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US Case Brief(6) フェスト事件に係る禁反言の可能性があるにも関わらず

原謙三国際特許事務所
平成16年04月05日
(文責:新 井)

フェスト事件に係る禁反言の可能性があるにも関わらず
均等論下の侵害が認定された判例

(Ericsson, Inc. v. Harris Corp., Nos. 02-1571, -1603 (Fed. Cir. Dec. 9, 2003))


1.簡単な経過説明
 (a) Ericssonは、電話機制御回路に係る米国特許(USPN. 4.961,222)を所有している。この制御回路は、電話機スイッチから電話機ユニットへの電力送出を接続するための回路である。
 具体的には、上記制御回路は、受話器がオン・フック時に補助増幅器(auxiliary amplifiers)により送出電力量を少なくすると共に、通話中のオフ・フック時に通話信号増幅器により送出電力量を多くするものである。
Ericsson は、Harris Corp.の装置(イ号装置)が低電力スタンバイモードを有しており、上記米国特許を侵害しているとの理由で地裁に提訴した。陪審員は、均等論下で侵害が成立するとの評決を下した。

これに対して、地裁は、法律問題として非侵害に係る略式判決が本件に対して下されるべきである旨のHarris Corp.の申し立てを認め、審理を行った。
 その結果、地裁は、複数の証人による証言が、『イ号装置の通話信号増幅器は、オン・フック時に幾ばくかの電力(some power)を供給している』ことを紛れもなく示しているので、イ号装置は、上記特許を侵害していない旨、認定した。なぜなら、クレーム1は、通話信号増幅器(speech signal amplifiers)がオフ・フック時に電話機に電力を供給するのみ(ONLY supply power to the telephone set in the off-hook position)を規定しており、イ号装置が均等の範囲に含まれているとの認定は、上記特許において”ONLY supply power”という限定を無効にするものであるからである。

 (b) これを不服とし、Ericsson は CAFCに控訴した。Ericsson は、受話器のオン・フック時に電力が一切供給されないことを示す実質証拠を提出し、これに基づいてイ号装置が上記限定”ONLY supply power”を文言上侵害している旨、開陳した。Ericsson は、”caller-ID” からの電力および”corrosion current (腐食電流)”が、クレーム発明との本質的な差異を示すのみであることを示すことによって、均等を証する実質証拠を提供している旨、付け加えた。

 これに対して、Harris Corp.は次のように開陳した。すなわち、Ericsson は、イ号装置が上記限定”ONLY supply power”を文言上満足することを示す実質証拠を供給していない。Harris Corp.は、また、地裁の判示どおり、上記限定”ONLY supply power”がイ号装置を除外している旨、開陳した。なぜなら、反対事実が上記限定を無効にするからである。

 公判で、地裁は、”ONLY” に焦点を合わせ、本件に対して均等論下で侵害が成立しない旨、認定した。なぜなら、電話機のオン・フック時に、イ号装置の通話信号増幅器が幾ばくかの電力を電話機に供給しているからである。しかしながら、Ericsson は、イ号装置によって供給される電力が上記限定”ONLY supply power”を無効にしない旨の専門家による証言を用いた実質証拠を公判時に提出した。

 (c) プロセキューション時、特許性に係る理由に基づいて、Ericsson は、クレーム1を次のように補正した。
“which, by the control signals effectively disconnects disables the speech signals amplifiers and actively connects enables the auxiliary amplifiers so that the speech signal amplifiers, which require power, only supply power to the telephone set when the receiver is off its cradle and a call can be made”

なお、審査過程において”only supply power”という文言が一切補正されなかったので、Festo Presumption を適用できない。
また、”all limitation rule” に基づき、法律問題として非侵害に係る略式判決を下した際、地裁は、Festo Presumption を適用できないことに同意している。

2.結論
CAFCは、『 Festo は本件の一部ではない。なぜなら、出願経過禁反言は、たとえ適用したとしても、均等論下で侵害しているという陪審員による評決を排除しなかったであろうからである(審査過程において”only supply power”という文言が一切補正されなかったので、禁反言の対象にならないと思料される。)。したがって、均等論下で侵害が成立する。』ことを判示した。

 以 上

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