| US判例集 |
 |
|
USA・UK支援室 室長 新井 孝政
|
代表電話
FAX
E-mail
|
: 06 - 6351 - 4384
: 06 - 6351 - 5664
: kenzopat@mars.dti.ne.jp
|
|
|
均等論が“about” and “approximately”等のクレームの文言の範囲を広げることには適用されないことが示された判例
特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成20年10月20日
(文責:新 井)
均等論が“about” and “approximately”等のクレームの文言の範囲を広げることには適用されないことが示された判例
Cohesive Technologies, Inc. v. Waters Corp., No. 2008-1029 (Fed. Cir. Oct. 7, 2008)
1.はじめに
均等論が、“about” and “approximately”等のクレームの文言の範囲を広げることには適用されないことが示されました。その理由は、これらの文言が、すでに、クレームの文言上の範囲内で均等物を含んでいるからであるということが示されました。
anticipation defenseとobviousness defenceとは別個のものであることが示されました。
2.連邦地方裁判所の判断
本件特許クレームにおいて、粒子は、“greater than about 30 microns”と限定されています。連邦地方裁判所は、この限定が、29.01 micronsサイズの侵害被疑粒子を除外するものであると解釈しました。
連邦地方裁判所は、また、陪審に対する侵害被疑者によるanticipation defenseの開陳を行うことを認めませんでした。理由は、連邦地方裁判所が、anticipation defenseがobviousness defenseの一部であると考えていたからです。
3.CAFCの判断
(3-1) 均等論について
CAFCは、連邦地方裁判所の判決を破棄し、連邦地方裁判所が、クレームに記載の“about”という文言を不適切に解釈している旨を判示しました。
CAFCは、更に、次のように判示しました。
・ クレームにおいて数値範囲の一部として“about”が文言されている場合、特定のパラメータの数値の境界を厳格に規定するものと解釈されない。
・ この場合、技術的且つ文体的関係において解釈されなければならない。
・ 特定のパラメータがクレームの文言によって明瞭でない場合、問題とされるのは、クレーム発明における限定の目的であって、発明自体の目的ではない。
・ この意味において、“about 30 microns”という文言の目的は、粒子サイズの下限であり、これは、発明における所望のレベルの乱流を得るのに適切なサイズである。
数値を特定の範囲に設定することなく、
CAFCは、明細書を参照し、“about 30 microns”が意味する数値範囲を決定し、29.01 micronsというサイズがこの数値範囲内であると認定しました。
“about 30 microns”という文言の使用が粒子サイズの範囲を含み得、特許権者が、クレームの文言上の範囲内であるであろう均等物を獲得済みであるので、均等論は、クレームの範囲を拡張するために適用できない旨、CAFCは結論しました。
(3-2) anticipation defenseとobviousness defenceについて
CAFCは、次のように判示しました。
・ 陪審に対する侵害被疑者によるanticipation defenseの開陳を行うことに関する連邦地方裁判所の認定を覆しました。新規性は非自明性の典型をなすものであるが、これら2つは、侵害に対する別個のstatutory defensesであり、別個の基準で判断される。
・ したがって、侵害被疑者が本件特許が非自明性の特許要件を具備していないと主張していることのみに依拠して、本件特許が新規性の要件を具備していない旨を主張することを認めない上記連邦地方裁判所の認定には誤りがある。
リンク先:
http://www.cafc.uscourts.gov/opinions/08-1029.pdf
http://www.winston.com/siteFiles/publications/FedCircSumVol1,Issue24.html
以 上