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US再発行特許におけるRecapture
特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
平成18年04月17日
(文責:新 井)
1.はじめに
再発行特許出願において、オリジナル特許出願の審査段階で放棄されたクレーム発明の主題をrecapture することは認められません(Pannu v Storz Instruments Inc,. 258 F.3rd 1366, 59 USPQ2d 1597 (Fed. Cir. 2001) 等)。そこで、どのような場合に”Recapture Rule (Doctrine of Recapture)”が適用されるかについて以下に簡単に説明します。
2.審査段階で放棄されたクレーム発明の主題
“surrendered subject matter”とは、審査過程において、特許許可を得るために、補正、及び/又は反論によって公知技術との差異が明確にされた事項(”key limitation”)であって、これらの対応によって従来技術に係る拒絶理由が克服されたものを意味します。
再発行特許出願においては、上記”key limitation”を除外したクレームは認められません。以下に具体例を示します。
3.具体例
例1
(1) A+B(出願当初クレーム)
(2) A+B+C(OAの応答時に、構成要件Cを追加。これにより特許許可)
(3) A+B+C(broadened)(再発行特許出願時に、Cより広いC(broadened)を文言)
例1の上記(3) は、C(broadened) を追加しているので、キャンセルしたsubject matterであるA+Bよりも狭く、それゆえ、”recapture” と認定されません。ただし、構成要件Cを削除したクレーム(たとえば、A+B、A+B+X、A、B、A+X、及び/又はB+X等)は、”recapture” と認定されます。
上記(3) の代わりに、
(3)’ A+C(broadened)(構成要件Bを削除、Cより広いC(broadened)を更に文言)
(3)’’ B+C(broadened)(構成要件Aを削除)
(3)’’’ A(broadened)+B+C(broadened)(Aより広いA(broadened)を更に文言)
(3)’’’’ A+C(構成要件Bを削除)
(3)’’’’’ B+C(構成要件Aを削除)
(3)’’’’’’ A(broadened)+B(broadened)+C(broadened)(Aより広いA(broadened)、及びBより広いB(broadened)を更に文言)
等も理論的には可能です。
例2
(1) A+B+Z(出願当初クレーム)
(2) A+B+Z+C(OAの応答時に、構成要件Cを追加。これにより特許許可)
(3) A+B+C(再発行特許出願時に、構成要件Zを削除)
例2の場合、従来技術を克服するために追加された構成要件Cが再発行特許出願クレーム中に存在するので、”recapture” と認定されません。ただし、構成要件Cを削除したクレームは、”recapture” と認定されます。
上記(3) の代わりに、
(3)’ A+C(broadened)(構成要件B及びZを削除、Cより広いC(broadened)を文言)
(3)’’ B+C(broadened)構成要件A及びZを削除、、Cより広いC(broadened)を文言)
(3)’’’ A(broadened)+B+C(broadened)(Aより広いA(broadened)を文言)
(3)’’’’ A+C(構成要件Bを削除)
(3)’’’’’ B+C(構成要件Aを削除)
(3)’’’’’’ A(broadened)+B(broadened)+C(broadened)(A、B、Cよりそれぞれ広いA(broadened)、B(broadened)、及びC(broadened)を文言)
等も理論的には可能です。
例3
(1) A+B+Z(出願当初クレーム)
(2) A+B+Z+C(OAの応答時に、構成要件Cを追加。これにより特許許可)
(3) A+B+X(再発行特許出願時に、構成要件Cを削除し、構成要件Xを追加)
例3の場合、従来技術を克服するために追加された構成要件Cが再発行特許出願クレーム中に存在していないので、”recapture” と認定されます。
例4
(1) A+B+Z(出願当初クレーム)
(2) A+B+Z+C(OAの応答時に、構成要件Cを追加。これにより特許許可)
(3) A(broadened)+B+C(再発行特許出願時に、構成要件Cを維持し、構成要件Aの代わりにAよりも広い構成要件A(broadened)を文言)
例4の場合、従来技術を克服するために追加された構成要件Cが再発行特許出願クレーム中に維持されているので、構成要件Aを広げることは可能です。したがって、この場合、上記(3) は”recapture” と認定されません。同様に、構成要件Cを維持した状態で、構成要件Bを広げることも可能です。
なお、上記の具体例においては、構成要件Cを追加した場合について説明していますが、構成要件Cがもともと存在していて、この構成要件Cが引用文献との差異を明確にする旨の反論のみを行った結果特許許可された場合でも、再発行特許出願において構成要件Cを削除することは”recapture”であると認定されます。
以 上