| US判例集 |
 |
|
USA・UK支援室 室長 新井 孝政
|
代表電話
FAX
E-mail
|
: 06 - 6351 - 4384
: 06 - 6351 - 5664
: kenzopat@mars.dti.ne.jp
|
|
|
US Case Brief(11) 開示しているがクレームしていない代替物は均等論の範囲を制限し得ることが示された判例
原謙三国際特許事務所
平成16年06月21日
(文責:新 井)
開示しているがクレームしていない代替物は均等論の範囲を制限し得ることが示された判例
(PSC Computer Prods., Inc v. Foxconn Int’l, Inc., No. 03-1089 (Fed. Cir. Jan. 20, 2004))
1.簡単な経過説明
(a) PSC Computer Prods は、特許(USPN. 6,061,239)を所有していた。この特許は、ヒート・シンクを熱生成マイクロチップ・モジュール(CPU等)に取り付けるためのクリップに係るものである。
(b) 上記特許のクレーム1には、弾力性のある『金属ストラップ』とこのストラップに取り付けられるラッチ(latch)との組み合わせが規定されていた。この組み合わせは、ヒート・シンクを強制的にモジュールに嵌め、熱伝導により冷却を行うことを可能とするものである。特許明細書には、従来のプラスチック製のクリップの改良版として金属製のクリップについて記載されている。
(c) Foxconn Int’l, Inc.は、同様の競合クリップを製造しているが、メタル製ではなくてプラスチック製であった。
(d) PSC Computer Prods は、均等論下においてFoxconn Int’l, Inc.が上記特許権を侵害しているとして連邦地裁に提訴した。連邦地裁は、PSC Computer Prods が、プラスチック製のクリップについては公衆に開放していると認定した。なぜなら、上記特許明細書には、プラスチック製クリップについて開示はされていたが、クレームされていなかったからである。クレームされていないプラスチック製クリップは公衆に開放されたものである。したがって、Foxconn Int’l, Inc.は、均等論下において上記特許権を侵害していない旨の判決を下した。
(e) PSC Computer Prods は連邦地裁の上記判決を不服とし、CAFCに控訴した。
(f) CAFC は、『記載内容を読んで、開示されているがクレームされていない教示を当業者が理解できる場合、その開示された代替事項は公衆に開放されたものであることがルール化されている。このルールは、
必ずしも、明細書中の包括的な言及が特定の属概念(genus)の全てを公衆に開放することを意味しない。上記ルールが適用されるためには、開示内容は、開示されているがクレームされていない”subject matter” を当業者が特定できるようなものでなければならない。
(g) CAFC は、また、『上記ルールによれば、特定の事項を開示する発明者は、それを主張し、且つ、審査に供される広いクレームを提出しなければならない。さもなければ、そのような特定事項は、公衆に開放されるものであり、均等論下において権利回復を行えないものである。』旨、明言した。
2.結論
CAFC は、次の理由に基づいて、連邦地裁の判決を支持した。
① 特許(USPN. 6,061,239)中の特定の開示内容である『他の従来技術に係る装置は、成型プラスチック、及び/又は、鋳造又は鍛造されなければならず、しかも高価な金属形成処理が必要な金属部を使用している。』は、プラスチック・コンポーネントを使用することを公衆に開放することを示している。
② それゆえ、上記特許のクレーム1を、公衆に開放されたプラスチック・コンポーネントの使用にまで均等論下において拡張して解釈することはできない。
以 上