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US Case Brief(17) 実施可能になるように、或いは有効性が維持されるようにクレームを改訂することが裁判所に許されていないことが確認された判例
原謙三国際特許事務所
平成16年09月06日
(文責:新 井)
実施可能になるように、或いは有効性が維持されるようにクレームを改訂することが裁判所に許されていないことが確認された判例
Chef Am., Inc. v. Lamb-Weston, Inc., No. 03-1279, 358 F.3d 1371, 69 U.S.P.Q.2d (BNA) 1857 (Fed. Cir. Feb. 20, 2004)
1.簡単な経過説明
(a) Chef America は、U.S. Patent No. 4,761,290 ("the '290 patent") を所有している。この特許は、"heating the resulting batter-coated dough
to a temperature in the range of about 400°F to 850°F"という工程を規定したクレームを有している。
(b) Chef America は、Lamb-Weston を相手取り、侵害訴訟を地裁に提起した。地裁は、Lamb-Weston が申立てたように、
"heating" という限定が、the oven setting の温度ではなくて、the dough の温度を上記特定の温度範囲まで加熱されることを必要としているので、Lamb-Weston は"the '290 patent"を
侵害していない旨の判決を下した。
(c) これを不服とし、Chef America はCAFC に控訴し、上記クレームが、"heating the resulting batter-coated dough
at a temperature in the range of about 400°F to 850°F" と解釈されるべきである旨、開陳した。すなわち、加熱要件は、熱が発生する場所(oven )に対して適用されるべきであって、加熱される物(dough)自体に適用されるべきではない。
(d) Chef America は、"at"と文言すべきを"to"と文言したのはクレーム作成者のミスであったことを争点としていない。むしろ、
Chef America は、"to" が"at" を意味すると解釈されるべき点を争点とした(なぜなら、このように解釈しなければ、特許発明に係るプロセスは特許権者が意図する機能を果たさないからである。the dough がクレームされた温度まで加熱されたと仮定したら、the dough はひどく燃えてしまうだろう。)。
(e) CAFC は、再度、次のような一貫した判断を示した。すなわち、実施可能となるようにするためであれ、あるいは有効性を維持するためであれ、
裁判所はクレームを改訂してはいけない。
クレームが一つの構成のみに影響を受け易い場合、裁判所は、特許権者が規定したクレームに基づいてクレームを解釈しなければならない。本件の場合、
クレームは、明らかに、the dough が規定温度まで加熱されることを必要としている。加熱対象が、the dough ではなくて、熱が発生するthe oven 内の空気であることを示唆する記載は皆無である。事実、クレームは、the oven を文言していない。
温度限定を規定するようにクレームを補正する際、特許権者は、参照すべき2つのモデルを有していた。一つのモデルは、明細書およびオリジナルクレーム6に記載の"to" に係る限定であり、他のモデルは、実施例に記載の"at" に係る限定である。このような状況下で、
特許権者は、"to" に係る限定を選択して補正した。このように、
"to"を選択するにあたって、"to" が "at"を意味することをサポートするものは何もない。
2.結論
CAFC は、次のように判示した。
本件においてクレームの意味するところは明白である。特許権者は、クレーム補正において"at"ではなくて"to" を選択したが、この"to" が "at"を意味することをサポートするものは何もない。それゆえ、Lamb-Weston が "the '290 patent" を侵害していないとの地裁の判決を支持する。
以 上