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US Case Brief (24) クレーム中の ”or” に関するクレーム解釈と、クレーム中の”or”はオール・エレメント・ルールにおける要素には該当しないことが示された判例

特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成17年07月04日
(文責:新 井)

クレーム中の ”or” に関するクレーム解釈と、クレーム中の”or”はオール・エレメント・ルールにおける要素には該当しないことが示された判例

(Kustom Signals, Inc. v. Applied Concepts, Inc., (99-1564, 09/05/2001, Fed. Cir. 2001)

本件においては、次の2点が争われた。(1) クレーム中の ”or” に関するクレーム解釈(排他的な意味なのか、”either” の他に “both” の意味も含むのか? (2)”or” は オール・エレメント・ルールにおける要素には該当する野か?

1.簡 単 な 経 過 説 明
(1-1). Kustom Signals, Inc. が所有するUSP No. 5,528,246(以下、246特許という。)は、自動車の速度を測るレーダスピード計測器に用いられる方法に関する。問題となったのは、クレーム1及び16(preselected magnitude or frequency criteria)と、クレーム20(selecting either a great magnitude or highest frequency search, whereby either strongest signal or fastest signal target identification)とである。

車速の計測は、レーダを車に照射し、その反射信号を検出することによって行われる。しかしながら、車速の遅い大型車(トラック等)は、大きい反射信号を出力するのに対して、車速の速い小型車(高速で走行する乗用車等)は、小さい反射信号を出力する。このように、車のタイプによって、速度の計測に誤差が生じてしまう。そこで、246特許は、この課題を解決すべく、計測器のユーザが前もって装置のモードを選択することができ(大反射信号を出力する被計測物か高速で走るものか否かを選択することができ)、これにより、上記課題を解決している。

これに対して、Applied Concepts, Inc.のイ号製品は、両方のモードを同時に計測することができるものである。


地裁は、クレーム中の “or” は、択一的表現としての意味を持つと解釈し、非侵害である旨の認定を行った。この認定を不服とし、Kustom Signals, Inc. はCAFCに控訴した。

CAFCは、クレーム中の “or” に争点を絞り、クレーム解釈を行なった。Kustom Signals, Inc. は、クレーム中の文言の解釈は、当業者の理解に基づいて行なわれるべきである旨、開陳した。詳細には、本件が信号処理に関するものであるので、コンピュータに関する辞書を参照して、”or” は “both” を含む意味で用いられている旨、開陳した。

CAFCは、クレーム中の文言の解釈においては、まず、発明者がどのような意味に用いているのかが重要であり、本件特許においては、”either” の意味で用いていることが明細書の記載から明らかであるとし、地裁のクレーム解釈の判断を支持した。

加えて、246特許の審査過程において、先行技術を引用したOffice Action に対して、クレームを補正して問題となった文言を追加する(クレーム1と16)と共に、2つのサーチモードで操作できる旨の説明(クレーム20)を行なっている。これにより、”or” は “either” の意味を意図していることは明らかであると認定し、CAFCは地裁の結論を支持した。

(1-2). 本件において、Kustom Signals, Inc.は、上記以外に、”comprising” がクレーム中に文言されている要素以外の要素を含み得ることを示すタームであるので、”or” が仮に択一的解釈を行うタームであったとしても、クレームは2つのモードを同時に計測することも含む旨、開陳した。

しかしながら、CAFCは、”comprising” と “or” とは別のものであり、本件では”or” が問題となっており、それが択一的な意味に用いられているので、他の要素を含み得る”comprising” が用いられているとしても、”or” の択一的意味を排除するものではないとし、Kustom Signals, Inc. の上記開陳内容を認めなかった。

本件において、地裁は、均等論の検討に関し、オール・エレメント・ルールにより均等論を認めるためには、全ての要素を含むことが必要であり、択一的意味の”or” も一つの要素であるので、均等論の適用は無い旨の認定を行った。

しかしながら、CAFCは、”or” はオール・エレメント・ルールにおける要素には該当しないので、このようなオール・エレメント・ルールの適用は不当であるとした。しかしながら、CAFCは、審査過程における禁反言の法理により、均等論の適用無しとの地裁の判断は支持した。


2.結 論
(2-1). CAFCは、本件特許においては、”either” の意味で用いていることが明細書の記載から明らかであるとし、地裁のクレーム解釈の判断を支持した。

(2-2).CAFCは、”or” はオール・エレメント・ルールにおける要素には該当しないので、このようなオール・エレメント・ルールの適用は不当であるが、審査過程における禁反言の法理により、均等論の適用無しとの地裁の判断を支持した。


以 上

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