1. はじめに
米国連邦最高裁判所による所謂KSR判決(2007年4月30日)の数年前から特許許可率(Allowance Rate)が低下し始め、この傾向はKSR判決後も続き、同判決により低下に拍車がかけられた状態でした(2008年度の特許許可率は44%。)。
また、前のUSPTO長官Dudas氏は、大量の審査官(約1200人)を採用したが、これらの新人審査官は、審査ミスを恐れるあまり、特許許可の認定に消極的になり、このことが特許許可率の低下の一因と考えられています。
しかしながら、Kappos氏がUSPTO長官に就任してから、様々な施策が立案・実行され、これに伴って特許発行件数も上向いてきました。
以下に米国特許発行件数の推移等について米国のpatent law weblog(Patently-O)に公開された記事 * を紹介します。
2. 米国特許発行件数の推移
2010年8月19日付の記事には、2009年度および2010年度の米国特許発行件数の比較データと、過去30年間の特許発行件数の推移とが上記Patently-Oにおいて公開されています。
(2-1) 2009年度および2010年度の米国特許発行件数の比較
USPTOは、毎週火曜日の12:01 amに米国特許を発行します。上記記事によれば、毎週、米国特許が空前の件数で発行され続けているようです(次頁のグラフ1を参照)。
この傾向が向こう3ヶ月継続したと仮定すると、年間特許発行件数は、22万件を超え、2009年度の特許発行件数よりも約5万件多くなることが見込まれます。しかも、米国特許の週間発行件数の史上10位の全てが2010年6月~8月に集中しています。
【グラフ1-2009年度の米国特許発行件数の推移】
(2-2) 過去30年間の米国特許発行件数の推移
グラフ2は、過去30年間(1980年~2010年)の年間特許発行件数の推移を表しています。なお、同グラフにおける2010年度の指数は2010年8月18日現在で入手可能なデータに基づく予想値を表したものです。
【グラフ2-過去30年間(1980年~2010年)の年間特許発行件数の推移】
以 上
*1 LINK: http://www.patentlyo.com/patent/2010/08/uspto-patent-grant-numbers.html