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U.S. Case Brief (35) 少なくとも一つの部材を受けて上記部材と文言した場合、一つ一つの部材を意味するとは限らないことが示された判例

特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成20年09月08日
(文責:新 井)

少なくとも一つの部材を受けて上記部材と文言した場合、一つ一つの部材を意味するとは限らないことが示された判例
(HowMedica Osteonics v. Wright Medical (Fed. Cir. 2008))



1.簡単な経緯
Howmedica は、自社が所有する特許(USPN. 5,824,100)をWrightが侵害しているとの理由で連邦地方裁判所に提訴した。上記特許(USPN. 5,824,100)は、膝義足に係る発明であり、クレーム解釈に関して連邦地方裁判所が判決を下した後、Howmedica は、CAFCに控訴し、この際、上記特許権をWrightが侵害していることを示そうと思ってもできなかったので、控訴したことを認めた。これに対し、Wrightは反訴し、 上記控訴が、当事者間で事前に行われたsettlement agreement and "release"に鑑み、無意味である旨を主張した。
本件は、特許弁護士―発明者間の交信がクレーム解釈にどのような影響を与えるかという疑問を含んでいる。

2.CAFCにおける2つの争点
第1の争点
クレーム解釈: 「上記」顆状素子は、「一つ一つの」顆状素子を意味しない。“The” condylar element does not mean “each and every” condylar element
第2の争点
"release"の意図:審理における第2の争点は、当事者間で事前に行われた和解契約における"release"の影響。

3.CAFCの見解
(3-1) 第1の争点について
2対1 の過半数意見において、Judge Dyk は、下級裁(連邦地方裁判所)がクレーム解釈について判断を誤っていると結論している。

クレームには、「大腿部の部品が、少なくとも一つの顆部要素を含む」("femoral component including at least one condylar element.")が文言されていると共に、「上記の顆部要素」("the condylar element")が、所定の幾何学的限定を有することを必須の要件として記載されている。
クレーム解釈における争点は、一つ一つの顆状素子が、上記所定の幾何学的限定を有しなければならないか否かであった。下級裁は、一つ一つの顆状素子が、上記所定の幾何学的限定を有しなければならないと判断した。しかし、Judge Dyk はそうではないと判断している。Judge Prost は、特許出願人がクレームの文言の意図を明確にすることが非常に容易であったであろう旨を指摘している。

また、クレーム解釈の一環として、Wright は、特許審査に関与した特許弁護士と出願人との間で交わされたemailの内容を提示した。このとき、出願人は、クレームにおける潜在的な限定を検討していた。判事の過半数は、Phillips事件に鑑み、発明の分野について裁判所を教育するのに役立つと共に当業者であればクレームの文言が意味することを決定するのに役立つためだけに使用される外的証拠に過ぎないとして上記email を受け付けなかった。

Wright が依拠したレターは、発明者に審査官との間で行われた個人面談を報告したものであったが、争点となっているクレームの文言の解釈には価値の無いものであり、その目的を達成することができなかった。

(3-2) 第2の争点について
第2の争点は、当事者間で事前に行われた和解契約による影響であった。Howmedica が、将来、特許に係る訴訟をWrightに対して行わないことが、和解契約の文字通りの意味である("any and all manner of claims . . . that Howmedica . . . has, ha[s] had, or may have against Wright Medical . . . including, but not limited to, any and all claims and counterclaims that were or could have been asserted." )。しかしながら、連邦地方裁判所と控訴裁判所の双方とも、両当事者が上記”release”の意味を広義に解釈していないので、上記契約の文字通りの意味を適用すべきではない旨の判断を下し、遥かに協議のparallel agreementに依拠するものを証拠として採用した。

HowMedica Osteonics v. Wright Medical (Fed. Cir. 2008)のリンク先: http://www.cafc.uscourts.gov/opinions/07-1363.pdf、http://patentlaw.typepad.com/


以 上

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