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国際裁判管轄について

2006年3月28日
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 木村 佳宏

1.はじめに
このコラムでは、先のコラム(特許法と準拠法~判例の紹介を通して~)に関連し、法律にあまりなじみのない方を対象として、国際紛争で問題となる法律関係について書いてみたいと思います。
国際紛争では、その両当事者が異なる国に属しています。そこで、紛争の解決のために、どこの国の法律で裁くのか(実体法的側面)と、どこの国の裁判所で裁判するのか(手続法的側面)とが問題になります。法律用語を用いると、前者は準拠法の問題、後者は国際裁判管轄の問題ということになります。先のコラムでは、準拠法について紹介していますので、このコラムでは国際裁判管轄について紹介してみたいと思います。


2.国内裁判管轄
この裁判管轄、すなわちどこで裁判するのかは、どこの法律で裁くのかと同じくらい当事者にとって大きな問題です。例えば、地球の裏側の国や、大陸奥地の国で自分の関係する裁判が始まった場合(少し極端ですが)を想像してみればおわかりかと思います。
もちろん、日本国内の紛争についても裁判管轄は問題になります。例えば、北海道の人と沖縄の人とが争う場合、どちらの裁判所で裁判するのかは大きな問題です。そして、日本国内での裁判管轄については、民事訴訟法に規定があります。原則では、被告の住所地にある裁判所で裁判されます(民事訴訟法4条1項、2項)。

3.国際裁判管轄
では、国際紛争ではどうかといいますと、裁判所の場所が国内紛争以上に問題となるにもかかわらず、明確な規定がありません。以下、最高裁判例の言葉を借りて、原則、例外と、例外の例外とを紹介します。

1)原則
まず原則は、「裁判権は主権の一作用である。したがって、裁判権の及ぶ範囲は、原則として主権の及ぶ範囲と同一となる。よって、外国人が進んでわが国の裁判権に服する場合のほか日本の裁判権は及ばないのが原則」となります。
(最高裁昭和56年10月16日判決(民集35巻7号1224頁))
すなわち、外国人を日本で裁判することはできないことになります。


2)例外
その例外は、「被告がわが国となんらかの法的関連を有する事件については、被告の国籍等のいかんを問わず、わが国の裁判権に服させるのを相当とする場合がある」とします。
そして、この例外的場合の範囲としては、「どのような場合にわが国の国際裁判管轄を肯定するべきかについては、国際的に承認された一般的な準則が存在せず」、そのため、実際の裁判では、「当事者の公平、裁判の適正・迅速などにより、条理に従って決定」し、例えば「民事訴訟法の規定による裁判籍が国内にあるときは、わが国での裁判籍を肯定することが上記条理に適う」とすることになります。
(最高裁昭和56年10月16日判決(民集35巻7号1224頁))
すなわち、例外として外国人を日本で裁判することができる場合があるが、この例外に対する明確な基準があるわけではなく、条理に従い、具体的な事案に即して決定されることになります。

〔判例紹介〕
マレーシアで設立された会社の飛行機に搭乗し、マレーシア国内でその飛行機が墜落したことによって死亡した日本人Aの配偶者日本人Bが、前記マレーシアの会社に損害賠償を請求した事案。
日本に営業所があることなどを考慮して、「たとえ前記会社が外国に本店を有する外国法人であっても、わが国の裁判権に服させるのが相当」と判示した。
(最高裁昭和56年10月16日判決(民集35巻7号1224頁))

3)例外の例外
そして、さらに上記例外の例外として、「特段の事情などがあれば例外的処理を認める」ことになります。
例えば、わが国での裁判籍が、「民事訴訟法の規定による裁判籍」が国内にあることを理由として肯定された場合(例外)においても、例えば当事者に過大な負担を課すことになったり、証拠方法が別の場所にある場合などは、わが国の裁判籍が否定されます(例外の例外)。
(平成9年11月11日判決(民集51巻4055頁))
すなわち、条理に従った(形式的な)判断では日本で裁判することができるという結論に達する場合であっても、特段の事情によって、その結論が否定され、日本での裁判が認められない場合があることになります。

〔判例紹介〕
日本の法人が、ドイツ在住の日本人に対して預託金請求をした事案。
上記日本人が長年にわたりドイツに生活上及び営業上の本拠を置いていたことなどを考慮し、「訴えがわが国の裁判所に提起されることは、(被告であるドイツ在住日本人の)予測の範囲をこえるものといわざるをえない」とし、「わが国の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情がある」と判示した。
平成9年11月11日判決(民集51巻10号4055頁)

4.特許に関する事件
最後に、特許に関係する紛争での実例をみてみます。特許に関係する紛争は、特許の有効性が争点となる場合と、特許の侵害性が争点となる場合とに分けることができます。
まず、特許の有効性が争点となる場合には、裁判管轄は特許登録国となっています。これは、登録国以外の国で裁判をすると、内政干渉になるからであるといわれています。
一方、特許の侵害性が争点となる場合には、裁判管轄は、被告の住所地または不法行為が行われた地の属する国となっています。これは、国内紛争についての民事訴訟法の規定(民事訴訟法4条1項、2項、5条1項9号)と同内容・同趣旨で、被告の便宜と侵害立証の容易さとに配慮したためであるといわれています。


以上、簡単ではありますが、裁判管轄に関する判例の考え方などをご紹介しました。結論(最終的に決定された裁判籍)は、具体的事案に即した適切なものになっていますが、それを根拠付ける論理・考え方が重要ではないかと思います。
なお、判例に関する記述は、適宜抜き出し・加筆などをしたため、正確さを欠く点をご了承ください。
以上

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