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米国103条下の拒絶理由に対する対応

2003年3月20日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
国際部長 新井 孝政

1.包袋禁反言
フェスト事件によれば、プロセキューション時にクレーム減縮補正をした場合、特許法上の要件を満たすためになされた補正に対しては、出願経過禁反言の原則が適用されます。
クレーム減縮補正が行われた場合、特許法上の要件を満たすためになされたものであると推定(反証可能な推定)されます。たとえば、非自明性に係る拒絶理由に対してクレーム減縮補正を行った場合、補正内容に対して均等論は適用されません。
これに対して、非自明性に係る拒絶理由が不当である旨の反論は、出願経過禁反言の原則の適用対象とはなりません。
そこで、以下に、クレーム減縮補正以外に、非自明性に係る拒絶理由に対して講じ得る措置について説明します。

2.複数の引用文献の組み合わせに係る拒絶理由
複数の引用文献を組み合わせて103条下で出願を拒絶するためには、教示、示唆、動機付けが存在しなければなりません。上記教示、示唆、動機は、公知技術中、当業者の知識等に存在していなければならず、出願人の発明中に存在するものではありません。
しかも、上記複数の引用文献の組合を当業者に行わせる理由が引用文献中に存在していなければなりません。審査官は、当業者であれば複数の引用文献を選択して組み合わせたであろう理由を特定し、出願人に示す義務を有しています(In re Dembiczak:1999)。
また、公知技術をつなぎ合わせるために本願発明を使用することは不当です。更に、審査官は、推断的な陳述を拒絶理由の証拠とすることはできません。

3.In re Dembiczak (175 F.3d 994, 50 USPQ2d 1614 (Fed Cir. 1999))
In re Dembiczakにおいて、次のことが明らかにされました。すなわち、審査官は、審査段階で、公知技術が示唆している理由について言及しなかっただけでなく、上記示唆に対応する具体的な情報の指摘もしませんでした。
審査官は、複数の引用文献の組み合せによる拒絶の根拠として、単に、設計上の選択であることは当業者にとって明白であることを挙げただけでした。しかし、これは、不当な行政行為であり、厳密なテストを経ること(複数の引用文献を組み合わせる理由を明らかにすること)が必要です。

4.McGinley v. Franklin Sports Inc.(262 F.3d 1339,60 USPQ2d 1001 (Fed Cir. 2001))
本件においても、複数の引用文献の組み合わせに対しては、In re Dembiczakにおける厳密なテストを経ることが維持されました。
本願から遠ざかることを教示していることが示せたら、複数の引用文献の組み合わせに係る不当性について説得力のある反論が行えます。すなわち、一つの引用文献が組み合わせから遠ざかることを教示している場合、そのような組み合わせは、一応の自明性を作り出しません。
複数の引用文献を組み合わせた結果、実施不可能と考えられる装置に想到した場合、そのような引用文献は、それらを組み合わせることから当業者を遠ざけるものです。

5.In re Kotzab (217 F.3d 1365, 55 USPQ2d 1313 (Fed Cir. 2000))
本件においては、非自明性による拒絶の根拠が唯一の引用文献の場合でも、当該引用文献中における複数の開示内容の組み合わせに対しては示唆又は理由を示さなければならないことが判示されました。
本件において、複数の開示内容を組み合わせる示唆が上記引用文献には存在しないという理由で、これらの組み合わせは不当であるとの判断が示されました。

6.In re Sang Lee (277 F.3d 1338, 61 USPQ2d 1430 (Fed Cir. 2002))
本件においても、教示、動機付け、示唆の証拠が必要とされました。つまり、推断的な陳述では不十分であり、特定性(specificity)が必要とされました。後知恵は、不当であり、周知の知識(事実)は、専門知識の証拠とはなりません。知識は明確に記録にあるもの(on the record)でなければなりません。

7.In re Huston (Slip Op. 02-1048 (Fed Cir. October 2002))
本件において、裁判所は、複数の引用文献中に動機付けを見出しました。つまり、第1の引用文献は第2の引用文献の欠点を含み、これは第1の引用文献の技術を置き換える動機付けを与えることになるので、動機付けが引用文献に存在すると、裁判所は判示しました。本件は、上述の判例を発展させたものであると拡大解釈されました。本件も、基本的には、組み合わせの動機付けが引用文献中に存在しなければならないことに係るケースです。

8.非自明性に係る拒絶理由に対する対応戦略
① まず、各引用文献を検討し、何が教示されている一方、何が教示されていないかを明確にする。
② 拒絶理由通知において、審査官がどのように動機付けを行って本願を非自明性欠如により拒絶しているかを明確にする。この際、上記動機付けが引用文献中に存在するか否かも明確にする。
③ 上記動機付けが引用文献中に存在しない場合、(a) 審査官の拒絶理由が後知恵に基づくものである旨を指摘するか、上記動機付けの証拠を要求する。または、(b)当業者にとって設計上の選択であるとか、若しくは当業者であればそうするであろうという動機付けになっていないか検討する。または、(c) 審査官が出願人の動機付けを使用していれば、その旨、指摘する。または、(d)各引用文献の別々の教示であることを指摘し、何故各引用文献が他の引用文献とを組み合わせるための動機付けを与えるものでないのかについて反論する。または、(e)複数の引用文献を組み合わせると本願発明から遠ざかってしまうことが反論できないかどうかを検討する。
④ 上記動機付けが引用文献中に存在する場合、(a) 各引用文献の部分的教示ではなくて、全体として何を教示しているかを把握し、全体的教示には動機付けが存在しない旨を反論する。または、(b)審査官の指摘箇所を検討し、矛盾を反論する。または、(c) 複数の引用文献を組み合わせると本願発明から遠ざかってしまうことを反論するか、若しくは何故そのような組み合わせが或る引用文献の教示を破壊することになるのかについて反論する。または、(d)審査官が、単に、引用文献中の複数の箇所を選択的に拾い集めている場合、その旨を指摘する。

9.結論
① 非自明性に係る拒絶理由に対して、機械的に補正をするのではなくて、複数の引用文献を組み合わせるための適当な動機付けが無い旨を指摘・反論する。
② 記録に残る動機付けの証拠が存在しない場合、その旨を反論すると共に証拠の提示を要求する。
③ 当業者であればそうするであろうとか、当業者にとって設計上の選択であるとか、単に引用文献中の複数の箇所を選択的に拾い集めているにすぎないという場合、その旨、反論する。
④ 引用文献が本願発明に対してマイナスの教示をするものであるか、又は本願発明から遠ざかることを教示するものである場合、その旨、反論する。
なお、他の出願の非自明性を否定するための強力な引用文献となり得るために、本願明細書作成時に、他の引用文献との組み合わせを可能にする根拠を記載しておくことが好ましい。

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