食品×医療支援室
 
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食品の用途発明について



2020年6月26日 文責 串間


 用途発明とは、(i)ある物の未知の属性を発見し、(ii)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明をいう(審査基準第III部第2章第4節3.1.2)。日本では、2016年4月以降の審査において、食品の用途発明についても特許が認めらえるようになった。
 一方、用途発明の取扱いは国によって異なり、用途発明が認められない国もある。そこで、ここでは、食品の用途発明について、日本以外の主要国での取り扱いについて以下にまとめる。
 なお、ここでは、説明の簡単のため、物や組成に新規性が無く、用途のみが先行技術と異なる場合に、その用途のみの相違をもって新規性が認められることを「用途発明が認められる」などと表現する。


◇米国
 用途発明は認められない(MPEP 2111. I)。一方、その用途を方法(例えば、治療方法)のクレームで表現すれば認められる(MPEP 2112.02. II)。


◇欧州(イギリスを含む)
 医薬については用途発明(第一医薬用途発明、第二医薬用途発明)が認められる(審査便覧G部第Ⅱ章4.2、審査便覧G部第VI章7.1)。従って、食品の用途が医薬用途であれば、用途発明が認められることになる。


◇中国
 用途発明は認められない(審査指南第2部第3章3.2.5(2))。また、医療行為に該当する方法の発明も特許を受けることができない(専利法第25条(3))。
 一方、新たな医療用途に用いられる公知の食品に関しては、スイスタイプクレームとすることで新規性が認められる(審査指南第2部第10章4.5.2)。


◇韓国
 健康機能食品に限り、用途発明が認められる(審査指針第9部第3章2.2①)。
 審査指針によれば、「健康機能食品」は、人体に有用な機能性を提供するために多様な形態により製造・加工された食品を意味するものであるとされている。このため、その用途について、人体にどのような有用な機能があるか程度で記載すればよい(審査指針第9部第3章2.2③)。


◇台湾
 用途発明は認められない(審査基準第2編第3章2.5.2)。また、医療行為に該当する方法の発明も特許を受けることができない(専利法24条2)。
 一方、医薬の場合と同様に、スイスタイプクレームとすることで新規性が認められる(審査基準第2編第1章2.5.5)。



各国における食品の用途発明について認められるクレームのまとめ

  日本 米国 欧州
(英国含む)
中国 韓国 台湾
物のクレーム 不可
(医薬用途のみ)
不可 不可
方法のクレーム 不可 不可 不可 不可 不可
スイスタイプクレーム - - - -


<参考資料>

・加藤 浩,食品の用途発明の導入とその影響―2016 年4月の審査基準(特許庁)の改訂について―,研究 技術 計画  Vol. 31, No. 3/4, 2016,283-309


・特許庁 審査第一部 調整課 審査基準室,特許の審査基準のポイント,特許庁HP


・濱田 絵美,日米欧中における用途限定・数値限定の発明,プロダクト・バイ・プロセスクレームのガイドラインについて,IPR62, 2016, 1-8


・福山 則明,食品の用途発明に関する審査基準の改訂,tokugikon, 2016.9.15. no.282


・特許庁,参考資料5-1,各国法令・審査基準との比較~食品の用途発明について~


・一般財団法人 知的財産研究所,用途発明の特許権の効力範囲を踏まえた食品の保護の在り方に関する調査研究報告書,平成27年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書




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