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実施可能要件違反の拒絶理由に対する応答(US)

特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成21年7月21日
(文責:新 井)

 US特許出願の審査過程において、35 U.S.C. § 112の第1パラグラフに記載の実施可能要件を満たしていない旨の認定を受けた場合の応答例を以下に示します。

1.Prima Facie Case が立証されていない場合の応答例(*1 )
OAにおいて、クレーム2が35 U.S.C. § 112の第1パラグラフ(*2 )に記載の実施可能要件を満たしていない旨の認定を受けたが、出願人は少なくとも以下の理由により該認定が不当であると考える。

すなわち、審査官は、単に、実施可能要件違反であるとの結論を示しているに過ぎず、prima facie caseを明確に示していない。このように実施可能要件の根拠を十分に示していないので、証拠、及び/又は論拠を示し反論を行う責任は、未だ出願人には転嫁されていない。

MPEPは、実施可能要件違反に基づく拒絶理由を行う場合には、審査官が、常に最初に、prima facie caseを立証する責任 を有していることを繰り返し警告している(例えば、MPEP §§ 706.03, 2164.04参照)。実施可能要件違反に係るprima facie caseに対する出願人への反証責任の転嫁が認められるのは、開示によってクレーム発明が十分に実施可能できないことを示す合理的な根拠を審査官が確立した場合に限られる(MPEP § 2164.04)。審査官は、証拠によってサポートされる具体的事実認定を行い、その後、これらの事実認定に基づいて結論を引き出すことが求められている(MPEP § 2164.04)。 この要件は、少なくとも、Wands factors、論拠、及び証拠について検討をすることを求めており、これらは、過度な実験をせずにクレーム発明を実施することを明細書が教示していないことを審査官に結論させるもの、換言すれば、当業者に与えられるいかなる実施可能の範囲も、クレームが求める範囲に相応するものではないことを審査官に結論させるものでなければならない。端的に言えば、単に結論を述べるだけでは実施可能要件違反でクレーム発明を拒絶することはできず、単なる意見ではなくて証拠に基づくものでなければならない((MPEP § 2164.05)。

審査官がprima face case を確立した後、反証責任が出願人に転嫁されることはよく確立されている。prima face case は、(i) 全ての証拠を検討し、(ii) クレーム発明の実施可能性について疑義を与える合理的根拠を確立することを審査官に求めている。 (MPEP § 2164.05参照).

OAから次のことが明らかである。すなわち、当初明細書に問題の構成要素の開示がないと単に結論しているだけである。例えば、Wands factors(*3 )のうちの一つさえ検討されていないし、全ての証拠を検討した旨も示されていない。これらのことは、MPEP において明確に求められていることである(MPEP § 2164.01(a))。事実、拒絶理由は、当初開示がクレーム発明を実施可能にすることに係る証拠や技術的根拠を欠いている。それどころか、審査官が提示する根拠は、単なる結論に過ぎない。このことは、拒絶理由をサポートするには不十分であり、MPEPが明示的に警告していることである (MPEP §§ 706.03, 2164.05)。

クレーム2の実施可能性に疑義を与える合理的根拠を明確に示すという審査官の責任を果たしていないことだけをとってみても、本拒絶理由が致命的であることを示している。なぜならば、出願人は、上記の拒絶理由に反証する責任が無いからである(MPEP §§ 706.03, 2164.05)。このため、上記拒絶理由は不当である。

以上より、出願人は、本件が再考され、クレーム2の35 U.S.C. § 112, the first paragraph下の拒絶理由が取り下げられるべきであると考える。

なお、USPTOが本拒絶理由を維持する場合、過度な実験をせずに当初明細書がクレーム発明を実施することを教示していない旨、換言すれば、当業者に与えられるいかなる実施可能の範囲が、クレームが求める範囲に相応するものではない旨の結論に導くファクタ、根拠、及び証拠を明確に示すことによって、本拒絶理由の根拠を明らかにすべきである (MPEP § 2164.04)。

2.実体的な応答例(*4 )
クレーム1は、35 U.S.C. § 112, the first paragraphの要件を満たしておらず、それゆえ、実施できない旨、認定されている。具体的には、OAは、支持構造の可動部の上部の移動を制限している外側ターミナルが文言されているとの理由でクレーム1を拒絶している。この認定は、少なくとも以下の理由により不当であると考える。

過度な実験をせずに当業者に実施させることができるように当初開示が記載されている場合には、§ 112 の実施可能要件は満たされる(MPEP § 2164.01)。つまり、何らかの実験が必要であるからといって、必ずしも実施可能要件違反と認定されるべきではない。また、複雑な実験が必要であるからといって、必ずしも過度な実験が必要であるとは限らない (MPEP § 2164.01)。

