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新規性の要件についての判断が示された判例

特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成20年11月10日
(文責:新 井)

新規性の要件についての判断が示された判例
Net MoneyIN, Inc. v. VeriSign Inc., No. 2007-1565 (Fed. Cir. Oct. 20, 2008)



1.はじめに
Net MoneyIN, Inc. (“NMI”)は、アリゾナ州の連邦地方裁判所の判決(U.S. Patents No. 5,822,737 (“’737 patent”) and No. 5,963,917 (“ ’917 patent”)のクレームが無効である旨の判決)を不服とし、CAFCに控訴していました。

2.簡単な経過説明
 連邦地方裁判所は、NMIによる略式裁判(summary judgment(*1))の請求に応じ、そのマルクマン判決において、“means-plus-function”フォーマットで記載された2つの特許クレーム(’737 patentのクレーム1, 13, and 14と、’917 patent のクレーム1)を無効と認定しました。その根拠は、それらのクレームに必須の、対応する構成が明細書中に記載されていないので、不明瞭である(対応する構成が明細書中に記載されていないので35 U.S.C. § 112 2の規定を充足していない)ということにありました。
CAFCは、連邦地方裁判所の判決のうち、クレーム23発明の新規性については支持しませんでしたが、“means-plus-function”フォーマットで記載されたクレームの無効性については支持しました。

(*1)
summary judgment :正規の審判(事実審理)を省略して判決に至る手続。訴答(pleadings)のみに基づいて事実審理の開始前に訴訟当事者の一方を勝訴とする判決を下すこと。一方の当事者が強力な証拠を得た場合に申立により略式判決を受けられる

 問題の上記2つの特許は、「インターネット上のクレジットカード取引を処理するシステム」に係るものです。本件特許が35 U.S.C. § 102(a)に記載の新規性の規定を充足していな旨の連邦地方裁判所による判決を棄却するのに際し、CAFCは、判例” Connell v. Sears, Roebuck & Co., 722 F.2d 1542, 1548 (Fed. Cir. 1983)を引用し、「引用文献が、その文献の開示範囲内において、クレームと同じように構成または組み合わされている(*)すべての限定を開示していない限り、当該クレームの新規性を否定できない」旨を判示しました。

3.CAFCの判示内容
CAFCは、次のように判示しています。すなわち、問題の引用文献(購入取引を認可するための2つの別々のプロトコルを開示している。)は、クレーム発明のすべての構成要件を含んでいるが、別々のプロトコルの異なる部分を組み合わせたものに対して、本件クレーム発明が新規性の特許要件を具備していない旨を連邦地方裁判所は認定しており、この認定には誤りがあると判示しました。その理由は、クレーム発明のすべての構成要件が、1つのプロトコルに係る開示範囲内には記載されていないことのみにあります。

加えて、CAFCは、クレームが“means-plus-function”フォーマットで記載されている場合、明細書には、クレームに文言されている記載の機能を果たすのに十分な、対応する構成が開示されていなければならない旨を判示しました。

コンピュータ関連発明の場合、“means-plus-function”フォーマットで記載されたクレームの構成要素の開示内容が汎用コンピュータであり、明細書中にクレームに記載の機能が開示されていない場合、当該クレームは無効である。特許明細書中にそのようなアルゴリズムが記載されていないので、CAFCは、連邦地方裁判所の“means-plus-function”クレームの無効性に係る判決を支持しました。

CAFCは、唯一の引用文献が、(i) クレームに記載の構成要件のすべてを開示しているのみならず、(ii) それらの構成要件がクレームと同じように構成または組み合わされている(“arranged or combined as in the claim”)ことが開示されている場合、クレーム発明は上記の引用文献に対して新規性の特許要件を具備していない旨が判示されました。

(*2)
Because the hallmark of anticipation is prior invention, the prior art reference—in order to anticipate under 35 U.S.C. § 102—must not only disclose all elements of the claim within the four corners of the document, but must also disclose those elements “arranged as in the claim.” Connell v. Sears, Roebuck & Co., 722 F.2d 1542, 1548 (Fed. Cir. 1983).

The meaning of the expression “arranged as in the claim” is readily understood in relation to claims drawn to things such as ingredients mixed in some claimed order. In such instances, a reference that discloses all of the claimed ingredients, but not in the order claimed, would not anticipate, because the reference would be missing any disclosure of the limitations of the claimed invention “arranged as in the claim.” But the “arranged as in the claim” requirement is not limited to such a narrow set of “order of limitations” claims. Rather, our precedent informs that the “arranged as in the claim” requirement applies to all claims and refers to the need for an anticipatory reference to show all of the limitations of the claims arranged or combined in the same way as recited in the claims, not merely in a particular order. The test is thus more accurately understood to mean “arranged or combined in the same way as in the claim.”

リンク先:http://www.winston.com/siteFiles/publications/FedCircSumVol1,Issue26.html

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