき旨がMPEP 2161に記載されています。

実施可能要件(Enablement requirement)によれば、クレーム発明が当業者にとって製造又は使用できるものであることが必要であり(MPEP 2164)、実施可能要件を充足するか否かは、その発明を実施するに際して当業者に過度な実験(undue experimentation)をさせるか否かにより判断されます(In re Wands, 858 F.2d 731, 737 (Fed. Cir. 1988)、MPEP 2164.01)。実施可能要件を充足していれば、出願人は実動する実施例(working example)を明細書中に記載することは求められません(MPEP 2164.02)。なお、実施可能要件は、出願時の当業者を基準として判断されます(MPEP 2164.05(a)、(b))。



2. 審決

2011年10月21日、In re Comstock *1 の審判手続において、審判部は、実施可能要件違反に基づく審査官の拒絶理由について検討した結果、審査官は立証責任を果たしていないので上記拒絶理由は不当であると認定しました。

本件出願のプロセキューションにおいて、審査官は、クレーム発明 * が米国特許法第112条第1パラグラフに規定の実施可能要件を充足していないと認定していました。具体的には、クレーム発明の特定の文言をサポートする記載が存在しない旨、認定しました。


これを不服とし、出願人は審判請求し、審査官は、prima facie case of lack of enablementと認定する拒絶理由を十分に立証していない旨を開陳しました。

上述のように、実施可能要件を充足するか否かは、その発明を実施するに際して当業者に過度な実験(undue experimentation)をさせるか否かにより判断され、この際の重要となるのは、「過度な実験(undue experimentation)」についての判断です。


CAFCは、In re Wandsにおいて、実験が当業者にとって過度な負担となるか否かを決定する場合、次のファクタ(Wands factors (1)~(8))が審査官によって考慮されるべきであると判示しています。


(1) 開示内容に基づいて発明を製造又は使用するために必要な実験の量(The quantity of experimentation needed to make or use the invention based on the content of the disclosure)
(2) 開示に示された実験を行う指示や指針の量(The amount of direction or guidance presented)
(3) 具体例の存在(The existence of working examples)
(4) 発明の性質(The nature of the invention)
(5) 先行技術の水準(The state of the prior art)
(6) 当該技術分野における相対的レベル(The relative skill of those in the art)
(7) 当該技術分野における予測可能性のレベル(The level of predictability in the art)、及び
(8) クレーム発明の広さ(The breadth of the claims)

本件において、審査官は、Office Actionにおいて実施可能要件違反と認定する際に、上記8個のWands factorsを考慮していませんでした。審判部は、それゆえ、審査官は立証責任を果たしていないので、上記拒絶理由を無効と認定しました。



3. 実務上の留意点

本審決において、クレーム発明に対して実施可能要件違反と認定するためには、審査官は、当該認定の証拠を示し且つWands factorsを考慮しなければならないことが確認されました。したがって、プロセキューション時に審査官が証拠を示し且つWands factorsを考慮することなく、実施可能要件違反と認定している場合には、そのような認定は不当であり、その旨を指摘し反論することによって拒絶理由を取り下げてもらうことが可能となります。


なお、MPEPは、実施可能要件違反と認定する場合には、審査官が、常に最初に、prima facie caseを立証する責任 を有していることを繰り返し警告しています(例えば、MPEP 706.03, 2164.04参照)。

実施可能要件違反に係るprima facie caseに対する出願人への反証責任の転嫁が認められるのは、開示によってクレーム発明が十分に実施できないことを示す合理的な根拠を審査官が確立した場合に限られます(MPEP 2164.04)。


また、審査官は、証拠によってサポートされる具体的事実認定を行い、その後、これらの事実認定に基づいて結論を導き出すことが求められています(MPEP 2164.04)。 この要件は、少なくとも、Wands factors、論拠、及び証拠について検討をすることを求めており、これらは、過度な実験をせずにクレーム発明を実施することを明細書が教示していないことを審査官に結論させるもの、換言すれば、当業者に与えられるいかなる実施可能の範囲も、クレームが求める範囲に相応するものではないことを審査官に結論させるものでなければなりません。したがって、審査官は、単に結論を示すことのみによって実施可能要件違反との理由でクレーム発明を拒絶することはできず、単なる意見ではなくて証拠に基づくものでなければなりません((MPEP § 2164.05)。



以 上



*1 Link: http://www.oshaliang.com/default/BPAI/Comstock.pdf
*2 claim 21 has no support for “electronically determining a finance contract” and that claim 30 has no support for “arranging a financing contract” in the Specification

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