まず、本願クレーム1発明を実施するのに実験は不要である。たとえ実験が必要であったとしても、そのような実験は過度な実験ではない。この点に関し、実施可能か否かが、従来技術において知られていることに鑑み、予測可能か否かであることに留意することは重要な事項である。したがって、実施可能要件を満足することが必要な指針(guidance)や方向性(direction)の量は、当該技術分野の技術水準における予測可能性と同様に当該技術分野の技術水準に属する知識の量に反比例する(MPEP § 2164.03)。

実験が過度か否かは、具体的には、8個のWands factors(MPEP § 2164.01(a), citing In re Wands, 858 F.2d 731, 737, 8 USPQ2d 1400, 1404 (Fed. Cir. 1988)) によって決定される。

また、実験が過度であるか否かについての適切な解析は、関連するWands factors の全てに対する解析を必要とする(MPEP § 2164.01(a))。したがって、上記8個のWands factors のうちの一つのみの解析に基づいて(残余のファクタについては無視した状態で)当初開示が実施できないと結論することは不当である。

クレーム1は、新規な半導体基板に係り、関連分野の当業者のレベルは、その範囲がOAにおいて扱われていないが、比較的高い。加えて、出願人の図1~図3には、クレーム1発明の例が図示されている。更に、出願人は、クレーム1に記載の基板の製造方法について開示している。少なくとも次のWands factorsについては、実施可能性に有利に働く。
(i) the state of the prior art
(ii) the level of ordinary skill in the art; and
(iii) the presence of working examples.

これらのみが、実施可能性に有利に働くWands factorsではないが、当初明細書のpage 12, lines 13-24の記載に注目すべきである。この箇所には、図1(B)に関連して次のように記載されている。

「閉空間の可動構造15を封止することが必要な場合、第1シール部20は、図2(B)に示されたギャップで櫛形に設けられた複数の第1シール部20aから構成されていてもよい。この場合、第1シール部20aのそれぞれは、傾斜を持つ山型形状を有し、個々に、一組の外側ターミナル17、外側ターミナル17に接続されたワイヤ部17a、及びワイヤ部17aに接続された電極パッド18を封止している。図1(B)に示すように、外側ターミナル17は、可動構造15がA方向に調整可能なように高さEを有しており、これにより装着する際の固有の加速度が測定される。」

このように、外側ターミナルの高さによって可動部の垂直方向の調整が可能となる(図1(B)のA方向)。このことは、少なくとも、移動を制限することを暗示している。それゆえ、開示に関連して必要な実験の量や、実施可能性に有利に働く明細書中の方向性の量等のWands factors も実施可能性に有利に働く。

 上記事情に鑑み、当業者であれば、実験が必要とされるかもしれないが、本願クレーム発明を実施するであろう。これは、当該技術分野の水準における知識の量、当該技術分野の水準における予測可能性、及びWands factorsの大部分によって支持されており、これらは実施可能性に有利に働くものである。それゆえ、本願クレーム発明は十分に実施可能要件を満たしている。

以上より、出願人は、本件が再考され、クレーム2の35 U.S.C. § 112, the first paragraph下の拒絶理由が取り下げられるべきであると考える。

以 上



(*1 ) LINK: http://patentablydefined.com/

(*2 ) 実施可能要件は、クレームされた発明が当業者にとって製造又は使用できるものであることを要求するものであり、発明が有意な方法で公衆に伝達されることを保証するものである(MPEP § 2164)。この実施可能要件を満たしているか否かは、「その発明を実施するのに当業者にとって過度な実験をする必要がないか」との判断基準が通常用いられる(MPEP § 2164.01)。この基準を満たす限り、出願人は必ずしも実際に動作する実施例を記載する必要はない(MPEP § 2164.02)。また、この実施可能要件は、出願時の当業者を基準として判断される(MPEP § 2164.05(a)、(b))。
  本要件違反例として、(i) 構成要素が一つしかないクレーム(single means claim)が存在する場合、(ii) 動作しない実施例がクレームの範囲に含まれている場合、(iii) 明細書の中で不可欠(critical)とされている特徴がクレームに記載されていない場合等は、この実施可能要件に違反するものとして112条第1段落により拒絶される(MPEP § 2164.08)。

(*3 ) 2164.01(a) Undue Experimentation Factors
There are many factors to be considered when determining whether there is sufficient evidence to support a determination that a disclosure does not satisfy the enablement requirement and whether any necessary experimentation is "undue." These factors include, but are not limited to:
(A) The breadth of the claims;
(B) The nature of the invention;
(C) The state of the prior art;
(D) The level of one of ordinary skill;
(E) The level of predictability in the art;
(F) The amount of direction provided by the inventor;
(G) The existence of working examples; and
(H) The quantity of experimentation needed to make or use the invention based on the content of the disclosure.

(*4 ) LINK: http://patentablydefined.com/

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