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Phillips v. AWH Corp. En Banc Decision

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成17年07月25日
(文責:新 井)


1.はじめに
CAFCによる最近の判例においては、当業者にとっての通常の意味が決定された後に初めて参照されるべきものが内部証拠とされていました(たとえば、Tex. Digital Sys., Inc. v. Telegenix, Inc. (Fed.Cir. 2002)等)。このような判例においては、通常の意味を決定する際の技術辞書や一般辞書等を参照することが強調されています。この手法においては、クレームの文言の通常の意味が明らかである場合、たとえば特許明細書中の『発明の詳細な説明』に、その文言が通常の意味を否定したり、他の意味を有するように定義づけが行われていたりすることが明確な場合にのみ重要な証拠となります。

実際のところ、クレームの文言を解釈する際に、内部証拠または外部証拠のいずれに基づくべきかについてCAFCにおいてすら混乱が生じており、この混乱を解消し得るものとして位置付けられているのが、Phillips v. AWH 大法廷審理でした。

このたび、この大法廷再審理の決定がありました。HDP事務所のDalley 弁護士より受領した資料の内容を以下に説明します。

2.内部証拠と外部証拠
今回の決定において、内部証拠(クレーム、明細書、出願履歴)の方が、外部証拠(辞書や専門家の意見)よりも重要であることが示されました。

この決定前は、前述のように、辞書を使用することがクレーム解釈における出発点とされる傾向にありました。その後、辞書の広い意味を放棄する記載があるか否か、及び特定の定義づけ(したがって、辞書の意味よりも狭い。)があるか否かを確かめるために、明細書および出願経過が参照されてきました。

上記傾向に基づいてクレーム解釈を行うことをPhillips は批判する一方、内部証拠の重要性を強調してきました。なお、Phillips は、辞書が参考になり、本件において、実際にバッフルの辞書上の定義を使用しています。Phillips は、また、明細書に記載の例に限定して解釈されるべきでない旨も開陳してきました。事実、本件において、明細書は、バッフルが90度であることを排除していません(ただし、このことを支持する記載は明細書中にはありません。)。

本件において一つの主要な解釈は、クレーム識別の法理(Doctrine of Claim Differentiation)を頼みにしていることにありました。この法理によれば、たとえば、クレーム1が木製の鉛筆であることを規定している場合に、クレーム2(クレーム1の従属クレーム)において、上記鉛筆が黄色であることを規定しているとすると、クレーム1は、クレーム2に規定の黄色の鉛筆と、他の色の鉛筆との双方を含むと解釈されます。クレーム1と、クレーム2とは、同じものを意味しません。したがって、クレーム1の鉛筆に対して広い解釈が与えらることになります(通常、明細書の内容を超えた広い解釈が与えられます。)。

本件において、裁判所は、「バッフル」が弾丸を偏向させる装置のみに限定されない旨、判示しています。これは、弾丸を偏向させるという特徴がクレーム2において規定されているからです。クレーム2において別途規定されているのであれば、もともとクレーム1に規定のバッフルの定義に含まれることはありません。このことは、クレーム1が90度のイ号バッフルを含む可能性を開いています。

3.対応策
・ クレーム解釈をする際、辞書の意味を偏重しない。
・ クレーム解釈をする際、クレーム、明細書、出願経過を重視するが、通常且つ未定義の文言については辞書に目を向ける。
・ 放棄 (disclaimer) や辞書編集 (lexicography) については、依然として明細書及び出願経過に主として目を向ける。
・ 効果を発明に結びつけるのではなくて、実施例にのみ結びつける。代替物のみの効果を記載する。
・ 本願明細書の従来技術の項についての記載には注意をすべきである。文言の定義については主として明細書に目が向けられるので、従来技術の問題点の記載がクレームの文言の定義を限定する可能性がある。たとえば、従来技術が輝度を減少させることは教示しているが、速度を増すことを教示していない等の記載は、本願クレームの文言の定義を限定する可能性を有している。明細書中の公知技術の説明はできるだけ短くし、そのような公知技術はIDSとして提出することが好ましい。
・ 明細書は、広いクレームの範囲に見合うように記載することが好ましい。たとえば、広いクレーム文言を使用するのであれば、その広いクレームを支持する実施例や非限定の旨のパラグラフを明細書中に含めることが好ましい。
・ 審査過程において、明細書の範囲外で行動する侵害被疑者を見つけた場合、本事件と同様の対応を行えばよい。すなわち、侵害被疑物をカバーする可能性のある広いクレームを作成し(本事件の場合、90度のバッフルを含むクレームを作成する。)、好ましい実施形態に係る従属クレームを含める(本事件の場合、弾丸を偏向させるバッフルを規定する従属クレーム。)。従属クレームの使用と、クレーム識別の法理とは、必ずしも役に立つとは限らないが、侵害被疑者に対して講じ得る措置の一つとなる。

4.Phillips v. AWH Corp. En Banc Decision の概要
CAFCは、侵害問題については破棄しました。CAFCは、”baffle” がmeans-plus-function クレームではない旨の認定を行い(これは、クレーム及び明細書は、間違いなく、”steel baffles” が特定の物理的装置を記載しているからです。)、下級審の誤認定(明細書に記載の構成とその同等物に限る旨の誤認定)を指摘しました。

したがって、CAFCは、特許明細書において使用されているように、”baffles” という文言の正しい解釈を決定しなければなりません。これまでの関連ケースにおいては、内部証拠(特に、明細書と出願経過)よりも外部証拠に頼りすぎていた。

Phillips の特許(USP‘798)のクレーム1は、バッフルに対して次の3つの要件を課しています。1) made of steel; 2) part of the load-bearing means for the wall section; and 3) pointed inward from the walls.当業者であれば、クレームに規定の”baffles to be load-bearing objects that checked, impeded, or obstructed flow”を理解するであろう旨の結論を明細書は支持しています。弾丸を偏向させることはバッフルの一つの効果ですが、特許は、内側へ伸びる構成がそのような機能を果たすことを可能にすることを必要としていません。また、当業者は、開示内容及びクレームが、壁面の一つから内側へ伸びる構成が鋭角または鈍角の場合のみバッフルであることを意味する旨の理解をしない。CAFCは、文言の限定的定義を支持しているAWHの言い分を退けた。CAFCは、下級審及び判事のパネルが本件において当初決定した原則を再確認した。


以  上

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