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US Case Brief(20) 従来技術を回避するためにクレームを減縮したにもかかわらず、減縮した構成要件に対して均等論の法理の適用が認められた判例
原謙三国際特許事務所
平成16年11月01日
(文責:新 井)
従来技術を回避するためにクレームを減縮したにもかかわらず、減縮した構成要件に対して均等論の法理の適用が認められた判例
Insituform Technologies, Inc. v. Cat Contracting Inc. (Fed. Cir. Oct. 4, 2004)
1.簡単な経過説明
(a) INSITUFORM TECHNOLOGIES, INC.は、米国特許第4.366,012 を所有していた。この特許は、硬化樹脂を細長いフレキシブルチューブの内面に含浸する方法に関する。この含浸は、上記チューブの外層中にウィンドウを形成し、このウィンドウを介して真空にすることによって行われる。この際、真空カップが上記ウィンドウを覆うように配される。これにより、上記チューブの端部に導入された硬化樹脂が真空にされる領域へ送られる。
(b) INSITUFORM TECHNOLOGIES, INC.は、CAT CONTRACTING, INC.が米国特許第4.366,012 を侵害しているとの理由で地裁に提訴した。
(c) 上記特許の審査過程において、引用文献(United States Patent No. 4,182,262 to Everson ("Everson"))を克服するためにクレーム1に対して行われた補正中に、クレーム1において真空カップの数を1個に限定する補正が含まれていた。ただし、この際、真空カップの数を1個に限定した補正についての説明は行われなかった。
(d) CAT CONTRACTING, INC.は、真空カップの数を1個に限定した上記補正の説明が行われなかったので、その構成要件については均等論の法理が適用されるべきではない(なぜなら、Warner Jenkinson presumption ゆえ。)旨、開陳した。
(e) 特許権者は、クレーム1に対して行った補正について、次のような説明を行っていた。すなわち、上記引用文献との差異を明確にするためにクレーム1の補正を行ったが、上記引用文献は、上記チューブの端部に唯一の真空源を配することを教示しているに過ぎない。これに対して、補正後のクレーム1発明は、チューブの途中にウィンドウ又はスリットを介して真空源を配する構成を有している。
(f) 特許権者は、チューブの端部に大容量のコンプレッサを必要とする上記引用文献の不利な点を補正後のクレーム1発明が有していないことを明確にした。
2.結論
CAFC は、均等論の法理下で、CAT CONTRACTING, INC.が米国特許第4.366,012 を侵害しているとの地裁の判決を支持する。理由は次のとおり。
減縮補正と複数の真空カップを使用するプロセス(本件において、均等物と主張されている。)との間の関係について、特許権者は審査過程において一切言及していない。このように、真空カップの数を1個に限定した上記補正が、均等物と直接的関係がないことを示す(反証)ことによって、特許権者は、『唯一の真空カップ』という限定を付すクレーム1の減縮補正に対するフェスト推定を覆している。
今回の判決は、次の意を含んでいる。
・ 審査過程において、均等物と直接的関係のない減縮補正であることが示せれば、たとえ補正した構成要件であっても均等論の法理の適用が可能である。
・ 補正を行う場合、補正の目的や意図を説明しておくことが、後に、均等物と直接的関係のない補正であることを反証する上で役立つ。
たとえば、次のような説明を付記しておく。”While Applicants believed that pending claim 1 was and is distinguishable from the cited reference, Applicant amended claim 1 for clarity, i.e., to make clear the relations between the elements of claim1.”
以 上